その3.線画を1200dpiで2値化する
※これから紹介するやり方は、600dpiの線画を1200dpiに拡大してから加工し2値化するという方法です。
実はこんな面倒な事をしなくても、600dpiの線画を軽く補正し、イメージ→モード→モノクロ二階調で出力:1200dpiとする事で簡単に1200dpiの2値線画を作る事ができます。
しかしそれだと600dpiと変わらないクオリティになってしまう(線がガタつく)ので、私は拡大→補正→二階調の手順を取っています。
1200dpiのクオリティの線に仕上げたい、でもペン入れは600dpiでしたい、そんなわがままを実現するために編み出したのがこの方法です。
でも、それで印刷した時の仕上がりにどんだけ差が出るんだ?と言われると困ります。
絵柄や描き込みにもよるのですが、ガタついて見えるのはモニタ上だけで、印刷すると正直そんな差はないような気がします。つまり自己満足です。
それに私の場合、わりと平坦な線の絵柄なので拡大→補正をしてもそう大きく印象が変わる事はありませんが、人によっては大きく違ってくる事もあると思います。
下でやっている線画補正は一度拡大する事でボケてしまった線を直すためというのが大きな理由です。拡大→補正の際に線の表情が失われてしまう方は、上記の方法での2値化をオススメします。
600dpiから直接2値化する方法でなら、あまり補正せずに2値化してもそう問題ないかと思いますので、仕上がりイメージも変わりにくいと思います。
ご自分の絵柄に合った方法で2値化を行ってください。
※600dpiで二値化し、トーンも600で作り、最終的に600dpiのまま完成させる事ももちろんできます。
しかし600と1200ではトーンの表現にかなり差が出る場合もありますので、線は600でもトーンや仕上げは1200dpiにする事をなるべくおすすめします。
※ちなみに、「ペン入れの時に線の太さをうっかり間違えてしまった!」という場合、バイキュービック法で一度拡大するのは有効な手段の一つです。
線がボケる事によって、レベル補正で線の太さを調節しやすくなるからです。ただし、あまりやると余計な部分まで潰れたり飛んだりするのでご注意を。
保存したファイルを今度はPhotoShopで開きます。
一度2値化してしまうと後でミスに気付いてもなかなか直せないので、この時点で「別名でファイルに保存」を選び、ペン入れに使ったpsdファイルとは別のpsdファイルを作成しておく事をおすすめします。
下書きレイヤーはもう必要ないので捨てます。枠線と主線レイヤーは統合するので、重なってる部分はちゃんと消しておきましょう。
効果線や背景レイヤーがある場合も、特に分ける必要が無ければ統合してOKです。
別々にトーンを貼りたいなど、別レイヤーのまま作業したい場合は統合せず非表示にし、あとで別に2値化して貼り付けてください。
1.「画像を統合」でレイヤーを一つに統合する。
2.イメージ→モードでグレースケールモードに変更する。
3.イメージ→画像解像度 で解像度を1200dpiに変更する。
※私は「画像の再サンプル」はバイキュービック法でやっていますが、ニアレストネイバー法の方が綺麗だという意見も多いようです。その場合、600dpiで2値化したのとあまり変わらない仕上がりになるかと思います。(もちろん、補正次第ですが)
バイリニア法というバイキュービックとニアレストネイバーの中間的なものもあります。ご自分で色々試してみてください。
4.線画の補正
600dpiの線を1200に変換したので、このように線がかなりボケています。(200%で表示しています)
このようにグレー部分がある線にトーンを貼るとモアレを起こす場合があるので、線を白と黒の2色のみに変換、いわゆる「2値化」をします。
まず、イメージ→色調補正→レベル補正でこのボケた部分を補正して飛ばします。
左右の△を中央に寄せる事でボケが少なくなります。それぞれ自分で好きなようにスライダーを動かし調節してください。
ただし、これの動かし方によって線の太さがかなり変わります。ボケを全く無くす必要はありませんので、全体の様子を見ながら線のイメージを損なわない程度に調節してください。
左の▲を右に動かすと線が太く、右の△を左に動かすと線が細くなります。
ペン入れ時に「線の太さ間違えちゃった…」という場合も、ここである程度補正する事ができます。
※ボケ飛ばし・線の太さ調整にはフィルタ→シャープ→アンシャープマスクも有効です。
レベル補正は使わずこちらを使ったり、あるいは二つを併用する事で仕上がりはまた変わってきます。この二つを組み合わせて、自分のイメージに合った線画を作成してください。
これに関しては、Photoshopで漫画処理をするヒントの「線画補正」の部分が詳しいのでこちらを参考にしてください。
※また、イメージ→色調補正→明るさ・コントラストでもある程度調整できます。
5.イメージ→モード→モノクロ2階調で線画を2値化する
私は「50%を基準に2階調に分ける」を使用していますが、誤差拡散法(ディザ)を使う方の方が多いようです。
線が細かい方、線の表情が豊かな方は誤差拡散法(ディザ)を使った方が良いかもしれません。ご自分で色々お試しください。
左は50%を基準に〜で2値化、右は誤差拡散で2値化した線です。(100%表示)
右は少しざらついて見えますが、印刷した時には全く分からなくなります。
両方印刷したら恐らく左の方がわずかに太く見えるのではないかと思います。
6.イメージ→モード→グレースケール
モノクロ2階調のままだとレイヤーが使えずトーンが貼れないので、グレースケールに戻します。サイズ比はもちろん1です。
※以上の1〜5の作業をアクションとして保存しておくと便利です。
※管理人より一言※
特に線画の2値化については、ちょっとした数値の違いによって大きく差が出てきます。
何度も試行錯誤を繰り返し、自分に合った数値・方法を探していくしかありません。
自分で試しに印刷してみるのもいいかと思いますが、やはり家庭用プリンタと印刷所のプリンタでは全然違います。
また、インクの濃さや紙質などによっても印刷の仕上がりは変わってきます。
いくら数値を調整しようとも、最後の仕上げは印刷所次第です。潔くお任せしましょう。
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