その4.グレーでアミトーンを貼る※
アミトーンとはこのように点や線のみで構成されたトーンの事です。
アミトーン
この点や線の細かさが「線数」です。線数=ラインで、60Lとか80Lとか呼びます。数字が大きければ大きいほど細かくなります。市販のトーンと同じです。
普通の漫画で使うのは概ね100Lくらいまでかと思います。あまり細かくすると潰れてしまい綺麗に印刷できないので注意しましょう。
アミトーンは、いったんグレーで塗ったものを後で点や線へと変換する事で貼ります。

※この作業は「その3.線画を1200dpiで2値化する」の前に行う事もできます。
輪郭や髪の毛の先などの線があまり閉じてない(途切れている)絵柄の方は、線画を2値化する前にやった方が楽に作業できる場合もあります。
2値化した状態でマジックワンド(自動選択)ツールを使うと、わずか1pxの隙間からでも選択範囲が外に漏れてしまうからです。
アバウトな自動選択を使いたい方は3の前にやるといいと思います。俺はマスクしか使わねえ!な方はどちらでも大丈夫です。
グレーを塗る所まではSAIでもできますので、SAIの方が塗りやすい(選択範囲が作りやすい)という方も、メモリ負荷率と相談しつつ3の前にやりましょう。
逆に、私のように線がきっちり閉じている絵柄の方は3→4の順にやった方が絶対に楽です。
ご自分の絵柄や作業方法に応じて手順を変更してください。


1.線数別にレイヤーを作る
濃さに関わらず、線数の細かさ別にレイヤーを作ります。線数をレイヤー名にすると分かりやすいです。
いつも使うのは大体60〜90Lのアミ点トーンですので、60、70、80、90の4枚を作りました。必要に応じて増やします。
点ではなく線にしたい場合も別のレイヤーにします。
作成したトーン用レイヤーは全て「乗算」モードにします。
レイヤー構造
 ※主線レイヤーは一度統合したので「背景」と言う名前になっています。
 ※一番上の「ホワイト」レイヤーは目のハイライトなどのホワイトが描いてあるレイヤーです。

2.グレーで塗っていく
任意のレイヤーに、塗りたい濃さでグレーを塗っていきます。
まずは女の子の服に80Lで20%のトーンを貼る事にします。
塗りつぶし
マジックワンドで選択範囲を作り、カラーピッカーのCMYKのKに20と入力。このKの値が濃さになります。30%なら30と入力します。
C、M、Yには必ず0と入力してください。これが0以外になっていると別の色になってしまいます。
色を作れたら、80レイヤーを選択し選択範囲をバケツツール等で塗りつぶします。
同じ手順で、それぞれの線数のレイヤーにグレーを塗っていきます。
80Lで40%の濃さのトーンにしたい場合は、同じ80のレイヤーに40%で塗ります。60Lにしたい時は60のレイヤーの方に塗ります。
グラデーションにしたい場合も、同じように選択範囲を作り任意のレイヤーにグラデーションツールで塗ってください。
 ※いちいちカラーピッカーで値を入力するのは面倒なので、色見本を作ってそこから色を拾うのをオススメします。
 ※PhotoShopでこの作業をすると、よく間違えて主線レイヤーに色を塗ってしまったりします。気をつけてください。
 ※「その3.線画を1200dpiで2値化する」の前にこの作業をした方は、これが終わった時点でその3を行いデータを1200dpiへと変換してください。
  その3の3まで進んだら、まだグレーのレイヤーが残っているデータを一旦別ファイル名で保存→主線レイヤー2値化→保存しておいたファイルを開き、主線レイヤーを2値化済み主線レイヤーに入れ替え でOKです。

3.レイヤー複製
塗り終わったらいよいよ変換です。
トーン化したいレイヤーのレイヤー名を右クリックし、「レイヤーを複製」を選びます。
複製先の書類は必ず「新規」にしてください。
複製

4.モード変換
無事複製されて新しいファイルができたら、イメージ→モード→モノクロ二階調を選択。
「レイヤーを統合しますか?」と訊かれるので「はい」を選びます。
「出力」は必ず「入力」の数字と同じにします。この場合1200です。変換方式は「ハーフトーンスクリーン」を選択。
ハーフトーンスクリーン

80Lにしたいので線数には「80」と入力。角度は45、網点形状は円を選択。
 ※「角度」を0にすると、点が斜めではなく横に並んだトーンにする事ができます。
 ※「網点形状」が線なら線トーンになります。その他の形状でもそれぞれ面白い効果を出す事ができます。
線数

アミ点トーンができました。
完成

5.全てを選択→コピー→元のファイルに貼り付けます。複製した方のファイルは閉じて構いません。
貼り付けたレイヤーを乗算モードに変更し、元の80レイヤーを削除して出来上がり。
はりつけ
他のレイヤーも同じ手順でアミ点に変更します。

 ※トーン変換作業面倒すぎんだよ!っていう貴方の為に、3〜5の作業をまとめたアクションを作りました→
  2まで終わらせた後、トーン化したいレイヤーを選択した状態で再生ボタンを押せば、数値を入力するだけで変換できます。


※おまけ:模様トーンの貼り方
フリー配布や市販で既に2値化されているトーンがよくあります。自作もできます。それの貼り方を一応ご紹介。

これは私が自作したものです。多分600dpi用。
適当トーン
1.PhotoShopでこのファイルを開き、Ctrl+Aで全てを選択。
2.編集→パターンを定義を選ぶ。
3.トーンを貼りたいファイルを開き、貼り付けたい場所に選択範囲を作る。
4.編集→塗りつぶし→「内容」でパターンを選び、OK。
塗りつぶし
 ※600dpi用のトーンを使う時は、必ず1200dpiに拡大してから使ってください。
  かなりガタガタしてるように見えるかもしれませんが、印刷してしまえば分からなくなります。

これで、線画・トーン共に2値化が完了しました。
文字入れ、ホワイト入れ、トーン削り等は各自で行ってください。
あとは全てのレイヤーを統合すれば出来上がりです。

※管理人から一言※
アミトーンは、事前にアミ点へと変換しておいた画像や市販のトーンを「模様トーンの貼り付け方」の方法で貼る事もできます。
なぜそれをしないかと言うと、グレー変換の方がちょっとした色の濃さの違いや線数の違いなどを自分で調節できるからです。
特に、グラデーションを好きな濃さ・方向で貼る事ができるのが非常に大きいです。便利すぎます。
また、写真やイラストなどを貼り付けアミ点化することで、模様トーンとして利用することもできます。
ぜひご活用ください。


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