自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜
 
多忙で諦めてた今年の旅、 急に10日間の空白出現でてんやわんや♪
 
2月01日(土)岡山 → 敦賀港

 とにかくテンヤワンヤてんてこ舞い。ありがたいことに1月後半から撮影仕事が忙しくて、毎日早朝から午前2時3時までデータ作りやアルバム作りに追われ、旅行直前は二晩の徹夜作業。ホントは2日前に出発したかったのですが、思いのほか難仕事で身動き取れなかったのです。
 今日も昼過ぎまでアルバム作りやその発送作業に追われ、午後2時を過ぎ慌てて旅の支度を始めたのでした。手当たり次第に車へ積み込み、なんとか午後7時には敦賀港へ向け出発。まま時間の余裕はあるはずとゆっくり山陽道を走っていたのですが、ハッ!とドッキリ!! 家を出発した時から何か忘れているような気はしていたのですが、ダウンの上下を置いてきてしまったのです。向こうで買うなんて金銭的余裕はないし時間的にも不可能ですからとにかく大慌て。備前のインターでUターンしスッ飛んで帰り、同様に忘れていた厚手のシャツ数枚を洋服ダンスから引っ張り出し、ビタミン剤飲んで再出発したのはきっかり一時間遅れの午後8時。頑張って走り、なんとか敦賀港発のすずらんに間に合ったのでした。
 焦らずのんびりの旅をしなければ。そんなこんなで例年よりも短い今年の旅が始まりました。

2月02日(日)敦賀港 → 苫小牧東港

 行きの旅の友はヤエガキ酒造の純米酒「八重垣」。姫路城を2羽のニッポニアニッポン(トキです)が飛んでる青いボトル。明るくて呑みやすい酒です。ツマミはベイカの一夜干し。旨いんだけど、行きの車中は異様な臭いがプンプン充満しておりました。揺れもほとんど無くお酒も進み酔い機嫌。ふと気付けばテーブルの裏に見え隠れするゴキブリ発見! ... なんじゃ、さっき転がってったアーモンドかい。酔っ払いが出来上がりました。
 佐渡島あたりから白波が立ち始めましたが、揺れもわずかで快適この上ない船旅です。延々と続く海を見ながらの酒。これもまたま〜ったり、ど〜っぷり。ここ何日かの目まぐるしさが、ゆっくり解きほぐされてゆきます。
 午後9時、雨の降る(雨ですゾ!)苫小牧東港に上陸。沼ノ端でコンビニ補給とガソリン給油を済ませ、午後9時30分、鶴居を目指して出発です。

2月03日(月)苫小牧東港 → 鶴居

 午前1時40分鶴居に到着。気温0度。夕張から帯広あたりのマイナス6度がここまでの最低気温。でも溶けては固まりを繰り返す路面はツンツルテンで極めて危険。霧が濃く、いつもの年と違う風景です。TAITOさんの駐車場で約2時間、岡山とさほど変わらぬ服装で仮眠。午前4時、荷物を整理して撮影出来る態勢を整えます。
 曇天です。音羽橋は諦めて鶴居周辺を徘徊。なんと今年はベニヒワの超当たり年。車で走っていても道端から飛び立つ鳥のほとんどすべてがベニヒワなのですから大変です。なかなか絵になるシチュエーションは無いのですが、そのうち何処かで…
 雪が少なく、雄阿寒岳バックのタンチョウ飛行シーン撮影は難儀です。夕刻の菊池牧場はこれっぽっちも色付かず、本日終了。
 今宵の宴に持ち込んだのは「冬の月あらばしり」。じるじると栓を溢れ滲むので横にせず、わざわざたいそうに起こしたまま岡山から持ち込んだ酒だったのに、味は絶不調。がっくり。またがっくり。。草臥れ儲け、大恥かいた夜なのでした。
 流氷は、やっと知床半島を回り始めたようです。明日は北西の風。根室海峡を南下するかもしれません。
 今日の鳥たち:エゾヤマセミ、カワアイサ、カイツブリ、マガモ、タンチョウ、オオワシ、オジロワシ、ワタリガラス、ミヤマカケス、ベニヒワ、シジュウカラ、シメ、ハシブトガラ、カワラヒワ。

2月04日(火)鶴居 → 阿寒 → 鶴居

 仕事で続いた睡眠不足に加え、昨夜の酒が堪えているのか今朝はやや体調不良。外はマイナス5度。雲も多く音羽橋へ行く気が起こらない。6時半、コッタロを目指し出発。とりあえず情報をいただいたエゾフクロウを観察。枝がかぶり良いアングルがとれない。斜面を下り近付いた足跡も多数あるから下りれば撮れるのだろうが、ちょいと近づき過ぎか。枝被りのまま数枚撮影し、諦め退散。今年はコッタロ湿原にエゾシカが少ないように思う。シマエナガ、ハシブトガラ、シジュウカラ、コゲラ、そしてベニヒワ。
 給油のため釧路市内へ向かい、和商市場を経由して阿寒の観察センターを目指す。12時過ぎ阿寒観察センター到着。意外にもカメラマンが少ない。餌やり時刻の午後2時にはそれなりの盛況さとなり、雲は多いもののオジロワシ、オオワシが乱舞してシャッター音の雨霰。菊池牧場では夕照の雄阿寒岳を狙いたかったのだが山のシルエットさえ見えず断念、快晴なのに。三日月に絡むタンチョウ狙いで5時前まで粘るも収穫ナシ。
 今夜は御前酒の吟醸、四合瓶。だったのですが、この酒もがっくり。岡山の酒ってこんなもんだったのか? 明日の宿は霧多布or羅臼。すべては流氷次第。

2月05日(水)鶴居 → 霧多布

 午前4時20分起床。4時50分出発。気温マイナス12度。音羽橋は15度前後。しかし霧氷もなく色付きもなし。切り上げてコッタロへ走る。エゾフクロウとの行き当たりばったりニアミスはまだ無い。チェックアウトし、菊池牧場の餌台に集まるベニヒワを1時間ばかり撮影。それにしてもバックが良くない。
 羅臼の氷は状況が悪く、どうやら今年も断念せざるを得ないようだ。進路を霧多布に決め、いつもの宿に何度か電話を入れたのだが留守電。しかたなく(失礼!)以前数回お世話になった宿に決定。ここの夕食はすこぶる旨い。
 毎年のことだが冬の霧多布には、ここだ!という夕陽のポイントがない。エゾシカ絡みの中途半端な夕景を終えた。
 今日の鳥たち:ケアシノスリ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、ハギマシコ、ベニヒワ。

2月06日(木)霧多布 → 鶴居

 霧多布、今朝6時の気温はマイナス14度。内陸部では20度を越えているようだ。海はシャーベット状の蓮葉氷になり始めている。午前5時55分出発。食料を仕入れようと立ち寄った近くのコンビニセイコーマートは6時開店だったようで、シャッターを開けてる最中。中年の女性店主はこちらの顔を見るなり、「ああ、今からシカ撃ちかい?」だと。確かに、言われてみればそんな風体には違いない。(^_^;)
 霧多布を離れる直前、琵琶瀬で頭上を横切るシロハヤブサ発見!いまでもそう確信しているのだけれど、証拠の写真は無い。結局、今年の霧多布鳥見は残念(でもシロハヤブサが… )。根室周辺の野鳥情報を教えていただこうと春国岱ネーチャーセンターへ何度も電話したのだが、担当が留守で帰り次第連絡させるからと言うので携帯番号教えたのに連絡無し。それっきりでした。
 切り上げて走古丹から再び鶴居を目指します。走古丹には相変わらず掃いて捨てるほどのエゾシカがいるのですが、牡ジカが見つかりません。

2月07日(金)鶴居 → 屈斜路湖
 音羽橋はマイナス22度。この冬一番の冷え込み。でも気嵐はいまひとつで、さっさと切り上げコッタロへ。ここも案外霧氷が少なくて、フクロウはもちろんエゾシカさえも絡みそうな場所にいない。
 9時半にチェックアウトし鶴居を徘徊。どさんこ牧場近く、民家の庭先の餌台にやってくる小鳥を撮影する。ベニヒワ、カワラヒワ、シメ、ハシブトガラ、シジュウカラ、ミヤマカケス、アカゲラ雌雄。なぜかヒヨドリがいない。お留守で挨拶もできず申し訳なかったのだが一時間半堪能し、12時に切り上げ、コッタロ経由で屈斜路湖畔に向かう。それにしても鶴居からコッタロまでの近距離にベニヒワの小群がいっぱい。道端から飛び立つ鳥すべてがベニヒワなのですから。
 屈斜路は青空少なくいちおう曇天。今夜の宿ぱぴりおさんの露天、大好きな露天風呂が湯抜けで使用不可。本日入れず。明朝までに湯が溜まればよいのだが。まっこと残念。それでもとりあえず温泉に浸かり、疲れを落とし、オオハクチョウを狙いに砂湯へ向かう。空は見事に晴れ上がり、反射で氷が色づくのを期待していたのだが、ほぼ皆無。午後4時半、悲しく終了。
 宿の夕食は6時半から。のんべにゃ、とてつもなく長〜〜〜い待ち時間なのです酔い。
2月08日(土)屈斜路湖 → 十勝川温泉

 5時起床。最低気温はマイナス15度。朝は曇りの予報だったのに満天に近い星が出ていて、迷わず5時半出発し美幌峠を目指す。今年も怪しい路面が峠まで続く。無事到着も東の空なは雲が大きく広がっていて望めそうもない。Uターンし屈斜路湖西岸の和琴に切り替えたのですが、結局お日様は顔出さず色も付かず白鳥も絡まずがっかり。グオォォォーン、ガゴォォォーーーンと湖に響く轟音。氷が固まり、割れて盛り上がる「御神渡り」が始まっています。
 朝食後、復旧なった露天に浸かりニッコリ満喫。2時間ほど小鳥(アカゲラ、オオアカゲラ、ヤマゲラ、ミヤマカケス、他カラ類)を撮影し、屈斜路湖畔、弟子屈、阿寒湖畔、足寄経由で音更に到着。弟子屈から阿寒湖畔までのルートはなかなかの絶景続き。でもスリリングな道路でありました。
 午後3時、とりあえず明日の下見に立ち寄った音更神社。鳴き声に気付き、少し高い梢を探せばベニヒワの小群。ほかにシメ、ツグミ、ヒヨドリ。エゾリスはもうこの時間帯にはほとんど姿を見せない。帯広も今年は雪が少なめです。 幾らか色付きそうで、いつもの場所からひとり夕陽を狙うことに。夕色の日高連峰が浮かび上がり悪くない。かなり遠いが、まさかオオハクチョウの飛行ルートが重なっていたとは意外な発見でした。
 今夜は十勝川温泉のいつもの民宿。夕食は6時。今回の旅で唯一ネットが出来ない宿。まぁスマホがあるし、たまにはネットのない夜も悪くはない。この宿の一番の問題は「食事の品数、量ともに多すぎる!」こと。美味しいし、残すのは主義に反するから必死でいただくのだが、ホントに必死。ダイエットに気をつけてる御仁は無理しちゃいけません。
 今年は日数を短縮しての旅。帯広は通過しようかとも考えていたのだけれど、釧路から苫小牧へのちょうど良い中間点。少しのんびり、必要な宿泊地かもしれない。

2月09日(日)十勝川温泉 → 音更 → 苫小牧
 マイナス12度、残念な曇天。仕方なく、予定通りの音更神社へ。今回はここのリスたちの好物である朝鮮五葉松の実を持参してないので、いちおう擦り寄ってはくるのだが餌が違うとわかると少しずつ離れてゆく。境内にエゾフクロウの番がいるとの情報もあるのだが、今年も天候が気になり、早々に切り上げて苫小牧へと向かう。2時間ほどでウトナイ湖サンクチュアリーに到着(土日祝日のみ開館)。ここにもベニヒワ(ただし雌一羽)。ほかにウソ雌、カラやゲラたち。
 正午、苫小牧研究林に到着。まずは森奥のエゾフクロウ。カメラ担いでのんびりゆっくり、居るか居ないか、行ってみなけりゃわかりませぬ。いつもの樹洞にはいなかったのですが、少し奥の松の木にしっかり仲良くツーショット。枝や木々が被り撮影には不向きでしたが、寄り添うように並んでいました。敷地内を流れる川の水溜まりの老木にカワウが一羽。案外絵になりそうで小雪の中、暫し。
 相変わらず粉雪ちらちらの曇り空。この旅初の早々、そしてこの旅初のビジネスホテルにチェックインしたのは3時過ぎ。苫小牧市内の贔屓の酒屋は日曜休みで仕方なく、近所のスーパーで帰りの船の友を購入しました。あすは早朝から夕方まで、しっかりまったり苫小牧研究林で鳥見三昧する予定です。
2月10日(月)苫小牧 → 苫小牧東港
 午前6時からのバイキング朝食を摂り、7時過ぎ出発。気温はマイナス7度。路面はツルツルヤバヤバしかも通勤ラッシュの時間帯。なんとか苫小牧研究林に着いた頃には快晴。樹洞にいればいいなぁと願いつつフクロウの森に直行。
 凛として1羽、鎮座。高い場所で距離も少しあるのですが、格調高く、そしてなにより愛らしい。つがいの一羽は昨日と同じ松の木にいました。ここの森では人を見るとすぐにカラたちが集まってきます。ハシブトガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、ヤマガラ、オオアカゲラ、アカゲラ、コゲラ、キバシリ、シマエナガ。
 昼で一旦撮影を切り上げ、車に戻りトイレや食事休憩。すでに持参の食料でお腹は一杯だったのに、漁港にある「まるとみ食堂のホッキ丼」を思いだしてしまい直行。完食。お腹が苦しい。食べ過ぎだから当然です。
 午後3時半、ふたたびフクロウの森へ向かいます。夕焼けを期待したのですが思い描くようにはいかず、微かに色付いた空を見上げて撤収。
 防寒ブーツを靴に履き替え、船に持ち込む荷物をまとめ、ガソリン給油、洗車、多めの食料とツマミを確保。酒は昨日スーパーで仕入れた「男山復古酒」超甘口。そして500ccペットボトルに詰めた芋焼酎黒霧島、etc.
 帰路は苫小牧23時30分発敦賀行きフェリーあかしあ。それまでの時間待ちがただただ長いのです。
2月11日(火)苫小牧東港 → 敦賀港 → 岡山

 期待していた「男山復古酒」は甘くてだらだら不味く、どごどーんどごどーん、船はシケで大揺れです。小用でトイレに立ったのですが、どんなに踏ん張っても手摺り握っても男子便器の立ち利用は無理。ストライクの自信なし。ワイルドピッチ確実です。仕方なく大の便座に腰を降ろそうとしたのですがヨロヨロ。そして部屋からトイレまでがやたら遠く、廊下だって右の壁にドスン、左の壁にドン。とてもマトモにゃ歩けません。けっして酔っ払ってるせいではありませぬ。
 ひと眠りし、午前7時30分、目が覚めてしまいました。これからまだ15時間近い航海です。はてさて酒呑むべきか呑まざるべきかハムレット、軽く悩んでチョイと一杯。アテは消費期限の切れたサンドイッチとハンバーガー。味の具合を確かめながら、ひとくちずつ。
 現在、能登半島沖を航行中です。気付けば今日は誕生日。たいてい旅してる誕生日。25年前の、能登半島への撮影旅行がそもそもの旅の始まりだったことを思い出しました。

  

 
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