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温かい医療をテーマとした診療所です

下肢静脈瘤

今回は,最近テレビでも放映され当院にも問い合わせが集中している“下肢静脈瘤”について,当院で行っている硬化療法も含めて書きました.第1回の“すばこって言われているけれど”も併せてお読み下さい
下肢静脈瘤には大きく分けて4つのタイプがあります.

このような静脈瘤に対し、必要であれば超音波検査を行って患者さんと相談し治療法を考えていくわけです.治療法には


1)   経過観察
2)   弾性ストッキング・ハイソックスの着用と生活指導
3)   硬化療法(高位結紮という局所麻酔で行う小手術を併せて行う場合があります)
4)   入院を必要とするストリッピング手術


などがあります.手術を必要とするような場合には、柏からちょっと離れていますが守谷慶友病院内にある“つくば血管センター”にお願いすることが多いです.

よく下肢静脈瘤の治療では弾性ストッキング・ハイソックスの着用を耳にしますが、下肢の倦怠感などの症状がない場合には着用は不要です.但し本人が下肢倦怠感を自覚していなくても、静脈瘤の所見から着用を勧めると“すごく足が軽くなった”と喜ばれることが多々あります.下肢静脈の血液が心臓まで戻るためにはふくらはぎの筋ポンプ作用が最も大切であり、色素沈着や潰瘍が下腿に出来やすいことから当院では弾性ハイソックスを第一選択としています.

続いて硬化療法について説明いたします.先ほど供覧した4タイプすべてが適応となります.症例に応じて濃度が0.5%、1%、3%のポリドカスクレロールという硬化剤を泡状にして治療に用います.硬化療法では27ゲージという細い針(通常注射で用いる針の太さは21ゲージ)をつぶしたい静脈瘤に穿刺して泡状になった硬化剤を注入します.くもの巣状静脈瘤などの血管径が細い場合には30ゲージの細い針を用います.症例によっては高位結紮といって局所麻酔下に股の部分や膝裏の部分を小さく切って深部静脈から表在静脈に逆流する部分をしばる手術を併せて行うことがあります.


硬化療法の実際

硬化療法では血管がうまくペチャンコにつぶれずに血栓化(血管内の血液が固まってしこりとなる)したり、硬化剤の濃度によっては色素沈着が起こることがあります.

続いて当院で行った硬化療法の実際を提示します.硬化療法を行う場合にはあらかじめ当院で作成した“外来硬化療法を受ける患者さんへ”をもとに説明を行います.

1) 大伏在静脈領域
 

膝関節から下腿部かけて静脈瘤を認めます.右側が治療後3ヶ月後の写真ですが一部色素沈着を認めます.このかたは超音波検査において鼠径部(股の部分)で深部静脈から大伏在静脈に逆流が確認されたため高位結紮手術を併せて行いました. 

2) 小伏在静脈領域の静脈瘤

ふくらはぎの小伏在静脈領域の静脈瘤です.右の写真が治療4ヶ月後の写真ですがほとんど色素沈着を残さずうまくつぶすことが出来ました. 

3) 側枝型静脈瘤

ふくらはぎの側枝型静脈瘤の症例です.右の写真が治療3ヶ月後の写真です.まだ若干の色素沈着を残していますが時間とともにうすくなっていくものと思われます. 

4) 網目状静脈瘤

膝裏を中心に拡がった網目状静脈瘤の症例です.右の写真が治療3ヶ月後の写真です.ほとんどつぶれていますが一部がまだ残っています.夏の時期は暑いために涼しくなってから残りをつぶす予定です.

簡単ですが当院で経験した下肢静脈瘤症例を中心に書いてみました.下肢静脈瘤の治療方針および方法は各施設によって様々です.皆様の参考にして頂けたら幸いです. ホームページの冒頭にあるように当院では予約診療は行っておらず、何かとご迷惑をお掛けしますがご了承下さい.