往きのフェリーは11時間遅れ、でも行き当たりばったりの楽しい旅なのでした♪
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2月01日(水) |
例年ならもっと北にあるはずの吹雪をもたらす低気圧が、今年は緯度低く発生していてラニーニャ絡みの寒い冬。今日から明日そして明後日にかけ、この冬一番のこわもて低気圧がドッカと居座る所為で、日付の変わった00時30分出港予定だった小樽行きのフェリーは大幅に遅れていて、舞鶴港出港は明朝6時頃だそうです。日本海は大荒れに違いなく、自宅を出発する前から船酔いでの睡眠不足が気になります。 |
2月02日(木) |
0時30分舞鶴港に到着。本来の出港時刻です。舞鶴は当然の雪。それもかなり激しい横殴りです。出港予定時刻までは時間があり過ぎますし、エンジンを切れば寒いので「仕方なく!」、持参のお芋をチビリ。酔っ払っちゃあ洒落になりませんから、軽ぁ〜るく、ひとくち、ふたくち… となればツマミだって欲しくなるわけで… みくち、よくち… ^^; |
2月03日(金) |
結局、2日の午前9時過ぎに舞鶴を出港し、小樽に着いたのは3日の午前8時過ぎ。ゲッソリ大揺れ23時間の航海でした。 |
2月04日(土) |
午前5時、TAITOの寒暖計はマイナス18度。ま、とりあえずビール。のような感覚で、とりあえず音羽橋へ(マイナス27度まで冷え込んだようです)。7時半のコッタロの気温はマイナス24度。エゾシカ以外には出会わず。今日は伊藤サンクチュアリーでタンチョウのダンスを狙います。午前9時半から午後2時まで粘ったのですがチャンスらしきチャンスはありませんでした。サンクで小鳥情報をたずねたのですが、やはり道内も今年は極端に少ないようです。 |
2月05日(日) |
今朝も昨日とほぼ同様の冷え込みです。コッタロで夜明け前のグラデーション絡みの被写体を撮りたくて目を皿にして探すのですが、そうそう上手くいくはずもなく、凡作を押さえて鶴居に引き返し小鳥を探したけれど出会ったのはハギマシコ数羽のみでした。シラルトロのエゾフクロウにも会えぬまま霧多布へ向かいます。霧多布湿原周辺でツグミ1羽と遭遇。ツグミさえ貴重な今シーズンなのです。ここは嬉しいことにケアシノスリ数羽がいます。すぐ傍でホバリングしてくれるのですが、海から吹く風なのでカメラからはお尻ばかりで絵になりません。何羽かいるはずのコミミズクも探したのですが見つけることが出来ませんでした。納沙布岬の太平洋側には10羽ほどのコミミが入っていたそうなので、道東にいる間に立ち寄ってみたいと思います。オオワシ、オジロワシ、ケアシノスリ、ノスリ、ワタリガラス、ツグミ、ハギマシコ、オオアカゲラ、ミヤマカケス、カラ類、オオハクチョウ、ウミアイサ、クロガモ、ホオジロガモ、etc. |
2月06日(月) |
夜明け前、とりあえず海岸に出てみました。気温はマイナス11度。東の空低く雲があるようなので、急ぎ岬に変更します。なんとか朝陽を拝むことは出来たのですが、鳥も絡まず絵にはなりません。蓮葉氷上で休むアザラシを遠目に少し撮影し、8時半、走古丹〜弟子屈〜屈斜路を目指します。今日は全道的に気温が上昇し、旭川では一ヶ月続いた真冬日から抜けそうだという予報です。 |
2月07日(火) |
午前5時40分、マイナス1度。予報通りの曇天、そしてやたら暖かい朝です。でもまあ折角ここまでやって来てふて寝するのも勿体ないし、とりあえず美幌峠にでもと走ってみたけど山も見えず、さっさと諦め、和琴からは砂湯方向の山々も木々も見えないのを確認し、屈斜路の釧路川源流出発地点辺りに佇む90羽ほどのオオハクチョウを少し撮影。砂湯にはまだ1羽もやってきていません。宿に戻り朝食を摂ります。エゾリスは4匹現れ、設けられた餌台に今年はカケスが主役。かと思いきや、ハシブトガラス2羽が我がもの顔で、木に金網で貼り付けられた脂身をがっさがっさとむしり取り、オオアカゲラもアカゲラもミヤマカケスだって遠巻きに様子見するしかありません。カラ類(ハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ)も少なめでいまひとつな餌台だったのですが、耳を澄ませば近くでウソの声が延々と延々と森を取り囲みフィッフィッフィッフィフォ〜。つがいで木の上部をディスプレーしながらくるくるぐるぐる♪6〜7羽の小群です。アトリも10数羽が同様に上の方で枝移りしていて、なにやら春近し?そんな屈斜路の湖畔なのでした。 |
2月08日(水) |
4時50分起床。一応スマホの目覚ましをセットしているのですが、今朝もその前に目が覚めます。納沙布の岬に向かう手もあったのですが、根室市内の気になる路面状態、そして車道から狙わざるを得ないコミミを諦め、まだ日の出に間に合いそうな槍昔に向かうことにしました。西の地平線にはオレンジ色の満月が沈みかけています。 結局、鳥に絡まない残念な朝陽に終わり、走古丹のエゾシカとトビのなる木を見て、白鳥台から野付に向かいます。ハシブトガラ、シジュウカラ、ハギマシコ、ノスリ、もちろんオオワシ、オジロワシ、オオハクチョウ、ホオジロガモ、クロガモ。野付には9時に到着しました。 ここから見る羅臼は荒れ模様なのがよくわかります。6日〜9日まで(場合によっては10日も)、羅臼の船に乗りたくて予約しているのですが… さて… いつものように野付灯台近くの駐車場で日記を書いているのですが、風は強く、日が差したり横殴りの雪が降ったりめまぐるしく天候が変わります。灯台から先に入る許可証をいただき、車で行けるところまで進んでみました。途中、雪が深くて仕方なく車を降り、そこから30分ほど歩けばユキホオジロやツメナガホオジロにも出会える幸運があるかもしれないのですが、車中からの撮影に比べ当然警戒されるので距離があり、絵にするのは難しそうです。それでも海岸でコオリガモ1羽を見つけました。素敵な笑顔のレンジャーさん♪の話では、先月末の吹雪を境にコミミズクの姿は見えなくなったそうです。他にキレンジャク1羽のみでした。 夕陽も良くなくて(他の事情もあれこれあって… )本日終了。 今夜の宿は初めてお世話になる民宿です。トイレはウォシュレットじゃなく、ネットは繋がらず、ティッシュも何故か部屋に置かれていません。それでも部屋はこぎれいで、あれこれ切り盛りされてる様子の女性は丁寧で感じが良い方でした。ここも夕食のみでの宿泊をお願いしたのですが、美味しくてボリュームもたっぷりでした。 |
2月09日(木) |
5時起床。5時半の尾岱沼の気温は、野付名物四角い太陽なんて絶対あり得ないマイナス3度。とにかく暖かい。おまけに東の空低くにはしっかと雲があり、ダルマ朝陽さえも望めません。ならばと、西の空低い満月(一日遅れですが)を野付半島の岬に向かって走ったのですが、昨夕からの立ち入り禁止バリケードでネイチャーセンターから先へは進めません。昨日は「16時から通行止めだ!」なぁんて高飛車な態度で閉め出しておいて、実際は17時になってもバリケード押しのけ先へ向かう車を何台も許可しており、双眼鏡で見ればずっと先端部で撮影しているカメラマンも何人かいた。馬鹿役人! |
2月10日(金) |
今朝は風がなく冷え込みもまずまずだったので、樹氷狙いでコッタロへ向かいます。もちろん一番の狙いは夜明けのグラデーションと動物たちが絡む絵です。マイナス22度まで下がり、樹氷は美しく、ダイアモンドダストが舞っています。でも結局、今朝も撮影出来たのは「風景」だけでした。イメージはしっかり持っているつもりなのですが、そんな素敵な出会いは砂漠で小さなダイアを探すのと同じなのかもしれません。零か百かは承知してますし、行き当たりばったりの旅なのですから外れるのは当然なのですけれど、それにしてもチャンスがありません。 |
2月11日(土) |
音更はマイナス15度。まずまずの冷え込みです。夜明け前には宿を発ちたいので、いつも通り朝食は頼まず前夜に精算を済ませて、そ〜っと静かに宿を出たのですが、なんと宿の主人は私のバッチィパジェロに着いた雪を払い落として下さってるではありませんか。いやはや感激です。 5時50分、音更神社到着。境内の駐車場でコンビニ朝食を済ませ、さっそく撮影にかかります。でも問題はエゾリスの餌、朝鮮五葉松の実です。手持ちの実(昨年、親切に分けて頂いたものの残り)は僅かで、すぐ無くなってしまいました。でも、よほどお腹が空いていたのか7匹のエゾリスたちがひっきりなしに近づいてきます。真新しくもない何時もと変わらぬ光景なのですが、かわゆいかわゆいリスたちを、鼻の下思いっきり伸ばしてヒゲオヤジ激写。11時まで堪能しました。 最終宿泊地の苫小牧へ移動します。2時間半で無事ウトナイ湖サンクチュアリに到着しました。道東道で残っていた工事区間、夕張から占冠までが昨秋開通し、小樽から帯広や足寄までは高速道路の利用が出来るので、事故や雪での閉鎖がなければとても移動しやすくなりました。でも「大切な自然を壊し手に入れた便利さ」には違いありません。何年か前にも書いたのですが、釧路方面へ南下する片側3車線のとんでもなく無用な新設道路があります。そのすぐ傍をほぼ並行して走る国道だってガラガラなのに、ありえない、唯々無用な道路。なぜ造らなければならなかったのか到底理解出来ない道路です。 今年は支笏湖畔にも行ってみようと思っていたのですが、支笏湖畔は「氷濤まつり」の真っ直中で、本日土曜日の夜は最後のクライマックス。まだ少し早い時間なのに湖畔の手前からすでに大渋滞が始まっていてウンザリ、諦めました。結局、苫小牧から支笏湖畔の往復をしただけに終わったのですが、スピード違反と思われる検挙シーンが、なんと4度! パトカー3、覆面1。もし行かれるならここは要注意区間です。 明日は苫小牧研究林(旧、北大演習林)で早朝からたっぷりの予定です。同日深夜23時30分苫小牧出港予定のフェリーに決めたので、夕方は鵡川近辺の探鳥もありかな、とは思っています。今夜の宿は苫小牧駅近くのホテルに決めました。 |
2月12日(日) |
4時50分起床し、室内でおにぎりの朝食をコソコソ摂りました。6時前、苫小牧演習林に到着、一番乗りです。気温マイナス8度、いちおう晴れ。身支度を調えて、3年ほど前から営巣を始めたというエゾフクロウの森に向かいます。たぶん30分ほども歩くのですけれど、暑くて暑くて汗かきながら、重ねていたニットの帽子を一枚脱ぎ、ジャケットの前をはだけ、襟元を広げ進みます。頬を刺す冷たさなのですが、暑くて堪らないのです。去年も鎮座していた洞に1羽がいました。つがいの1羽は40メートルほど離れた松の木にひょこり。それにしてもエゾフクロウの白さは神々しくて、昔から森の神として崇められてきたのがわかります。じつは昨日、ネイチャーセンターの女性職員さんから「演習林のエゾフクロウご存じですか?」と問われ唖然としたのでした。ここのフクロウはまだみんな内緒にしているのだろうと思って一年間誰にも言わず伏せていたのですけれど、こんな簡単に... 驚いたのと拍子抜けしたのとで返答に窮してしまいました。 |
2月13日(月) |
もちろん朝からいただいております♪ 出港直後の何時間か、津軽海峡を出てしばらくは揺れもいくらかあったのですが5時間もすれば収まり、益々お酒も進む酔い機嫌です。午前10時10分、兄弟船のあかしあ号と洋上ですれ違いました。シケなどで遅れることも多くて、6航海目で初めての接近遭遇です。陽の差すオープンデッキに出てみても寒くはなくて、缶ビール片手にスマホでパシャパシャ。 最後にスッテンコロリン擦り傷のオマケも付きましたけれど、とてもとても楽しい旅でした。敦賀から三百数十キロ。もちろん安全運転で帰ります。酔〜ぃ♪ 来年は… 冬に来れるのかどうかわかりませんが、この時期に仕事の都合がつかなければ、そろそろ他の季節も有りかなと… ふと。 |
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NOBUYOSHI NAKAGIRI
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