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大学生活最後の夏、さすがに95Kの体重ではマズイと思い減量大作戦をや らかしました 、毎日ウエイトトレ−ニング1時間水泳1時間を半年間続け7 8Kまでやせました。
実は就職活動もして内定をもらっていたのですが、それを一年延ばしてもらま した。
工学部電気科と言うことも有りますが、卒業者名簿で就職先が某専門道場なの はなんか不自然でした。
師匠にいろいろ教わったのですが、最近僧堂を出た人に話しを聞くと師匠の言 ってることとぜんぜん違っていて一抹の不安を感じた、そりゃ戦後すぐの50年前と現在では違って当たり前だ。
庭詰め1日目
掛到する日は4月一日に誰か掛到するらしいというので二日の日に決めた(結 果的にこのNo3の位置は私にとって良い位置だった)このへんから要領男の 感が冴えていた(この感には随分と助かった)
仲間とも別れを惜しみ、さあ明日は庭詰めだという日床屋 で頭がつるつるになって行くのを鏡で見ている時は、正直逃げ出したかったなぁ
朝4時に起き支度をして師匠に送られながらTAXIで僧堂に向かうのであ った(この辺が今は恥ずかしい、電車で一人で行ったならカッコ良かったと思 う)さて駐車場につき師匠とも別れをした後(喫煙者ならここで最後の一服を するのであるが)階段を上がり玄関にたどり着く、中では粥座の最中らしい、 教えられたとおり座り込み掛搭願書と誓約書の入った封筒を出し
「たのみましょ〜〜う」
返事がないそのまましばらく待つと、小さな声で「もう一回」と言われもう一回
「た−の−み−ま−しょ−お・・・」
「ど−れ−」 やっと誰か出て来た
「東京都町田市萬松寺徒弟柴崎信洋専門道場掛搭したくよろしくお取り次ぎのほど」 封筒を持って行って暫くしてから
「当道場はただいま満衆に付き他の道場に足元の明るいうちの御巡りください」
教えられたように言うと教えられたように答えが帰って来る。
そのまま座り込みが始まるのであった
粥座が終わったらしく大勢が玄関から出て行く自分の近くを何と言うか均整の 取れた足音がたくさんとうりすぎて行くはっきりいって恐い
しばらくすると、あと二人来て順番にたのみましょうをかける、誰も出てこな い所を見ると2か目の人らしい、それから早起きのせいだろうか暫くの間睡眠 をとるのであった。
ふと痛みで起きると、私の太股はがちがちになって痛くなってきているこれは 東司にいって足をほぐさないっと耐えられないので東司(トイレ)にいくが「余り長く東 司に入っていると怒られる」と言われてきたので急いで東司から出るすると他 の二人も東司に来た。
三人もいっぺんに東司に来るのはマズイと思い速く帰ってまたしゃがみこむし かし二人はなかなか帰ってこない、さすがである例え一日しか違わなくてもこ の余裕、何と30分以上たってから帰ってきた。
また足が痛い、少しずつ足を動かす、ちょっと楽になってもそれもすぐ痛くな る腰も痛い、痛い、痛いひたすら痛い、もう限界である、しかしそうしょっち ゅう東司にも行ってられない 、回りの様子をなんとなく探る、誰も見てなさ そうだ、いや例え怒られてもいいもう耐えられない
次の瞬間腰を延ばし足を延ばすすぐ元に戻す、その間約一秒、なんとか見つか らずに済んだ、しばらくすると前に坐ってる奴も同じ風に動くしかしやはり一 日違う余裕で有る、くねくねと5秒以上動いていた,小心物の私には彼がうらや ましかった。そのじっとしていながら突然一瞬動く攻撃を三人で幾度かする と、誰か来る
斎座ですので足を洗って雲板(うんぱん)がなるまで旦過寮(たんがりょ う)でお待ちください」やっとお昼ご飯だ,あの玄関の静地獄から解放される と思った
しかしその斎座こそ大変だったのである
旦過寮で待っていると雲板がなる、先の二人に付いていく。 いきなり二人が低頭する私も急いで低頭。
「御願いいたします斎座御願いいたします」
ん?なんか暗号のようなことを言ったぞ?と思っているとどこからともなく 「はい」と返事。
また前の二人に付いていく、食堂(じきどう)を通り過ぎ典座(てんぞう:台所又は料理当番の役名)に 飯台が置いて有る。一人の雲水が「一番の奴おまえがタクを使って飯台経をみんなで読むんだ もう飯台経は分かってるな新入りにも教えてやれ」
おいおい知らないゾそんなもの・・・・、何のお経か教えてもらいタクがなる。
カチッ まかはんやはらみた・・・・・・・・
かんじさいぼさ・・・・・・・・お経を読み始める。
なんと読みながらご飯をよそらないといけない経本から目を離すとどこを読んでいたか分からな くなるし大変である、またいくつかのお経を読むのだがページが離れていて大変だ。全部よそり 終わってホッとしてお経に熱中する、カチ、タクがなる
「ここじゃないだろ〜〜〜」いきなり怒鳴られる、どうやらタクを撃つ場所を間違えたらしい。 こここここ恐いじゃないか勘弁してくれよ〜と思っていると脇を押される、なにかしないといけ ないらしいが、恐がっていて何をして良いか見てなかった。サバ(餓鬼に米7粒を上げる)を サバ器に出さないといけないらしいが出し方が有るみたいだ、分からないからそのまま出す。 こわごわと斎座を食べる。食べ終わるとお湯で自鉢を洗いお湯を飲む またタクがなる。お経を読みながら自鉢をかたずける。また二人に付いて帰る、またさっきと 同じ所で低頭
「御願いいたします斎座ありがとうございました。」
どこからともなく「はい」
一体誰がどこから返事をしているのだろうか謎だ?
旦過寮に戻りさっきのサバについて教えてもらう。みんなで支度をして庭詰めに帰る。 午前中に同じくたまにくねくねしながらずっとうつ伏せに低頭しているただそれだけである。 午後四時を過ぎた頃であろうか誰かが来る。
「本日は足下も暗くなりましたので旦過寮にお泊まり下さい、明朝は早々とお帰り下さい」
本当に帰って良いのなら帰りたいが本当に帰る訳にはいかないよなぁ
旦過寮に足を洗って入る。しばらくするとさっきの典座の人が来る。
「おう、おじやはこれで多すぎないか?一度持ってきたらもう全部食べないといけないんだぞ」
(後で知ったのだが普通は食べれないほどの量をわざと出して修行させるらしいのだが、この件に関しては やさしかった、因みに私が典座の時は伝統に従いました。)
「大丈夫です」一番が答える。「ほんとにいいんだな」といい帰っていく。
「御願いいたします薬石御願いいたします」おじやとポットを持ってくる。
「ちゃんとタクを使って薬石を食べろよご飯粒一つ残すなよ」と言い残していく
後は3人だけでだれも見てない、薬石はお経は読まないがタクを使って支度する。自鉢大盛り3杯 のおじやを食べる多いはずなのだがまだ足りない、お湯で自鉢を洗うそしてお湯とお新香で鍋も洗う
そこまでしないといけないらしい、洗い終わるとそれを持って典座の裏の水道で洗う、洗うのなら 別にお新香で洗ってそのお湯を飲むこともないのにと思うが見られたらまずい(雲水からするといちいち チェックしてる暇などないのだが)洗い終わると
「御願いいたします薬石ありがとうございました」鍋とポットを返す。
「ん、ちゃんときれいに洗ったろうな」
「はい」
旦過寮に帰ってしばし休息、しばらくすると開板がなる、ガンコンコンガン、一人が電気をつける。 どうやら電気をつける合図だったらしい、誰かが来る。
「御願いいたします茶礼御願いいたします」
されい?なんだそれは?
お茶と菓子を持ってまた違う人が来た。
「明日からお二人には旦過詰めに入っていただきます、そちらは庭詰め2日目です」 そうか明日から一人か寂しいな〜
「そちらの方は投宿帳をお書き下さい」帳面を出す。 それに書いてるあいだ他の二人は旦過詰めの話をしている。筆なので下手で読めない字で書き終わって出すと 「所で何年いるつもりなの?」なれなれしく聞いてくる。 一番が「3年です」二番が「うちは1等なので5年です」
おいおい勘弁しろよ俺は一年って言われてきたんだぞ
「一年です」こわごわ答える。
「え〜今は一年じゃ住職になれないよ、最低3年なんだよね」
うげ!!目で他の人に訴えると、みんなうなずく、いやこれは脅しだ。 絶対一年で出れるはずだ。(実際は3年半もいた)そう自分の心に言い聞かす。
お茶を持ってきた人が帰る(しかしその彼は他派だったので一年ちょっとで帰っていった) 後は自己紹介的な話をする、人が外を通る度に息を潜める。
また開板がなる。今度は電気を消す
ご〜〜ん! 大鐘がなるどこからともなくお経が聞こえてくる
ご〜〜ん!また大鐘がなる(実際には般若心行一回につき一回叩く18回つづく) その奇妙な音の交わりの中、普通の布団の二倍の広さのカシワ布団の片側に 体を起きもう片方を自分のうえにかぶせて寝る、今後への不安を抱きながら。
庭詰め二日目につづく
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