Mt.Edith Cavell でトレッキング
「ジャスパーで1日しか時間がないといわれたら、私はマリーン湖よりもここをお薦めします。」とのツアーガイドの方の言葉に、期待に胸を膨らませて向かったMt.エディス・キャベル。そこは確かに期待を裏切らない素晴らしいところだった。
白い雪の斜線の刻まれたMt.エディス・キャベルの凛とした美しさ。青白い光を放って迫ってくるようなエンジェル氷河。高山植物が一斉に花開いて短い夏を謳歌しているキャベル・メドウ。あんなにたくさんの高山植物の開花を私は初めて見た。夏とはいえ、日が陰り、霧が立ちこめてくるととたんにあたりは冷蔵庫のように冷えた空気に包まれる。あちこちに消え残る雪渓が寒さをさらに増幅してくれるが、今頃日本は33度か34度の猛暑だろうなあ、と思えば、こんな天然の冷蔵庫に入れられたような状況も贅沢な体験だと思えてくる。
私たちは体力がないのか、はたまた余りにも道草を食いすぎるのか、(確かにやれ写真だ、やれビデオだ、とよく時間を費やしている)私たちの後ろから歩いてくる人々は全て私たちを追い抜いていく。小さな子連れの家族も、結構お年を召したカップルも、ほとんど例外なく。取り残されたような気になってちょっと寂しいときもあるのだが、まあ、別に競争しているわけではないのでそんなことはどうでもいいのである。要は、そのトレッキングを十分に楽しんでいるかどうかということだ。こんなに素敵な風景を眺めながらのトレッキングは余計なことは何も考えず、ただひたすら自然の中に存在していることを感じていればそれが最高なのだと思う。
キャベル・メドウを下り、「氷河の小道」を歩く頃にはもう寒さも吹き飛んでいた。駐車場に車を止め、この氷河の小道だけを歩いて帰る人も多いようだ。ジャスパー内のツアーを幾つか見たが、どれも氷河の小道を歩いてMt.エディス・キャベルとエンジェル氷河を仰ぎ見るだけで終わりのようなのだ。時間の制約があるとはいえ、ここはやはり、時間をとって、お弁当持ってのキャベル・メドウへのハイキングをお薦めする。なぜなら、キャベル・メドウに立ったあなたは、エンジェル氷河をあなたの目の高さに見た時、天使が羽を広げてやってくる夢の世界に誘われるに間違いないからです。