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ネットADレポート Vol.034
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━ 2001.09.27 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ネット広告業界の今をお届け 「ネットADレポート」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.034
■ネット広告先行企業にみる広告出稿戦略
株式会社ライブドア(2)
―― 一般誌の広告は7割が無駄打ち
―― インターネット広告は即効性があるが「瞬間風速」
■ ネット広告先行企業にみる広告出稿戦略 ━━━━━━━━━━━━━━━
株式会社ライブドア(2)
これまでネットADレポートでは、広告代理店やメディアレップなどを中心とし
た事業者をはじめ、広告と接触するインターネットユーザー、そして広告を掲
載する媒体社のそれぞれに対して独自の視点で調査・分析を行ってきた。しか
し、肝心の広告を出稿する広告主についての具体的実態の把握は、まだ充分に
尽くされていなかった。
広告主はいったいどのような基準で出稿計画を立案しているのか? 媒体や代
理店を選定するポイントは何か? どのような効果測定指標を目標達成の目安
としているのか?
このたびネットADレポートでは、大規模な広告展開を行った企業に直接取材し、
こういった出稿主各社のノウハウ部分にもあたるネット広告の実態に迫った。
今回は、無料インターネット接続サービスの勝者、株式会社ライブドアにご登
場いただく。
<株式会社ライブドア>
設立:
1999年(平成11年)8月12日
所在地:
東京都港区南青山5-9-19 MAR'S 南青山ビル 6F
代表取締役会長:前刀 禎明(さきとう よしあき)
代表取締役社長:セオドール・ミラー
事業内容:
インターネット接続サービス及び関連サービス事業
URL: http://www.livedoor.com/
編集部メモ:
無料サービスと、クオリティの高いブランド構築の双方を両立させることは非
常に難しい。ネット広告先行企業インタビューの第二回目は、無料インターネ
ット接続事業で成功を収めながら、同時に、赤を基調とした上品なサイト上で、
寡黙だが礼儀正しく、そして誠実そうな印象のキャラクターMr.Knocksなどに
代表される、高品質なブランドイメージの醸成にも成功している株式会社ライ
ブドアである。
>> ライブドア社媒体別広告費比率
ライブドアが利用する広告媒体は、テレビ・雑誌・新聞・インターネットと全
ての媒体に及び、また、電気店の店頭で接続用のCD-ROMを配るなどのSP広告も
実施している。
<媒体別広告費内訳>
────────┬────┬───────
メディア種別 │出稿頻度│広告予算内比率
────────┼────┼───────
テレビ │ 適宜 │ 40%
────────┼────┼───────
新聞 │ 適宜 │ 5%
────────┼────┼───────
雑誌 │ 毎月 │ 30%
────────┼────┼───────
インターネット│ 毎月 │ 25%
────────┴────┴───────
料金が高額なテレビや新聞の一面広告などは年間のマーケティングプランにし
たがって適宜出稿される。また、衛星放送のCMも実施している。
雑誌は毎月定期出稿され、媒体はほぼパソコン雑誌のみ。
インターネット広告はバナーとメールが中心で、出稿件数はあわせて、1ヶ月
間に10〜15媒体程度。
>> ネット広告の役割
ライブドアの広告は、無料インターネット接続サービスの新規会員を獲得する
ことを目標に実施されたため、当然ターゲットは、パソコンを自宅に持ってい
るコンシューマーユーザーのみになる。
オンラインメディアなら、自宅にインターネット接続環境を持たない層にリー
チしてしまう無駄打ちの危険性が低くなる。そのため、雑誌などと比較して、
インターネット広告との相性が極めて高い商品だと言える。
>> 20〜25歳男性の高度なセグメンテーション
インターネット広告を、その他のメディアと比べた時の、もうひとつの違いと
しては、ネットの場合「20〜25歳の男性」というセグメントが、可能な限り細
かく整理されている点にあるという。絞った属性毎にオプトインメールなどで
ターゲティングを行えば、年齢や職業などのデモグラフィックデータに基づい
た、会員獲得が可能になる。
>> 一般誌の広告は7割が無駄打ち
同社では、雑誌広告のほとんど100%がパソコン雑誌である。その理由として、
マーケティング担当シニアヴァイスプレジデントの男澤洋二さんは、
・インターネットの普及率がまだ3割の日本では、一般誌に
広告掲載しても7割は無駄になる
・一般誌の広告料金がパソコン雑誌の3〜4倍である
などの理由から、一般誌とパソコン雑誌では結果的にリーチコストは変わらず、
新規会員獲得のコスト効率では、一般誌がパソコン雑誌よりも劣ると分析して
いる。
>> 6ヶ月前の広告から新規入会者
また、雑誌広告は、出稿後数ヶ月経過した後でも新規入会が得られる点に大き
な特徴があるという。
ライブドアの雑誌広告のほとんどは、サインアップ用のソフトを収録したCD-
ROMの同梱という形式で掲載されるが、それぞれのCD-ROMにおさめられたソフ
トウェアにはIDが付与されているので、どの雑誌に何月に掲載した広告から何
件の新規入会者があったかをカウントできる仕組みになっている。
その集計結果によれば、掲載後数ヶ月、長い場合は半年から一年前の広告由来
の新規会員獲得数が、最大全体の5%程度に及ぶこともあるという。保存性の
高い紙媒体のメリットのひとつといえるだろう。
>> インターネット広告は即効性があるが「瞬間風速」
掲載して半年後に効果が現れる雑誌広告などと比較した場合、インターネット
広告は、掲載されたバナーをクリックしてウェブサイトを訪れて、サインアッ
プするなど、瞬間風速的に即効の効果が得られるという。
>> 競合の多い事業にインターネット広告は向いている
ライブドア社マーケティング担当シニアヴァイスプレジデントの男澤洋二さん
は、インターネット広告の、雑誌と比べた高い効果をさらに深くこう分析する。
それによれば、日本には現在3,000のインターネットサービスプロバイダーが
存在し、ライブドアがユーザーから選ばれる可能性は理論上3000分の1になる。
広告出稿して雑誌にバンドルされたCD-ROMの場合でも、20社程度のISPの中か
ら、ライブドアが選ばれる必要がある。
一方ネット広告の場合、プレミアムスペースのバナー広告なら、ウェブページ
に一つ、あるいは多くても至近距離には2〜3件しか掲載されないので、雑誌同
梱のCD-ROMなどと比較して相対的に良く目立つことが単純に競争力につながっ
ているのではないかと考えているという。
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