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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

著作権総論

【著作権成立の非方式性】

著作権が成立するためにはいかなる方式の履行も必要ではなく(著作権法172項),著作権者であることを表示していなければ権利行使ができないものではない(。)
<平成231031日知的財産高等裁判所[平成23()10020]>

著作権は,著作者が著作物を創作した時点で直ちに著作者に生じる権利であるから,いまだ著作物が創作されておらず,著作物の内容が具体化される前に,あらかじめ合意によって,著作権の原始的帰属を決定することはできないものというべきである。
<平成151128日東京地方裁判所[平成14()23214]>

著作権の原始的な帰属主体は,著作者である(著作権法17条)から,客観的に著作者としての要件を満たさない者について,著作権が原始的に帰属することはあり得ず,仮に,当事者間において,著作者でない者につき著作権が原始的に帰属する旨の合意が成立したとしても,そのような合意の効力を認めることはできないと解さざるを得ない。
<平成160331日東京高等裁判所[平成16()39]>

【「専有」(法21条~28条)の意義】

「専有」とは,物権的な排他的支配権を意味するものと解することができ,その内容としては,自らこれを利用し他人には利用させないことも,自ら利用しつつ他人にも利用させることも,自らはこれを利用しないで,他人に利用させることも,自らもこれを利用せず他人にも利用させないことも,すべて当然に含んでいるものというべきである。
<平成130918日東京高等裁判所[平成12()4816]>

【著作権と取得時効】

著作権法21条に規定する複製権は、民法163条にいう「所有権以外ノ財産権」に含まれるから、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に著作物の全部又は一部につき継続して複製権を行使する者は、複製権を時効により取得すると解することができるが、複製権が著作物の複製についての排他的支配を内容とする権利であることに照らせば、時効取得の要件としての複製権の継続的な行使があるというためには、著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利を専有する状態すなわち外形的に著作権者と同様に複製権を独占的、排他的に行使する状態が継続されていることを要し、そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負うものと解するのが相当である。
<平成9717日 最高裁判所第一小法廷[平成4()1443]>

著作権の時効取得が観念されると解した場合,著作権の時効取得が認められるためには,自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に著作権(例えば,複製権)を行使する状態を継続していたことを要する。換言すれば,著作権の時効取得が認められるためには,著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利などを専有する状態,すなわち外形的に著作権者と同様に複製権を独占的,排他的に行使する状態が継続されていることを要するのであって,そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負うものと解するのが相当である(最高裁判所平成9717日判決参照)。
<平成240131日知的財産高等裁判所[平成23()10028]>

複製権(著作権法21条)及び譲渡権(同法26条の21項)は,民法163条にいう「所有権以外の財産権」に含まれるから,自己のためにする意思をもって,平穏に,かつ,公然と著作物の全部又は一部につき継続して複製権又は譲渡権を行使する者は,複製権又は譲渡権を時効により取得することができるものと解されるが,時効取得の要件としての複製権又は譲渡権の継続的な行使があるというためには,著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利又は譲渡する権利を専有する状態,すなわち外形的に著作権者と同様に複製権又は譲渡権を独占的,排他的に行使する状態が継続されていることを要するものというべきであり,また,民法163条にいう「自己のためにする意思」は,財産権の行使の原因たる事実によって外形的客観的に定められるものであって,準占有者がその性質上自己のためにする意思のないものとされる権原に基づいて財産権を行使しているときは,その財産権の行使は「自己のためにする意思」を欠くものというべきである(複製権につき,最高裁平成9717日第一小法廷判決参照)。
<平成240927日 東京地方裁判所[平成22()36664]>

【著作権と消滅時効】

著作権法17条は,財産権である著作権として21条ないし28条に規定する権利を享有すると定め,同法21条ないし28条において,著作者がその著作物を複製する権利を専有すること(複製権),著作者がその著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有すること(翻案権)などを定めている。そして,同法512項は,著作権は、原則として,著作者の死後50年を経過するまでの間存続すると定めている。そして,ここに「専有」とは,物権的な排他的支配権を意味するものと解することができ,その内容としては,自らこれを利用し他人には利用させないことも,自ら利用しつつ他人にも利用させることも,自らはこれを利用しないで,他人に利用させることも,自らもこれを利用せず他人にも利用させないことも,すべて当然に含んでいるものというべきである。
そうすると,著作権は,その性質上,当該著作物を利用することもせず,他人に対して権利行使をしていないとしても,それによって消滅時効が進行するというものではなく,かつ,消滅時効とは関係なく,法定の保護期間の満了をもって権利が消滅することになると解するのが相当である。
<平成130918日東京高等裁判所[平成12()4816]>

【権利失効の成否】

権利を有する者が久しきにわたりこれを行使せず、相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至ったため、その後にこれを行使することが信義誠実に反すると認められるような特段の事由がある場合には、上記権利の行使は許されないとして、いわゆる失効の原則が適用される場合のあることは、判例とするところである(最高裁昭和301122日第三小法廷判決、同昭和4046日第三小法廷判決)。
しかしながら、本件において、被控訴人は、被控訴人が現在に至るまで70年以上にわたり被控訴人商標等を使用し続けてきたこと、ローズ・オニール及びその承継人が、その間、本件著作権の行使をしなかったことなどを主張するが、それだけでは、上記法理の適用により本件著作権の権利行使の不許ないし権利の消滅を根拠付けるに足りる事情ということはできないから、被控訴人の主張は採用の限りではない。
<平成130530日東京高等裁判所[平成11()6345]>

一審被告は,本件の事情にかんがみれば,本件においては,一審被告が一審原告の氏名表示権に基づく権利行使が行なわれないと信頼すべき正当な事由が存在するというべきであって,権利失効の原則に基づき,あるいは権利濫用(民法13)として,一審原告の著作者人格権に基づく各請求は否定されるべきであると主張する。
しかし,氏名表示権については,著作者の自由な処分にすべて委ねられているわけではなく,むしろ,著作物には真実に即した著作者の氏名表示をすることが公益上の要請から求められていることにかんがみると,一審原告が本件各銅像に一審被告の署名が入っていたことを当初より認識していたにもかかわらず30年以上の間何ら異議を述べていなかった等の事情があるとしても,一審被告は依頼者から本件各銅像の制作について高額の報酬を受領しながら,原告に対し何らの制作報酬も支払わないまま今日まで経過してきたこと,その後,一審被告とその元妻との離婚に関する給付金請求訴訟の過程で,平成1458日ころ一審被告が一審原告を助手呼ばわりし,一審原告の名誉感情を毀損したことを発端として本訴に至ったこと等の事情を総合考慮すれば,本件においては,一審被告が一審原告の氏名表示権に基づく権利行使が行われないと信頼すべき正当な事由が存在するとまでは認められず,また,一審原告の本訴請求が権利濫用に該当するということもできない。
<平成180227日知的財産高等裁判所[平成17()10100]>

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