浄土真宗西方寺旧跡の裏手にあるハチクの藪で、新潟市が公有化し、整備が進められてきた。 逆ダケは、ハチクのの枝が下方に捻じ曲がり、竹が逆さに生えているように見える。植物学的に珍しいことから、東京帝国大学三好学博士が来所し、竹林を調査し、大正11年(1922)10月12日に国の天然記念物に指定された。 この竹は、親鸞聖人にまつわる越後七不思議のひとつとされている。※ストリートビュー 承元元年(1207)、35歳の時親鸞は越後に流され、国府国分寺に草庵を建てそこに住んだ。後に鳥屋野に移り草庵を営み、3年に渡り下越地方を布教して歩いたと言われている。
当初、村民たちは親鸞の布教に耳を傾けようとしなかった。かつて妻女を娶ったことのある親鸞を破戒僧とし、その説く教えは、当時の仏教の教えに染まない邪教として誰も振り向かなかったという。 しかし親鸞は根気よく布教して歩いた。ある時親鸞は鳥屋野で何時ものように説教していたが、誰も相手にしないので、 「この里に親の死したる子はなきか 御法の風になびく人なし」 という歌を詠み、手にしていた竹の杖を土に立てた。そして、 「我が弘(ひろ)むる所の法 若し仏意に称(かな)はば 此枯竹必ず当に根芽を生ずべし」と説法したという。 ところが、この枯れた竹の杖は、間もなく根を生じすくすく伸び、2~3年後には大きな竹林となった。竹は全部下向きに枝葉が出て繁茂したという。これが越後七不思議の一つ「さかさ竹」である。
≪現地案内看板≫
国指定天然記念物 鳥屋野逆ダケの藪 公開時間 四月一日から九月三十日までの間は 午前九時から午後六時まで 十月一日から三月三十一日までの間は 午前九時から午後四時まで (十二月二十八日から翌年一月三日までは入れません) 鳥屋野逆ダケの藪について この竹やぶに生育する「逆さダケ」は、ハチクという竹の枝が下向きに屈曲し、垂れ下がった状態に変異したものです。貴重な植物として大正十一年(一九二二)年十月十二日に国の天然記念物に指定されました。 この竹やぶには、親鸞聖人が鳥屋野の地で布教していたとき、持っていた杖を地面に挿したところ、根付いて枝葉が逆さに生えたという伝承があり、越後七不思議の一つに数えられています。 注意事項 (・・・省略・・・) 平成二十一年三月 文化庁 新潟県教育委員会 新潟市教育委員会 西方寺能登国(石川県)から新潟に移っていた西方寺、東本願寺から親鸞の史跡護寺の命を受け、顕彰に努めるため鳥屋野へ移転した。その後、西方寺は300mほど西に移転したが、その跡は西方寺旧跡として残されている。 旧跡には堂が建っている。近くには井戸があって、親鸞が水をくむ際、袈裟を掛けたという「袈裟掛け松」がある。また山門の脇「天然記念物鳥屋野逆竹藪」の碑がある。 西方寺には、逆さ竹が標本になって展示されている。 鳥屋野逆ダケの藪 地図 ストリートビュー |