僧堂日記


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【入門物語2】庭詰め二日目
 yo-san  - 03/10/6(月) 11:41 -

引用なし
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   庭詰め2日目

遠くからチリンチリンチリン・・・・・と音がする。
その音がだんだん近ずいてくるそして旦過寮の前で誰かが
「御願いいたします、開静(かいじょう)御願いいたします。」 たしかさっき目をつぶったような気がするのにもう起きないといけないみたいだ 目を開けるとそこは暗闇、まだ夜じゃないか。 誰かが電気を着けてくれた。 単布団をたたまないといけない、たたむというよりは丸めるなのだが2畳有る布団を 半分におりくるくるっと俵型に丸めて紐で縛る。これが難しい。私がやっとの事で 縛るともう二人はいない、いったいどこに行ったのか?一人が帰ってくるどうやら東司 に行っていたみたいだ「時間がないよ」とせかされ急いで東司に行く帰ってくると もう二人は着替えに入ってる、急いで自分も着替える。ドッド〜〜ン法鼓(ほっく、太鼓) の音が鳴り響く二人について経本を持ち本堂に向かう本堂は開けっ放しだ、本堂の中で 立って待つ、太鼓は聞いたこともないリズムで角を使って鳴り響いているその内、 本堂に何人か集まる、そして禅堂のほうから何人も並んで出てくる、 先頭の人が歩きながら印金をチ〜〜ンと鳴らしているなんか不思議な儀式が始まるみたいだ。 全員位置に着くとチ〜〜ンで合掌、問訊(もんじん、おじぎ)して座を組む、座の組み方なんか知らないからあぐらで座る。そして老師入堂、背の小さいのが大きい人に連れられてきて まん中の拝敷に行って座る。あれが恐れ多い老師だと知ったのは後からのことでした。
みょうほうれんげ〜きょう〜・・・
お経が始まる、魚鱗(ぎょりん、木魚)がポク、ポクぽぽだだだだだ・・・・・・・・・ 最初はゆっくりだったのにだんだん速くなり最後にはマシンガンが炸裂したかのような 速さになる、まだ読み始めなのに既にどこを読んでるか分からない探しても見つかるわけがない、 ま〜オレだけじゃないだろうと横を気にすると、ちゃんと読んでるじゃないか(彼は憶えてきた のだった)しまったオレだけ目立ってしまうじゃないか、必死で今読んでるところを探すが 見つからない隣を覗くとページからして違う、既に読むのはあきらめたが必死で読んでるように 経本を見ながらぶつぶつ小さい声でつぶやく、約一時間の朝課が終わると旦過寮で待機、眠い 目を擦りながら朝の動きを聞く、するといきなり禅堂から一斉に走ってくる足音が、ポワ〜〜ンと 喚鐘の音がする、すると本堂のほうから
ぎゃ〜〜〜〜〜〜と叫び声または異様な怒鳴り声がする。なんじゃこれはとほかの二人に訪ねると これが禅問答の独参(どくさん)ではないかと言う。
また一時間ほどすると、典座から雲版の音がする 粥座(しゅくざ、朝御飯)の合図だ、二人に付いて今度は違う脇玄関から上がるそして みんなで低頭して「御願いいたします粥座御願いいたします」と一番目が言う どこからか「はい」と返事がする。 食堂(じきどう)の入り口で待つと禅堂から大勢並んでくるその列を眺めてると最後の一人が 前にはいれと合図してくれたので3人して前に入り食堂にはいる、飯台が変な風に置いて有る 一体どこに付けば良いのだか分からないが前の人のとなりに立つ、印金の音で問訊して座る。 まかはんにゃはらみたしんぎょう〜〜・・飯台経が始まる。自鉢を広げながらお経を読むのだが 広げるのが忙しくて経本など読んでいられない隣を覗きながら同じように自鉢を置く、 まだ自鉢を広げられないのに飯台看(はんだいかん、給食当番)が粥を盛って歩き始めた、 何とか自鉢を広げるともう自分の前に来て手を出す、自鉢を広げるのが忙しくて前の人の動きが 見れなかった。一体どうすれば良いんだ、ぐっと手を出してきたので手に親椀を置くと粥を 注いでくれる何とか前の人がやっていた合掌をずらすと注ぐのをやめるのを見ていたので直ぐに 合掌をずらして粥を止める。今度は梅干しを持って歩き始める、それも一個で合掌をずらして 止めてもらう。次ぎに木のちりとりの小さいよなサバ器をもって歩き始めるそれにみんな箸で 粥のご飯粒をつまみ置いていくしかし粥とはいうけれども、ただのお湯でお椀の下になんとなく御飯つぶらしき粒が沈んでいるだけなのでその粒なんかなんかなかなかつかめない なんとかつまんで上に置く、飯台経も読み終わり粥も回ったのでタクの音で一斉に合掌して食べ始める。 粥はまだ熱くてなかなか食べられない苦戦してると、もう2杯目が 回ってる、隣が肘で合図するので箸を置く2杯目も同じようにもらう、さて困った梅干しを 食べたのだが種をどうしたら良いのか分からない取りあえず口の中に入れたままにする。 3杯目はみんなが回ってくるが前の人がしたように低頭するとそのまま行ってくれた。 しかし種は口の中にはいったままだすると木桶のような折水器(せっすいき)が回って それにみんな種を入れてる、自分もいれる後はお湯が回ってくるそれを親椀にとって それで洗鉢する、またお経が始まると自鉢をかたずけ始める、お経が終わるとみんなで立って 問訊して退室する。自分たちも後について退出してまた最初の所で「御願いいたします粥座、ありがとうございました」と低頭、2杯の粥を食べるのに何時間もかけたような気がした。
その後旦過寮で茶礼したのち一度山を下りてまた上がって行き前日と同じように たのみましょうかける。先の二人は今日から旦過詰めなので今日から一人である。 その内雨が降りだした冷たい風が吹いてくる寒い・・・・
東司に行くとき草鞋なので足袋が濡れてしまい足がしんしんと冷えてくる骨まで寒い、腰が痛い、足がしびれる、眠い、眠い、ねむい〜、眠りは痛みや辛さを忘れさせてくれる最後の逃げ道だ。 ふと気が付くと誰かが呼びに来た、やっとお昼だ。旦過寮に行くと開け放たれてるはずの 窓が閉められてる、雨だと閉めるんだそうで二人ともぐっすりと旦過詰めをしていたそうだ。 畜生こっちは寒い思いで外みたいな所にいるのにこいつらはと悔しく思ったのだった。
さてまた雲版の音がする、昨日とは違い今日は粥座と同じで「御願いいたします斎座 御願いいたします」と低頭して待ちみんなの後について食堂に入る。今度は朝とは 飯台がちがって置かれている。また隣に並び印金で問訊今度は正座で座る。 (朝は本飯といって本式の飯台座で昼は隋飯といって作務着等で食べる略式だった もちろん3食ともに本飯と隋飯がある)、飯台経が始まりまた自鉢を広げると 今度は向かい合わせに座った飯台のまん中を飯器が通るようになっていて自分たちで 下の方に手渡しで動かして自分たちでよそる方法だ。まずは飯器(ご飯)が流れ次ぎに汁器(汁器、味噌汁) 次ぎに菜器(さいき、漬け物たくあん)が流れる、おかずは赤椀にもってすで飯台にはじめから 置いて有る。全部よそりおわるとまたサバ器が流れてくる今度は指でご飯をひとつまみつまんで サバ器に置く。飯台経が終わりタクの合図で合掌して食べ始める。まだ食べ始めたばかりなのに もうおかわりが流れ始める今度は汁器からだ。まだ食べ終わってないけどみんなが注ぐから 自分も少し注ぐご飯も少しよそる。そして食べ始めたと思ったらまた流れてきた、よそってばかりで 食べる暇がない。既にみんな食べ終わっていて食べてるのは3人だけになる焦って食べるが ぜんぜんご飯が喉を通らない、何とか押し込むやっと食べ終わった。そしてまた飯器が 流れ始める今度は全員が低頭、よそられることのない飯器は手渡しで中を浮いたまま 目の前を通り過ぎていくそして上と下から湯器(とうき、湯)が流れ湯器を取る。 みんな赤椀を残して置いた沢庵できれいに洗ってる、自分は沢庵全部食べっちゃった、 しかたないので洗ってるふりをして赤椀を重ねる。自分の自鉢を洗いしまうがしかしいきなり
「うるさい!!静かに洗え」と怒鳴られる。ひえ〜〜恐いよ〜〜、 音をしなくしようと努力すればするほど手が震えかたかたと音が出るこりゃまずいぞ〜、でも 今度は怒鳴られなくなんとか自鉢を洗う、タクの音で折水器が流れ前を通ったら急いで 自鉢をしまう (流れるのは上から下なので下の方はどうしても時間がない) そして起立して退室なわけだが正座だったので足がしびれて立てないがしかし立てないでは 許されるわけがない急いで何とか立つそしてひょこひょこ歩きで退室してまた「御願いいたします 斎座ありがとうございました」の低頭をして旦過寮にまた玄関に座り込む。
後は1日目と同じなのであった。痛い、寒い、眠い、暇・・・・1分が凄く長い。 夕食のおじやはやっと3人だけでのごはんやっと物を食べた気になったのだった。 夜、また単布団で考える
明日からは旦過詰め雨が降って欲しいな・・・ しかし人生甘くはなかった。
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僧堂を出て忘れてる事も多いので飯台座などもしかしたら順番が違ってるかもしれません。
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【入門物語1】庭詰め一日目 yo-san 03/10/6(月) 11:39 [添付]
【入門物語2】庭詰め二日目 yo-san 03/10/6(月) 11:41
【入門物語3】旦過詰一日目 yo-san 03/10/6(月) 11:42
【入門物語4】旦過詰二日目 yo-san 03/10/6(月) 11:43
【入門物語5】旦過詰三日目 yo-san 03/10/6(月) 11:44
【入門物語6】新到参堂 yo-san 03/10/6(月) 11:45

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