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カネダ著作権事務所
著作権判例エッセンス
★言語表現の著作物性
【言語表現の創作性】
■著作権法2条1項1号所定の「創作的に表現したもの」というためには,当該記述が,厳密な意味で独創性が発揮されていることは必要でないが,記述者の何らかの個性が表現されていることが必要である。言語表現による記述等の場合,ごく短いものであったり,表現形式に制約があるため,他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合は,記述者の個性が現われていないものとして,「創作的に表現したもの」であると解することはできない。
<平成20年07月17日知的財産高等裁判所[平成20(ネ)1000]>
■俳句が短文であるが言語著作物として認められることがあるとしても,17文字以上あれば常に創作性を認められるわけではない。一般的に,短文であればそれに応じて表現の選択の幅が狭くなり,ありふれた表現となりやすい。
<平成28年6月29日知的財産高等裁判所[平成27(ネ)10042]>
■文章表現による作品において,ごく短かく,又は表現に制約があって,他の表現がおよそ想定できない場合や,表現が平凡で,ありふれたものである場合には,筆者の個性が現れていないものとして,創作的に表現したものということはできない。
<平成13年05月30日東京地方裁判所[平成13(ワ)2176]>
■「創作的」に表現されたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,筆者の個性が何らかの形で表れていれば足りるというべきである。そして,個性の表れが認められるか否かについては,表現の選択の幅がある中で選択された表現であるか否かを前提として,当該著作物における用語の選択,全体の構成の工夫,特徴的な言い回しの有無等の当該著作物の表現形式,当該著作物が表現しようとする内容・目的に照らし,それに伴う表現上の制約の有無や程度,当該表現方法が,同様の内容・目的を記述するため一般的に又は日常的に用いられる表現であるか否か等の諸事情を総合して判断するのが相当である。
<平成28年1月29日東京地方裁判所[平成27(ワ)21233]>
■著作物性を肯定するための要件たる創作性は、表現の内容である思想について要求されるのではなく、表現の具体的形式について要求されるものであり、公知の事実又は一般常識に属する事柄についても、これをいかに感得し、いかなる言語を用いて表現するかは各人の個性に応じて異なりうること論を俟たないから、右記述中に公知の事実等を内容とする部分が存在するとしても、これをもつて直ちに創作性を欠くものということはできず、その具体的表現に創作性が認められる限り、著作物性を肯定すべきものと解するのが相当である。
<昭和53年06月21日東京地方裁判所[昭和52(ワ)598]>
【法10条2項の意義と解釈】
■事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は言語の著作物に該当しない旨を定めた著作権法10条2項は、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は同法2条1項1号にいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当しないことから、保護の対象にならない旨を確認的に規定したものであると解され(る。)
<平成6年10月27日東京高等裁判所[平成5(ネ)3528]>
■著作権法10条2項にいわゆる「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」とは、単なる日々の社会事象そのままの報道記事をいうものと解すべきである(。)
<昭和47年10月11日東京地方裁判所[昭和44(ワ)9353]>
■「思想又は感情」は人間の精神活動全般を指し、単に事実(社会的事実、歴史的事実、自然現象に関する事実等)のみを記載したものは著作物には当たらない。また、「創作的」とは、表現の内容について独創性や新規性があることを必要とするものではなく、思想又は感情を表現する具体的形式に作成者の個性が表れていれば足りる。したがって、客観的な事実を素材とする表現であっても、取り上げる素材の選択、配列や、具体的な用語の選択、言い回しその他の文章表現に創作性が認められ、作成者の評価、批判等の思想、感情が表現されていれば著作物に該当するということができ、著作権法10条2項は、単なる日々の社会事象そのままの報道や、人事異動、死亡記事等、事実だけを羅列した記事が著作物でないことを確認的に規定したものである。
<平成10年10月29日東京地方裁判所[平成7(ワ)19455]>
【新聞記事の著作物性】
■客観的な事実を素材とする新聞記事であっても、収集した素材の中からの記事に盛り込む事項の選択と、その配列、組み立て、その文章表現の技法は多様な選択、構成、表現が可能であり、新聞記事の著作者は、収集した素材の中から、一定の観点と判断基準に基づいて、記事の盛り込む事項を選択し、構成、表現するのであり、著作物といいうる程の内容を含む記事であれば直接の文章表現上は客観的報道であっても、選択された素材の内容、量、構成等により、少なくともその記事の主題についての、著作者の賞賛、好意、批判、断罪、情報価値等に対する評価等の思想、感情が表現されているものというべきである。
<平成6年02月18日東京地方裁判所[平成4(ワ)2085]>
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