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カネダ著作権事務所

著作権判例エッセンス

写真著作物②

【その他】

本件写真は,原告が,天候の良好な平成23年3月2日の日中に,インドの世界遺産であるエローラ石窟群のカイラーサ寺院を被写体として選択し,日陰となる箇所が極力少なくなるように配慮しつつ,同寺院の正面を斜め上方から,同寺院の主要な建物を中心に据え,その全体がおおむね収まるように撮影したものであることが認められる。
そうすると,本件写真は,原告が撮影時期及び時間帯,撮影時の天候,撮影場所等の条件を選択し,被写体の選択及び配置,構図並びに撮影方法を工夫し,シャッターチャンスを捉えて撮影したものであるから,原告の個性が表現されたものということができる。したがって,本件写真は原告の思想又は感情を創作的に表現した「著作物」(著作権法2条1項1号)に該当し,本件写真を創作した原告は「著作者」(同項2号)に該当するので,本件写真に係る著作権及び著作者人格権を有する。
<令和21223日東京地方裁判所[令和2()24035]>

本件写真は,A名誉会長を被写体としてはっきりと撮影する一方で,背景の壁及び花並びに手前にあるマイクはぼかすなど,撮影者であるBの思想・感情が創作的に表現されているから,写真の著作物として著作物性が認められる。
<平成271130日東京地方裁判所[平成27()18859]>

本件写真は,原告の名誉会長夫妻が,原告の施設に赴いた際,数十名の原告会員らが,同施設前において,同夫妻らに拍手をし,同夫妻らが,これに車中から応じる場面を撮影した報道写真である。同写真は,時間的に動きがあり,空間的にも広がりがある場面を効果的に表現するため,撮影のアングル,シャッタースピード,タイミング,絞りなどにおいて工夫がされていると認められる。
そうすると,本件写真は,撮影者の個性が現れ,撮影者の思想又は感情を創作的に表現した著作物に当たるというべきである。
<令和元年517日東京地方裁判所[平成31()6060]>

本件写真は世界広布新時代第39回本部幹部会の様子を撮影したものであるところ,講演者とともに,参加者及び会場のおおむね全体が写るように講演者の斜め後方から撮影されており,被写体の選択,構図,カメラアングル等に撮影したAの個性が表れているものと認められる。したがって,本件写真は思想又は感情を創作的に表現したものとして,その著作物性が肯定できるものというべきである。
<令和元年730日東京地方裁判所[平成31()8400]>

本件写真は原告の施設で行われた全国代表協議会の様子を撮影したものであり,講演者のB会長と,B会長の講演を聞く参列者の様子を捉えたものである。本件写真は,B会長が揮毫を指し示した瞬間におけるB会長及び参列者の表情並びに揮毫を画面にバランスよく配置される角度から撮影されたものであり,被写体の構図,タイミング,シャッタースピード等に撮影者であるAの個性が現れているものと認められる。
したがって,本件写真は思想又は感情を創作的に表現したものとして著作物に当たる。
<令和元年1224日東京地方裁判所[令和1()18235]>

本件写真は,原告の施設内の一室で行われた法要において,多数の参加者が椅子に座って手を合わせている様子を撮影した写真であると認められるところ,本件写真は,後方にいる参加者まで撮影の対象にしつつ,前方の参加者の顔が重ならないよう,撮影のアングル,シャッタースピード,タイミング等において工夫がされているものと認められる。
そうすると,本件写真は,撮影者の個性が現れ,撮影者の思想又は感情を創作的に表現した著作物に当たるというべきである。
<令和21014日東京地方裁判所[令和2()6862]>

本件写真は,民家風の建物の畳敷きの室内において,鞭を持って座っている男性の正面に,女性が縄で緊縛された状態で柱に吊るされている状況が撮影されたものであるところ,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,被写体と光線との関係,陰影の付け方,部分の強調,背景等の総合的な表現に撮影者等の個性が表れており,創作性が認められ,著作物に当たる。
<平成30927日東京地方裁判所[ 平成29()41277]>

本件各写真は,いずれも有名な女性コスプレイヤーを被写体とするものであるが,本件写真1は,日中の屋外において身体を横向きにして視線をカメラに向けた被写体のバストアップの写真であり,被写体の後方をぼやけさせ,フラッシュを発光させるなどして撮影されたものであること,本件写真2は,屋内において身体を正面に向け視線をカメラに向けた被写体の上半身の写真であり,被写体の後方をぼやけさせ,フラッシュを発光させるなどして撮影されたものであることが認められる。このように,本件各写真は,絞りや陰影,構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるから,写真の著作物であると認められる。
<平成301026日東京地方裁判所[平成30()21931]>

本件プロフィール画像は,口から煙を出している原告の顔を正面から撮影し,中心からやや下方に原告アカウントのユーザー名を記載したものであって,文字部分を含めた全体の構図や,光の当て方,顔の角度,漂う煙がきれいに見えるように流れ方,量及び濃度などを調整した上でシャッターチャンスの捕捉をしている点などを工夫して撮影されたものと認められる。そうすると,本件プロフィール画像は,原告の思想,感情を創作的に表現したものであって,写真の著作物に当たると認めるのが相当である。
<令和2212日東京地方裁判所[令和1()22576]>

本件写真1は,本件会議においてスピーチをしているA名誉会長を撮影したものであると認められる。そして,本件写真1は,スピーチをしているA名誉会長が本件揮毫を指し示す動作をした場面を捉え,A名誉会長と本件揮毫とが一つの画面に収まるように両者を斜め前方から撮影したもので,撮影のタイミングや撮影方向,構図等に撮影者の思想及び感情が創作的に表現されているということができるから,写真の著作物として著作物性が認められる。
本件写真2は,原告の神奈川県文化会館でピアノを演奏するA名誉会長とそれをそばで見守る同夫人を撮影したものであると認められる。そして,本件写真2は,A名誉会長及び同夫人を画面中央より左側に捉えつつ画面右下にピアノを比較的大きく捉え,また,影がかかって上記両名及びピアノが暗くならないように撮影することにより,A名誉会長がピアノを演奏している状況やその際の表情,そのそばで同夫人が笑顔でこれを見守る際の表情やしぐさを明確に覚知することができるようにしたものであって,撮影のタイミングや撮影方向,構図等に撮影者の思想及び感情が創作的に表現されているということができるから,写真の著作物として著作物性が認められる。
<令和2219日東京地方裁判所[平成31()9347]>

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