たらい舟 Tarai Bune 佐渡市
佐渡島名物たらい舟は、本来サザエや海藻類などの漁に使われるもので、考案されたのは明治の初めごろで、洗濯桶から改良に改良を重ね現在のたらい舟になったと言われている。 江戸時代の1802年(享和2)12月9日に発生したマグニチュード M6.5から7.0と推定される佐渡小木地震で、小木半島の海岸では約2m の隆起が生じ、一帯に入り組んだ海岸線が出現した。 この結果、露出した中新世の枕状熔岩が現れた。 見え隠れする岩礁の多い小木海岸で、小回りがきき、岩にぶつかっても、くるっと回る、復元力も大きい小舟としてたらい舟が考案されたという。1人で揚げ降ろしができる――。島のオケ文化と地域の漁法が結びついて「たらい舟」が生まれた。 小木半島では、櫂をかくことをネグという。この磯ネギ領では、島周辺の水深2メートルから20メートルのところで、魚や海草を採取する。 現在佐渡島でのたらい職人は佐渡市小木町、本間勘次郎さん(74)ただ一人。全国でも年季を重ねた職人の姿は消え、小木だけに伝わる貴重な「日本の伝統の技」となっている。 長さ1メートル58、幅1メートル21、深さ52センチの楕円形(だえんけい)。舟材は杉。側面は長さ50センチ余、幅20センチ前後、厚さ3センチの板35枚を使う。丸い舟形に合わせてカンナで1枚1枚カーブを付ける。底板は5枚。中央が微妙に膨らんでいる。図面はなく、長年身体に染み込んだ勘と経験だけで組み上げられる。 平成19年、「たらい舟製作技術」が国の重要無形民俗文化財に指定された。 1そう30万円前後。注文や問い合わせは本間さん(0259・86・2569)へ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・昭和41(1966)年7月24日、佐渡小木港のお光が佐渡の吾作に会いたくて、佐渡海峡たらい舟で渡ったという浪曲「佐渡情話」にちなみ、たらい舟による海峡横断が行われた。漕ぎ手は小木の男子10人と女子5人。前日午後2時、5艘のたらい舟で柏崎を出発。歓迎の人波と打ち上げ花火に迎えられてこの日小木港に到着した。 ・2007年7月14日、力屋観光汽船(佐渡市小木町)の観光用たらい舟をこぐ高橋香奈子さん(26)、浜田美保さん(25)、高野美紀さん(27)が13日午前に小木港を出発した。長径約190センチのたらい舟3艘に1人ずつ乗り、櫂1本で両港間約60キロを19時間15分でこぎ切り、佐渡海峡交代なしの単独横断に成功し、柏崎港に到着した。 佐渡小木たらい舟・さざえ祭り小木みなと公園で一日のんびりと佐渡の新鮮な海産物と芸能を楽しめるイベント。ステージでは佐渡民謡などの伝統芸能も披露。沖汁販売・特産品販売・マグロの即売などもある。恒例の「さざえのつかみ取り」(有料)も人気。例年、その後たらい舟競漕がおこなわれる。
|