小木海岸 Ogi Coast 佐渡市



町の南部、小木市街の南に突き出た城山台から西の白木の神子岩まで、総延長8kmの海岸線をいう。このあたりは地殻変動の激しいところで、数回にわたり、隆起・沈降をくりかえし、ために独特の段丘・溺谷の断層海岸が形づくられた。
江戸時代の1802年(享和2)12月9日に発生したマグニチュード M6.5から7.0と推定される佐渡小木地震で、小木半島の海岸では約2mの隆起が生じたと考えられており、露出した中新世の枕状熔岩を見ることができる。
いたるところに澗(ま)とよばれる大小数十の海食洞や波食痕、風食痕のほか、びょうぶ岩、鉾岩などの奇岩がみられ、各所に海底火山の名残である枕状溶岩が存在する。
矢島・経島、南仙狭、枕状溶岩台地の沢崎、奇岩「左八文字」、琴浦洞窟などがその代表的勝景として知られている。
学術的にも貴重とされ、「佐渡小木海岸」として、昭和9年(1934)5月1日、国の天然記念物及び名勝に指定されている。平成19年(2007)、日本の地質百選に選定された(「佐渡小木海岸」)。
また海のきれいな新谷岬附付近の海域一帯は、小木海中公園とされている。(案内図)

🤩2023年11月12日、主要地方道(県道45号)佐渡一周線の佐渡市沢崎~江積地内の区間が開通した。これにより小木港から小木海岸、沢崎海岸へのアクセスが向上する。


❏〔所在地〕佐渡市小木地区
❏〔アクセス〕
  • 🚘…両津港より車で約60分
  • 🚘…小木港より車で5分
❏〔遊覧船〕

力屋観光汽船(株) ※GOOGLE 画像


🔹矢島・経島 ※GOOGLE 画像

穏やかな入り江に浮かぶ二つの島。小木から岩づたいに橋を渡ると経島、陸続きの大きな島が矢島で、「矢島・経島」といわれている。
矢島は昔から竹の産地で、室町時代から戦国時代にかけて矢竹を多く生産した。矢島という名はこれから起こったといわれる。
矢島の竹は双生竹として知られ、一つの地下茎の節から二本の竹が生え、しかも二本とも同じように伸び、竹幹の太さや節間が揃っていることから、矢竹に適していた。
『平家物語』で源頼政が紫宸殿の怪物「鵺」の退治に使った矢も矢島産と言われている。
経島は日蓮の放免状を携えた高弟の日朗が激浪にあって船は難破、一人島に流れ着き、松の下で一心に読経して一夜を明かした。すると、読経の声が波に乗って小木に聞こえ、禅寺の住職に発見されて救われ、日蓮に遭うことが出来た。経島の名は此処からでたものと言われている。
  • 〔所在地〕 佐渡市小木

🔹南仙峡

小木海岸の強清水から西の犬神平まで2kmの海岸線は南仙峡と呼ばれる。1802年(享和2)の小木地震で隆起した波食棚や,西端の沢崎付近には枕状溶岩がみられる。
火山性溶岩の隆起海岸で、切り立った懸崖が海に落ち込み、洞窟・洞門・海食台・溺れ谷などが散在して、景観に富んでいる。
かつて与謝野鉄幹が「船を得て 小木の港を 出づれなり 南仙峡を 見なば帰らん」と詠んだというが、佐渡を訪れる人々が必ず一度は足を運ぶところである。
黒褐色の断崖の上部は、常緑樹林におおわれ、イワユリ・椿の群生がそれに彩をそえる。探勝には、小木港から出る沢崎回りの遊覧船を利用し海上から眺めるのが一番である。

🔹奇岩「左八文字」 ※GOOGLE 画像

弘法大師が揮毫を振るったとも称される奇岩。「八」の字の形に岩壁にくぼみがあり、海蝕によってできたとされる。
  • 〔所在地〕 佐渡市小木

🔹琴浦洞窟 ※GOOGLE 画像

琴浦の洞窟群は「海食洞」といい、海蝕によって造られたと言われ、中でも竜王洞は“佐渡版青の洞窟”と呼ばれる佐渡最大の溶岩洞窟です。
  • 〔所在地〕 佐渡市琴浦

🔹枕状溶岩台地 ※GOOGLE 画像

海底火山から流れ出た溶岩が海の中で固まったものが枕状溶岩です。この溶岩の好露頭・奇岩が連続する一帯であり、特に沢崎鼻周辺のものは規模の大きさや質の高さから世界的な地質遺産として注目されている。
  • 〔所在地〕 佐渡市沢崎

🔹宿根木の隆起波食台

トンネルを抜けた先に見える赤茶けた大地と荒々しい岩が広がる様は、まるで火星にいるかのよう。
  • 〔所在地〕 佐渡市宿根木952

🔹沢崎鼻灯台 ※GOOGLE 画像

小木半島の西端、佐渡島の西端に当たる沢崎にある。昭和3年(1928)の初点で、建物は、白色、八角形のコンクリート造り、高さ24m。現在のものは昭和62年(1987)築の2代目。
付近は自然景観に直ぐれ、6~7月にはあたりを色取るイワユリ・キバナカンゾウが美しい。灯台下の岩礁は、海底火山の爆発で噴き出した枕状溶岩で、奇岩筍岩がある。沿岸はノリワカメの宝庫として知られ、燈台東側下の入り江の奥に、ひっそりとした家並みをみせる沢崎集落は、小木名物のタライ舟の発祥地で、今でもワカメ採りなどに使用されている。
佐渡を訪れた歌人・与謝野晶子が沢崎鼻灯台を詠んだ歌を残している。
『沢崎の 灯台に身を なぞらえて はし鷹立てり 一つの岩に』(白く美しく立つ灯台と同じ岩に、鷹が留っているのを見ると、まるで自分を燈台に擬えて、周囲を見回して屹立しているように見える。)
与謝野晶子は、燈台ができて間もなく、夫の鉄幹が亡くなる前年、昭和9年(1934)の夏、夫婦で佐渡を訪れている。船に乗り、洋上から小木海岸を探勝し、燈台を眺めたと思われる。
  • 〔所在地〕 佐渡市沢崎

🔹小木海域公園地区

宿根木集落に隣接する「新谷の間」と呼ばれる入り江の海域5haが公園になっている。以前は海中公園と呼ばれていた。玄武岩からなる海底は立体的な変化に富む。透明度は水深23mといわれだけあって、ここへ来ると種類の豊富な海藻、サザエ、アワビやベラ、スズメダイの群泳等がみられる。
  • 〔所在地〕 佐渡市宿根木




佐渡のたらい舟

矢島体験交流館

3ヵ所にあるたらい舟体験場所のなかで、小さな入り江にあって、悪天時でも比較的体験できるのが矢島体験交流館。赤い欄干の太鼓橋が目をひく、風光明媚な矢島・経島で開催。入り江は海底が見えるほど透明度が高い。

小木城山公園 ※GOOGLE 画像

南佐渡の玄関口、小木港に近い岬にあり、約500本の桜が咲きそろう。花に囲まれた広場は地元の人が集う桜の名所。港や海を一望できる展望台からの眺めも抜群。戦国時代にあった浮亀城の跡地と聞くとロマンを感じられる。園内の遊歩道や休憩所は、海風を感じながらの散策にもぴったり。


  • 〔桜の種類〕 ソメイヨシノ
    〔本数〕 500本
    〔見頃〕 4月中旬~4月下旬

    〔所在地〕 佐渡市小木


















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