旧上川村の北西部、常浪川の右岸に沿う野中地区の、真言宗極楽寺の境内入り口にある。オオヤマザクラの老大樹で、推定樹齢90年、樹高約10m。 踏み荒らされないようさくに囲まれた根元から、数本の幹が空に向かって伸びている。主幹は既に枯れているが、北側の6本の小主幹が生きており、その支幹中最大の1本は幹周り75㎝ほどに達している。 初代の幹は昭和の初めに折れ、昭和20年ごろには弱って枯れてしまう。株から育った今の幹は三代目だという。樹勢回復治療を経て、濃紅大輪の花を咲かせている。 オオヤマザクラ(別命ベニヤマザクラ)の一種という。オオヤマザクラは本州中部以北の山地や北海道に生育するが、普通のオオヤマザクラの花が直径3~4㎝、淡い紅色なのに対し、野中桜は直径6㎝にも及び、濃厚色の花をつける。花の見ごろは4月中旬である。 オオヤマザクラは本州中部以北の山地や北海道に生育するが、ここの野中桜は、付近の山中に自生するものと考えられており、野生種の天然変形として植物学上、貴重と言われている。オオヤマザクラの珍奇な一品種として、昭和2年(1927)に国の天然記念物の指定を受けている。 「日本の桜」(山と渓谷社)という本に紹介されてから、他県からも多くの見物客が訪れる。境内には、この桜の実生から育った別の木もあるが、花の色などは明らかに異なる。 ※ストリートビュー ≪現地案内看板≫
国指定天然記念物 極楽寺の野中ザクラ 昭和2年4月8日指定 極楽寺の野中ザクラはベニヤマザクラの珍しい一変形で、優雅な濃紅大輪の花は早春の境内を彩る。現在、主幹は枯れその周りから数本の樹幹が並立している。樹皮は暗灰色で横皮目の紋様がある。花序の長さは5センチメートルに達し、花序ごとに2~3の花をもっている。花は径約5センチメートル、花弁は円く、野性のベニヤマザクラの天然変形として植物学上貴重である。 文化庁 阿賀町教育委員会 極楽寺の野中桜 ![]() ![]() |
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