自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜
 

0201
 
午後7時半、敦賀港へ向け出発。舞鶴道を経由し午後11時、敦賀港近くのローソン着。船内食を仕入れる。道中の気温はプラスの3〜5度。雪は無い。ターミナルで手続きを済ませると、すぐに乗船開始。海は少し荒れてるようだが、出発は定刻。現在の気温、プラス2度。早速、持ち込んだ岡山地酒の御前酒「萬悦」を開栓。
 船中泊。
 
0202〜0203
 定刻の20時30分、苫小牧東港に到着。大型貨物の下船が長引き、やっと上陸出来たのは21時15分。とりあえず沼ノ端東に向いガソリン給油。
 道東自動車道分岐を過ぎた頃から雪。そのうち吹雪に変わり、前を走る大型トラックの巻き上げる雪煙と合わさりホワイトアウトの連続、延延。ホント恐怖でした。トマムを過ぎた辺りからは雪も収まり、以後、音羽橋まで快調。マイナス18度。今年は4時間半の行程。
 TAITOさんの駐車場で1時間の仮眠。夜明け前から行動開始し、茅沼と虹別のフクロウを覗き、屈斜路砂湯へ。湖面を覆う、2センチほどの厚さの氷が割れて重なり合う不思議で面白い造形に写欲が湧く。
 今日の最低気温はコッタロ湿原走行中のマイナス21度。それにしても眠い。午後2時、いつもの宿にチェックインし、とりあえず、まずは露天風呂へ直行する。いつもより少し熱めに感じたけれど、頭の先から爪先指の先までジンジン染み渡る温かさ。疲れがじんわり湯に流れ出てゆきました。
 3時過ぎ、再び湖畔に向かうため部屋を出ようとすると、隣の部屋の女性宿泊客と同じタイミング。英語で何やら話しかけてくるのだが、こちとら日本語以外は不可。どうやらいまから何処へ撮影に行くのか?と訊ねてる様子。湖畔の砂湯に行くと日本語で返答。私も同じです頑張って撮影に行きましょう、と言うてるらしい。玄関を出てワタシャ左へ駐車場、彼女は右の道路の方へ。立ち止まり振り向き、どうやら乗せてってくれないか、という表情。取り敢えず今夕の撮影は助手席に長玉積んでないし、荷物を片付けて同乗許可。ところがこれが不味かったのです…
 オオハクチョウもたいして飛ばず、夕陽は期待外れ。
 屈斜路湖畔泊
 
0204
 午前5時起床。実は昨夜の食事後、その女性から明日の予定を聞かれ、撮影の邪魔になる厄介な同乗者は嫌だからあれこれ理由をつけて聞き流そうとしたのだが、「おお、それも行きたい。これも行きたい。でもこれとこれも行きたい。」雨あられ。結局、この厄介でエネルギッシュな中国上海女性に朝の撮影は振り回されてしまったのでした。
 9時半から気を取り直し、餌台に来る鳥たちを撮影。今日の進路を決めていざ霧多布へ。午後2時半、目的地に到着。どうやら今年は鳥影が薄そうです。そりゃまあケアシノスリやらチョウゲンボウ、ハヤブサ、ハイタカなどはいるわけで不満を言っちゃあいけないけれど、小鳥が極端に少ない。今日はコミミズクにも逢えず仕舞い。明日はなんとしても「地味鳥」にだけは...
 霧多布泊
 

0205
 最低気温0度。暖かな朝、曇天。とはいえ、外は風があって体感気温はかなり低い。そのうち雨とも雪ともつかないのが横殴り。早朝の出会いはホバリングするノスリのみでした。
 朝食後、餌台にやって来る地味鳥ジミイちゃん(宿の主の命名)ことキガシラシトド若を堪能。感謝!
 チェックアウトし、霧多布最後のポイント埋め立て堤防へ。ユキホオジロ雄1羽、見っけ!ナント、最短撮影距離よりも近くにトロトロトコトコ。3メートルを切り2メートルを切り。こりゃ200ミリで撮ってやろうと思い、ゆっくり長玉を下げようとした瞬間、ハッと気付き後ろへトコトコ。飛び立ったけれど、そのまま車の反対側へ。じっとしていれば車の下に入ってきたに違いありません。地面にいて啄むだけだから絵にはならないのですが、たっぷり楽しく遊んでくれました。
 今夜は根室の宿、初めての宿です。じつは、1日夜に自宅を出発して以降、便秘気味。こっちに来ると長距離移動ばかりだし、鳥との信頼関係築くため大抵は車内からの撮影。ほとんど動かない歩かない、トイレの回数減らさにゃならんから水分だってかな〜り控えめ。行き着くところは当然の便秘。些かストレス。^_^;
 明朝は楽しみにしている歯舞クルーズ乗船の予定。
 根室市内のビジネスホテル泊。
 
0206
 便秘を解消し、午前6時前チェックアウト。マイナス7度。東の空は雲が厚そうだが、ここ数年訪れていなかった納沙布岬に向かう。朝陽はもちろんアウト。でもこの地にしては比較的風が穏やか。
 午前7時過ぎ、歯舞漁港から携帯に電話が入り、今朝予定の歯舞クルーズ船は予定通り9時に出港してくれるという。なんと、乗船者は小生ひとり。激安だった料金が今シーズンから少し値上がりしたらしいけれど、とても良心的で感動です。というか良心的すぎて恐縮してしまい、吉備団子の大きめの箱をお礼に。
 期待していたケイマフリ初見。ハシブトウミガラス、ウミガラス、ウミスズメ、コオリガモ、シノリガモ、ヒメウ。堪能! ただ、当然船は揺れるのでファインダに捉えるのもひと苦労。わたしゃハチゴローを三脚に乗せ、手持ちサンヨン×1.4テレコンで乗船したのですが、今なら500か600ミリのズーム+D500がベストチョイスに違いありません。
 夕方は摩周第1展望台から、雄阿寒岳に沈む夕陽を狙います。雲は少し多かったのですが山に雪が降っている様子で、ぼんやりとした不思議な夕焼け。おまけにあろうことか点景ながらもオオワシが絡み、思わず声を上げてしまう楽しい撮影なのでした。
 今夜の宿は食事良し、風呂は温泉、トイレはウォシュレット。今後も使えそうな宿なのですが、数ミリほどの黒く小さく四角っぽいヤツが畳の上を徘徊中。潰そうとしても潰そうとしてもなかなか潰れぬ黒いヤツのいる宿… (^_^;
 明朝の予報は快晴、マイナス20度、微風。主人の勧める野付の朝陽を狙うことに。
 弟子屈泊
 

 0207
 予報通り快晴でよく冷えている。道中マイナス21度。走行中の窓の外にはディープブルーのグラデーション空低く輝く三日月と金星、そして防風林のシルエット。素晴らしいシーンがあったのだが、出発時刻が遅かったため時間の余裕がなく、指くわえて見送るしかない悔しさ。ワタシャ四角い太陽なんかよりゃこっちのシーンがよっぽど良かったのですが。明朝再チャレンジしようにも月の出は今日より50分も遅くて、不可能なシチュエーションなのです。目的地へはぎりぎり日の出時刻に到着したけれど、快晴と思われた東の水平線には雲がしっかり。あぁ無念の三日月。。
 11時、伊藤サンクチュアリーに到着。日曜日でカメラマンも観光客もいっぱい。駐車場もほぼ満車だったのに、午後は閑散。菊池牧場のカメラマンもまばら。おまけにタンチョウもまばらで冴えない1日が終わりました。
 今夜は馴染みの宿、恒例の酒盛り。岡山から持ち込んだ菊池酒造の「燦然」。悪くはないのだが、この宿では役不足なのでした。
 鶴居泊
 
 0208
 午前6時20分起床。寝過ごしました。すぐに身支度を調え同35分、コッタロに向け出発。15度前後まで冷え風もないのに霧氷はほとんどナシ。それでも15年ぶりにオオモズを発見。大抵は梢のてっぺんに止まっているので絵にならないのですが、証拠の写真だけはゲット。
 朝食後、細岡展望台を経由し、釧路市内で買い物を済ませ阿寒観察センターで撮影。夕方はもちろん菊池牧場です。残念ながらサンクチュアリーに残るタンチョウは約50羽。今夕も大編隊は拝めそうにありません。空が色付いてきたので主人公のいない夕焼けをファインダに入れ露出確認していたら、それをバックにこちらへ一直線に向かって低く飛んでくる想定外のタンチョウ2羽。気づくのが遅れスルーしてしまいガックリ。その構図をイメージしていたのにトホホ... この旅2度目の大ガックリです。
 今夜の酒盛りも岡山から持ち込んだ御前酒ピンクのラベル。薫り、旨味、酸味、喉越し、どれも平均点以上ですいすい呑めるのですが、17度。少々酔いが早いのです。
 鶴居泊
 
 0209
 マイナス7度。曇天。期待出来そうもない朝です。午前6時20分出発。コッタロを抜け踏切を渡り幹線道に出ると道路上で沢山のカラスが集まり何やら貪っている。近くの木にはオオワシやオジロワシ。交通事故死したと思われるエゾシカの子供に鳥たちが群がり、すでに肋骨が剥き出しになっていました。
 雪が降り始め、伊藤サンクチュアリーで雪のタンチョウを撮ることに決定。とはいえ気温はプラスの2度。いちおう雪には違いないのですが、ベッタベタで始末が悪い雪質です。2時間ほどで切り上げ、茅沼経由でどさんこ牧場に向かいます。大抵は道路べりに車が3〜4台駐まっていて迷惑になりそうなのでスルーしていたのですが、何故か今日は1台もなく、今年初めて覗いてみることにしました。残念ながらツーショットではなかったのですが、ウロの中央に1羽が鎮座。傘を差し、ビショ濡れ覚悟で数カットを撮影。気温はプラスの1度。昨年の最終日、苫小牧研究林を否が応でも思い出さずにはいられない、最悪の天候です。午後3時、チェックインし本日終了。
 鶴居泊
 
 0210
 午前4時過ぎに起床し、5時前、和田さんの後を追いタンチョウの塒を目指したのですが、残念ながら色付かず、霧氷もありませんでした。8時半チェックアウトし、帯広十勝川温泉を目指す前にロケーションが素晴らしい某所を下見。昨日来るべきだったと後悔です。この旅3つめのガックリ。
 お昼前、十勝川千代田堰堤に到着。スマホのアプリで調べると日の出の方向は悪くないのですが、明日は風が強い予報で早朝の霧氷は望めそうもありません。でも、明日の朝陽はここでやるしかなさそうです。音更神社といつもの場所を下見。空は快晴。でも十勝連山は雲の中。夕空にカメラ構えてはみたけれど、いつもの場所も展望台からも絵にならず。
 十勝川温泉泊
 
 0211
 小生63才の誕生日。
 快晴には違いなく、千代田堰堤に急ぎ午前5時50分到着。マイナス10度前後までは冷えたけれど、予報通り風があって樹氷は皆無。展望台を経由し音更神社に8時到着。某宿で分けていただいた朝鮮五葉松に群がるエゾリス6〜7匹。清々しい朝を賑やかなリスたちと楽しんでいたのですが、突如警戒モード。原因はスズメを捕らえたハイタカが境内の樹上で食事を開始したため。そのうち警戒態勢を解き、腹一杯だから襲わりゃせんと、大胆なリスたちはハイタカのすぐそばの枝を走り回り始めました。さっきまでの警戒はいったい何処へいったやら。生き物たちのやり取りはとても楽しい。
 11時20分、音更神社出発。2時間少々で苫小牧研究林に到着し、さっそくエゾフクロウの森に急いだのですが姿がありません。例年彼等がいるウロの縁には雪。今年はこのウロに居ないのでしょうか。足取り重く駐車場へ向かうジーサンに、元気出せよ〜と餌をねだりに纏わりつくカラたちに感謝。明日は遊んであげるからね〜、って言うより、遊んで下さいね〜、お願いします。
 この地は夕景の撮影ポイントが無い(支笏湖へ行けばありそうなのですが氷瀑まつり真っ只中。しかも今日は祝祭日。何時ぞやのように大渋滞は必死。)。
 ガソリン満タン給油、コイン洗車を済ませ、明日深夜の乗船に準備万端。チェックインは午後5時半。持参の岩国市酒井酒造の純米酒「五橋」を開栓。これも美味な純米酒なのです。
 苫小牧泊
 
 0212
 隣室の客が喘息ふうで一晩中ゲホゲホ。少し間があきやっと寝かかったらまた延々とゲホゲホ。まともに眠れず、4時半起床。宿で朝食を摂らず苫小牧研究林に向け5時半出発。7時前にはラッシュになるのですが、当然スイスイ。でも意外にも交通量は多いのです。
 6時半、フクロウの森に到着。ウロの縁には昨日と同じ雪。出入りしたような痕跡はありません。オオアカゲラらしき古木の食痕と鳴き声そして高所を移動するシルエット。ミソサザイ、シメ、キクイタダキ、ウソ、ヒヨドリ、ダイサギ、ホオジロガモ、交尾するマガモ。平気で掌に乗りひまわりの種を啄ばんでゆく愛らしきカラたち。シジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、ハシブトガラ、ヒガラ。さすがにミヤマカケスは手に乗らず(でも、かなり気配はありました)。(^^;;
 研究林の気温はマイナス15度。予報よりもかなり低い。ダウンの上下は必需とはいえ、森まで歩けば軽くひと汗。帽子もシャツも汗が冷えて極度に冷たい。気がつけば口髭が凍り、顎髭までもが真っ白です。
 せっかくの苫小牧、北海道最後の食事にホッキ貝をと、昨年とは違う回転寿司店へ入ったのですが、なんとホッキ貝の握りはやってませんだと。他のネタも貧相で、安けりゃええっちゅうもんじゃなかろーに。苫小牧=ホッキ貝です。何がなんでもメニューにホッキ貝がなきゃなりませぬ!
 帰りの船は定刻通りの出港。予報では、明日は昼前から海上かなり荒れ模様。酔い止めのアネロン準備しておかねば。
 船中泊
 
 0213
 午前5時、とりあえずお目覚め。何故か扁桃腺が腫れています。風邪薬の代わりに、ひとくち残っていた昨夜の日本酒を呑み干して再び寝床へ。午前7時起床。完全な曇天、小雨。海上は白波とうねりが少し。揺れは穏やか。昼前から風が強くなりそうなので、早めに食事を済ませました。
 行きの船内で開封した酒の友、なとりのチータラ。案外ボリュームがあって食べ切れず輪ゴムで仕舞い込み、帰りの船内で酒の肴予定だったのですが、何やらカビ臭いとは思いつつも昭和前半戦後の生まれは、あぁ勿体ない。ひとつまみふたつまみ... みつまみよつまみ... ごつまみ。いやいや、こいつぁやっぱヤバそうかもと泣く泣くゴミ箱へ。注意書き見れば、開封後は完全密封し冷蔵庫で保存、3日以内に食すベシ、とな。かなり食っちまったけど、まチーズのカビだから納豆菌とそんなに変わらんかも、と意味不明なことを考えつつ焦りつつ。船揺れて、上からも下からもって... カンベン!
 この1年間、土日関係ナシ貧乏暇ナシのべつの仕事三昧。大切な大切な、恒例になってしまった冬の北海道、2週間。一年の疲れを洗い流し、また明日から。

 
 

 
©
NOBUYOSHI NAKAGIRI
naturephoto@mac.com

(許可なく引用や改変、無断掲載することはお断りします)

 
 
自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜