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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

登録制度

【登録制度の効能】

著作権法761項の第一発行年月日等の登録は、著作権者が当該著作物が最初に発行され又は公表された年月日の登録を受ける制度であり、その法律上の効果は、登録に係る年月日にその著作物が第一発行又は第一公表されたものと推定されることにあるが(同条2項)、加えて、著作権登録原簿に著作者として登録されている者が著作権者であることを公示する事実上の効果があり、この事実上の効果を期待して登録が行われることも少なくない。
<平成140829日大阪地方裁判所[平成11()965]>

【登録制度と著作物性】

著作権法753項で推定されるのは当該登録に係る著作物の著作者であること,同法762項で推定されるのは当該登録に係る年月日において最初の発行又は最初の公表があったことであって,登録に係る対象が著作物性を有することが推定されるのではない。
原告は,著作物として認められないのであれば却下理由になるはずであると主張するが,著作権に関する登録は,いわゆる形式審査により行われ,法令の規定に従った方式により申請されているかなど却下事由に該当しないかどうかを審査するものである(同法施行令23条参照)から,著作権に関する登録により著作物性を有することについて事実上の推定が及ぶと解することもできない。
<平成230427日東京地方裁判所[平成22()35800]>

本件において,先行ソフトウェア部品がプログラム登録されたことを示す証拠はないが,プログラム登録は著作物性の要件ではなく,他方,著作物性を備えたものが必ずしもプログラム登録されるとは限らない。
<平成26827日知的財産高等裁判所[平成25()10085]>

著作権登録がされたとしても,それによって,その対象となったものに著作物性があることが確定されるわけではない(。)
<平成28623日知的財産高等裁判所[平成28()10025]>

原告は,米国において,本件図柄の著作権登録を受けている旨も主張するが,本件において原告が問題とする本件図柄の利用行為がいずれも日本国内におけるものである以上,本件図柄の著作物性の有無は日本国法に基づき判断すべきものであり,米国における著作権登録の有無が上記判断に影響するものではない。
<平成250605日東京地方裁判所[平成24()9468]>

【登録の抹消請求の可否】

本件ソフトウエアの著作権は、本件登録において著作物が最初に公表された年月日とされた平成984日時点では、原告と被告○○の共有であり、著作権者を被告○○のみとする本件登録は、この点で実体に反するものといえる。
著作権法761項の第一発行年月日等の登録は、著作権者が当該著作物が最初に発行され又は公表された年月日の登録を受ける制度であり、その法律上の効果は、登録に係る年月日にその著作物が第一発行又は第一公表されたものと推定されることにあるが(同条2項)、加えて、著作権登録原簿に著作者として登録されている者が著作権者であることを公示する事実上の効果があり、この事実上の効果を期待して登録が行われることも少なくない。
共有著作物について、共有者の一部の者が単独で著作者として第一発行年月日の登録をした場合、著作権者として登録されなかったその余の共有者は、その後、著作権登録申請(著作権法77条)をしようとしても、著作権登録申請書に前登録の年月日及び登録番号を記載することが要求されていること(著作権法施行規則8条の31項、別記様式第六4〔備考〕2、同様式第三〔備考〕6)から、前登録である第一発行年月日登録の内容と齟齬するものとして拒絶されるおそれがあり、また、第三者に対する権利行使において、自己が著作権者の一人であることの立証につきより重い負担を負うことになるなど、円満な著作権の行使を事実上制約されることになる。この点において、著作権者以外の者が第一発行年月日の登録を受けた場合と変わりない。したがって、著作権の共有者は、自己が持分を有する著作物について、共有者の一部の者が自分を単独の著作者と表示して著作年月日登録をした場合には、当該他の共有者に対して、当該著作年月日登録の抹消登録手続を求めることができると解するのが相当である。
以上によれば、原告の被告○○に対する本件登録の抹消登録手続請求は理由がある。
<平成140829日大阪地方裁判所[平成11()965]>

著作年月日登録の効果は、新法付則12条、旧法355項の規定により、登録された著作年月日が著作の年月日と推定されるというにとどまらず、著作登録簿に著作者として表示されている者が、著作者として事実上推定されるものである。更に、旧法施行令付則5条により、著作年月日登録がされている著作登録簿が新法における著作権登録原簿とみなされるところ、新法施行規則別記様式第六4[備考]2、同様式第3[備考]6によると、著作権者が著作権の登録(新法77条)をする場合には、前登録の年月日及び登録番号を記載することが要求されているから、右著作登録簿に記載された内容と齟齬する内容の著作権登録申請は、これを拒絶されるおそれが存する。このように、真実の著作者以外の者の名義により著作年月日登録がされる場合には、これによりその著作物の著作権者は、円満な著作権の行使を制約されることになる。したがつて、著作権者は、その有する著作物について、真実の著作者以外の第三者が自分を著作者と表示して著作年月日登録をした場合には、その第三者に対して、当該著作年月日登録の抹消登録手続を求めることができるというべきである。
これを本件についてみるに、被告は、「智惠子抄」について、編集著作者でないのに自分が編集著作者であるとする本件登録(著作年月日登録)をしたものであるから、数次の相続を介してAから「智惠子抄」の編集著作権を取得した原告は、被告に対し、本件登録の抹消登録手続をすることを求めることができる。
<昭和631223日東京地方裁判所[昭和41()12563]>
【参考】
[旧著作権法15条(登録)]③ 著作者ハ現ニ著作権ヲ有スルト否トニ拘ラズ其ノ著作物ノ著作年月日ノ登録ヲ受クルコトヲ得
[旧著作権法35条(著作者・発行者の推定]⑤ 第15条第3項ノ規定ニ依リ著作年月日ノ登録ヲ受ケタル著作物ニ在リテハ其ノ年月日ヲ以テ著作ノ年月日ト推定ス

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