━ 2002.1.10  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ネット広告業界の今をお届け　「ネットＡＤレポート」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.047

　■Googleに見る「ウェブテキスト広告」の現状
　　　―― ウェブテキスト広告は「押しつけがましくない」点が武器に
　　　―― 「キーワード広告」へ出稿経験がある会社が中心、クリック
　　　　　 レート20％も
　　　―― Googleの「プレミアムスポンサーシップ」、成功の要因は3つ

■ Googleに見る「ウェブテキスト広告」の現状 ━━━━━━━━━━━━━
□ 「押しつけがましくない」点が武器に

「質の高いページから数多くリンクされているページもやはり、質の高いペー
ジである」というコンセプトのもと、独自に開発された「PageRank」アルゴリ
ズムによって検索結果を表示するサーチエンジン、Google（グーグル）。

ウェブページ内にキーワードがどの程度含まれているのかを検索結果の表示基
準にしていた伝統的なサーチエンジンとは全く異なるアプローチは「使い勝手
がよい」との高評価をもたらし、幅広くユーザーを獲得している。

Googleのビジネスモデルは、独自のウェブ検索サービスをポータルサイトなど
に提供する「サーチサービス」と、独自パブリックサイト内で広告を取り扱う
「広告掲載」の2つに大別できる。

「サーチサービス」については、国内でも既にYahoo!JAPANや@Nifty、BIGLOBE
（NEC）などにシステムの提供が行われており、もう一方の「広告掲載」につ
いても今年後半から本格化している。

今回、本誌では、Google日本語版サイトにおけるテキスト広告導入の経緯と現
状をお送りする。


>> 2001年8月中旬に国内オフィスを設立、広告のテスト販売をスタート

Googleが東京・渋谷のセルリアンタワーに国内オフィスを設立したのは2001年
8月中旬のこと。ほぼ同時期にGoogleの日本向けサイトでも広告のテスト販売
をスタートさせている。

もともと米国本社には各国語版Googleを統括するインターナショナルチームが
組まれており、そこが中心となって広告業務が行われていたが、本格的な事業
展開に向けた体制を固めるため事務所が開設された。国内で広告業務に携わる
のは、営業が2名、サポートとオペレーションの担当が1名、司令塔でもある、
業務のハンドリングを行うのが2名で、計5名となっている。

国内での広告関連の売上については、全体的なハンドリングを米国本社が行っ
ている関係で非公開とのことだ。

>> 検索キーワードとリンクしたインプレッション型広告を展開

現在取り扱われているのは、広告出稿主が指定したキーワードをユーザーが検
索で入力した際、検索結果表示ページの上部にテキストリンクを表示させる
「プレミアムスポンサーシップ」と呼ばれるインプレッション型広告。

　　　　　　　　　　　　　　　▼プレミアムスポンサーシップ
　　　　　　　　　　　　　　　  http://www.google.co.jp/intl/ja/ads/

同広告は全角36文字×2行のテキストから構成されており、1行目に広告メッセ
ージ、2行目には会社名や商品名、URLなどの補足情報を表示するかたちになっ
ている。いくつものクリエイティブを作って表示の度にメッセージをローテー
ションさせるといったことはできないが、文面の差し替えは月1回実施するこ
とが可能だ。

実際に出稿する際は、プロモーションの内容をもとにセールススタッフと打ち
合わせを行い、キーワードの選定を行っていくことになる。広告価格は1キー
ワードあたりで設定される訳ではなく、購入するキーワード全体のインプレッ
ション数に応じて設定され、1インプレッションあたり15円がベースとなって
いる。1つのキーワードに対して設定される広告の数は1つである。

【プレミアムスポンサーシップ広告の価格】
─────┬────┬────────────
掲載期間  │単価    │保証タイプその他
─────┼────┼────────────
3ヶ月以上 │＠15円  │インプレッション保証。
6ヶ月未満 │        │最低購入金額は月15万円。
─────┼────┼────────────
6ヶ月以上 │＠12円  │インプレッション保証。
          │        │最低購入金額は月12万円。
─────┴────┴────────────

>> 「キーワード広告」へ出稿経験がある会社が中心、クリックレート20％も

現在のクライアントの多くは、他の検索ポータルサイトで「キーワード連動広
告」を出稿したことがある企業で、購入されるキーワードも英語ではなく日本
語で指定するケースがほとんどだそうだ。また、広告代理店を経由して発注す
るケースが約9割を占め、直接掲載依頼が行われることはあまりないという。

動画や画像など、ギミック的な要素がないプレーンテキストでの広告ながら、
クリックレートは平均6〜7％で安定的に推移しており、キーワードによっては
20％以上という値を示すケースもあるという。

>> 米国などでは既に販売されているセルフサービス型広告も早期に導入予定

米国本社のサイトでは、今ご紹介した「プレミアムスポンサーシップ」のほか、
「AdWords」と呼ばれるセルフサービス型広告プログラムも展開されている。

同社サイト上に設置された原稿入力フォームに広告主が自ら広告文面を入力し、
検索と連動させるキーワードを指定、最後に希望するロット数を打ち込むだけ
で出稿が完了するプログラムで、こちらについては国内でも今年の早い段階で
商品の投入をしていく予定だ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　▼AdWords（米国サイト）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  https://adwords.google.com/

今後の事業展開の中では、検索ポータルサイトが競合として考えられるが、同
社では「ポータルサイト」とは棲み分けができており、逆にパートナー関係と
して捉えているという。独自の検索技術を活かし、先日導入された「イメージ
検索」や「グループ検索（掲示板・メーリングリスト検索）」など、検索対象
の拡大は行うものの、Google自体はポータル化をする予定はないという。
検索機能の技術力そのものを中核に据えた事業展開を行う企業はそれほど多く
ないため、競合もあまり見あたらないのが現状である。強いて挙げるとすれば、
米国のワイズナットぐらいだろう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　▼WiseNut（米国サイト）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  http://www.wisenut.com/

>> Googleの「プレミアムスポンサーシップ」、成功の要因は3つ

話を広告に戻そう。広告というビジネス自体、景気動向に大きく左右される業
態であり、ネット広告市場全体からすると、今年も2001年と同様に厳しいこと
は予想される。だが、Googleでは広告のテスト販売で大きな手応えを感じてい
るという。

その要因としては、(1)Googleのサイトが、画像ファイルをほとんど掲載しな
い非常にシンプルな構成になっていて視認性に優れている、(2)広告の掲載位
置を検索結果の最上部にすることでユーザーが目にする機会が最大化されてい
る、(3)キーワードにマッチしないと広告が掲載されないため、毎回同じ場所
に広告が掲載されることによるユーザーの「慣れ」を防止できる、ことが挙げ
られる。

また、検索を行う際にユーザーが入力するキーワードは、その時点でのそのユ
ーザーのニーズそのものである点も大きな差別化要因になっている。

オプトインメールが会員登録の際の入力項目をもとにターゲティング広告を行
っているが、これは登録時の属性データに基づくものである。登録当時は住宅
購入準備中で「住宅」に興味があったユーザーも、購入してしまえば興味が失
われる、といったことは往々にして想定されるケースである。もちろん登録情
報を更新してもらえるような仕掛けをいくつも用意し、属性情報をよりユーザ
ーの現状に近づける方策を各社は行っているが、100％とは言い難い。

検索キーワードとのマッチングによって「リアルタイムでニッチなユーザーニ
ーズ」をも汲み取れる…。これが同社にとっての大きな強みであることは間違
いないだろう。


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