自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜
 

性懲りもなく14年目の道東、冬の旅

2月6日(木)出発〜(^_^; いろいろありそな予感が...
 経費節減で、岡山駅まで路線バスで出ようとバス停で待ち続けるのだが、どうやらトラブルがあったらしく、やっと一便後のバスと連結状態でイライラ待ちわびるバス停に入ってきた。ブスッとした運転手からは当然なんの説明もなく、ブスッとしたいのはこっちの方だという空気が車内客席のあちらこちらでブスブスッと燻りはじめている。旅の初めから不愉快な気分になりながら携帯の時計画面が少々気になる。以前の骨董品的薫り漂う携帯から今の携帯に買い替えてからは時計を持つことが全くなくなった上、簡単なメモやフッと思いついたことを簡単に書き留められるからとても便利である。遅れは気になるものの名古屋からの飛行機には充分な時間の余裕があるから、1時間に1本ある岡山始発のひかりに乗れれば儲けもの、その程度の感覚ではあるのだ。しっかぁーし、発車まであと5分!諦めるべきか走りだすべきか、この5分というのが一番判断に困る時間である。駅ターミナルに着いたバスから駆け降り、重い600ミリ一式と三脚を担ぎ階段を駆け下り駆け上り改札を走り抜けエスカレーターをまた駆け上り、発車のベルが鳴る岡山始発にやっとの思いで飛び乗りハァハァゼーゼー。車両内を歩き始めれば列車はすでにホームを加速し始めている。座席に腰を下ろしても暫く動悸が治まらなかったけれど、何とか滑り込みのセーフ。なにやら微かな幸運の予感がチラリ.. (^_^;)
 名古屋発の飛行機は予定通りに釧路空港着。JALとの合併による経費削減の一環なのか、いままでJAS機内天井にあった可動式モニターが無くなっている。うぅ〜む、なんとも楽しくない。
 今年もオリックスレンタカー期間限定激安の四駆を借り受ける。今年はなんと走行距離無制限のサービス付き。実にもっていい気分で定例のコース、鶴居村からコッタロ湿原を抜ける。昨年あれほど沢山いたノスリもケアシノスリも姿が見えない。コッタロでやっと数頭のエゾシカに出逢ったのみ。シラルトロ湖辺りから夕景が気になり始める。はや雪原は青白く透明感溢れる表情を見せ始めている。標茶を過ぎ、虹別の手前あたりで車を止め夕日をゲット。あまりの美しさに感動し、大急ぎで三脚を引っ張り出して600ミリを乗せ夢中でシャッターを切る。日も沈み、ふと気がつけば手袋をはめるのもジャケットを羽織ることも忘れ、岡山を出たときのままの格好ではないか。道理で寒いワケである。当然じゃ。。まずまずの夕日ゲットで、さい先は良かったのだがフィルムの仕上がりは... 毎度のことながら、何故か上手くいかないものである...
 例年になく走りやすい272号線から335号線を羅臼に向けカッ飛ばし、18時40分、どっぷりと暮れた羅臼ペンションラウスクル到着。期日指定でこの日の朝到着していた荷物を部屋に担ぎ上げ終えて、夕食をいただく。漁師料理は格別に美味いのだが、折角の真新しいログハウス、木の匂いが余りしないのがチト寂しい。例年になく流氷が多い今年の冬。昨日までの羅臼は氷で船が出せず、一週間漁が出来ない日が続いているそうである。明日は今シーズン初の観光船を出してくれるという有難い船長の男気に感謝しつつ、取り敢えず、持ち込みのウィスキーで乾杯!今年も素晴らしい出会いを夢見つつ、シアワセに就寝〜。
2月7日(金)観光船は出たけれど...
 4:30起床。羅臼港5:00着。夜明けまでまだ1時間半、出港に備える漁船群の明かりで微かに見える港の水面は氷で固まっているではないか。石を投げたくらいでは割れそうもない、のではあるけれど、ここで石ころを見つけ出すのはかき氷に紛れ込んだガラスの小さな破片を探し出そうとするのと同じ難しさであろう。とりあえず目に付いた氷の塊をまだ暗い海に向け投げ込んでみるが、こんころころ〜っと上っ面を滑って行くだけであった。その薄暗い闇の中、厚さ約10センチ余りの氷を、アルミ製のゴジラ岩観光の船は前に後ろに割砕き出港に向けてのポジションを作ってゆく。FRP船がほとんどの漁船群はやはり出漁には様子見である。ゴジラの船も予定の出港時間を大きく遅らせて日が昇るのを待つ様子。暫し待つしかないのだけれど、国後の空が微かに焼け始めると、お尻の辺りがムズムズし始めてもう堪らない。出港の時間を何度も確認し、慌てて望郷台に駆け登り根室海峡の朝焼けを狙うが期待を裏切りほとんど色付かない。時計を気にしながら、アイスバーンの急斜面を滑るように車を走らせ港に戻り、直ちに乗船。午前8時前、出港。確かに出港ではあるのだけれど何せ氷ビッシリの湾内。ゴツゴツガリガリやっとの思いで港の出口に辿り着いたのだがもうこれ以上は進めない。敢えなくここで餌撒き、撮影開始。空も色付かず、ワシも少ない。何よりまったく面白くない光線に、船は沈まぬが意気消沈、沈没〜。昼前までの2時間半、ただただ船上の人でありました。下船後宿に舞戻り、遅い、滅茶苦茶遅い朝食。これはなんとも有難く、五臓六腑に染みわたるような美味しい食事でありました。感謝多謝。。 >>>厳寒の鳥たち/2003年2月、羅臼の鳥
 正午、名残やや惜しい羅臼を後にして、ひといきに白鳥台を通り越し走古丹へ向かう。今年はなんとまぁエゾシカの大豊作!何度も何度も平然と目の前を横切ってゆく彼等に立ち往生。制限速度で普通に行ったり来たりしていれば、小一時間のうちに間違いなく、確実に3〜4頭ははねてしまうに違いない厚かましさ。窓からカメラをヨッコラショと出してファインダを覗けばすぐ逃げ出すくせに、道端で客待ちするかのようなこの態度はなんと言うべきか。カメラを出してバシャバシャ嚇かしでもしないことには、マジぶつかってしまうのだ。今日の夕景はここでシカを夕日と絡ませる構図もあったのだが、ポイントと考えていた高台に歩いて登る老夫婦にシカたちが驚き、撮影に最良の場所から姿を消してしまったのである。やむなく野付の夕日に変更、大急ぎで到着。今年はまだ、あのお伽の国のオジサンたちは来ていないのか姿を現さない。例によってここの夕日、ナンにもなかった筈の西の空に雲が湧き始めて夕景は終了。当然の合掌。アーメン。。
 今日は散々な一日であったなぁとボヤキながら宿に向け走っていると、なんと夕闇の道端にエゾフクロウを発見!同乗されていた同宿のSさんが道端のダケカンバに佇むエゾフクロウを目敏く見つけたのだ。夕闇に浮かぶその顔は眩いばかり。おメメはパッチリ色白で〜♪ さすがに暗くて絵にはならないのだが、これでなんとか今日一日の不運不作を忘れることが出来るというものである。
 宿の一番良い部屋を頂戴し、ひとり悦に入り乾杯!民宿白鳥屋の温泉は泉質も良く最高、なのであります。
2月8日(土)ビバ!三角の太陽!!
 部屋の窓から朝日を狙おうかとも正直考えたのではあるけれど、まぁここまで来て横着することもないワイと、宿から車で数分の昨年も朝日を狙った場所へ6:00到着。な、なんと!浪速の大将T氏とご対面〜 あは、ありがたやありがたや〜(^◇^;)
 暫し恒例の毒舌挨拶を交わして、氷点下15度前後の夜明け前、引きつりそうになる顔の筋肉をギシギシ歪めながら1年ぶりの再会に笑顔が絶えなかったのであります。そうこうするうち明るくなり始めた東の空は何やら良さげな雰囲気。廻りに雲はあるものの水平線が一気に赤く変わってゆく。慌てて三脚にカメラをセットし終わればもう太陽がお顔をチラリ〜。いきなりT氏が「三角じゃーっ!」っと叫ぶ。ほぉ〜っ!とファインダー越しに感動しながら、刻一刻と変わってゆく姿にシャッターを切りまくる。確かに三角と言えば言えなくもないけれど、なにやら怪しげな太陽ではある。そしてすぐ四角に形を変え、最後はダルマで万々歳! T氏曰く、俺はアンタ今年1ヶ月近くここで狙っておるのに今日が初めて出た太陽じゃ。あんたらアカンわ〜撮るな見るな、楽しすぎじゃ〜腹立つの〜! ゴッチャンでありました〜Y(^^)ピース! >>>道東、凍てつく旅の風景/2003年2月の朝日夕日
 抑えても抑えても素直に顔に出てしまう嬉しさを牛のように何度も反芻しながら白鳥台に戻り、オオハクチョウとオナガガモに手渡しの餌やりを堪能。なんとも嬉しかったのは、いつまでも心地よく指先に残るオオハクチョウのくちばしの痛さでした。
 9時に切り上げ、一路根室市内へ。根室のネイチャーセンターでカラ達を撮影。鳥情報を、いつもながら懇切丁寧な指導員からいただく。内地では今年、やけに賑やかな冬鳥情報が飛び交っているのだけれど、道内ではユキホオジロも期待のベニヒワもほとんど情報が無いとのこと。うぅ〜む、期待はずれか.. >>>厳寒の鳥たち/根室ネイチャーセンターの鳥
 ここまで来たら当然、回転寿司「花まる」で昼食。格別美味いというわけでもないのだが、地の新鮮なネタが手ごろな価格で食べられるからつい足を運んでしまうのだ。道東の旅でまともな昼飯は、たいていここで食べるのみ。あとは省くかコンビニのおにぎり。こっちに来れば気合いが違うのである気合いが。ワッハッハ...( ̄^ ̄)
 お腹も膨らみ、のんびりと落石から別当賀を廻って今日も走古丹。図々しくも体当たりしてきそうなエゾシカや、道端に寝ころんでいて知らぬ間に骨になりかけのエゾシカさんたちを見ているうちにはや4時前。小雪舞う完全な曇天に今日の夕日は早々に諦めて、今夜も白鳥屋の良泉で早めの入浴、早めの乾杯で一日が終わるのでありました。明日は白鳥台の雪祭り。正しくは別海町の雪祭りである。
2月9日(日)カンカンコンコンクマゲラさん!
 今朝も雪がちらついていて、朝日はよその国の話。朝食前、宿の前に出てオオハクチョウたちを眺めていると暖かい牛乳の差し入れ。思わぬところでお祭りの恩恵に与ってしまい、やや感激。そのうちに町の職員による餌やりが始まる。薄く張った氷を船で砕き散らし、大量の食パンの耳をぶちまける。観光客のひとりが餌やりの時間を問うのだが、職員の歯切れが悪い。そりゃそうだろう、今日までは祭りのために餌をやりハクチョウを集めるけれど明日からはやらない、なんて本当のことはさすがに言いにくいであろう。朝食後、宿の前のハクチョウやオナガガモに与える一袋2百円のポップコーンを何度も買い直して手渡しの餌やりで楽しむ。野鳥の会的には少々問題があるかもしれぬが、冬鳥たちとのこんなスキンシップはそうそう体験できるものではない。まったく写真にはならないのだが、しゃがみ込み、手から採餌するオオハクチョウのくちばしの感触は、いつまでも嬉しく指に残る。
 中標津近郊の養老牛温泉ホテル大一(現在は宿名変更していて、湯宿だいいち)のシマフクロウ用巣箱を確認経由して屈斜路に向かう。実は昨年、このホテルで不愉快な思いをしたのだ。その日は夕食時から早々と何度も餌台に現れたシマフクロウを満喫し、翌朝3時半に発って羅臼へ向かうべく早々に精算を済ませ、床につこうとしていた夜10時半頃、いきなりドアをドンドンドン。何事かと聞ければ「夕食のビール代を支払ってくれ」と、そのまんまの口調で宣う副支配人。幾ら酒好きでも飲んだものは支払うが、飲んでないものを支払えとは何事じゃ!明朝早いからと精算を済ませ、超過のものは摂れないと、この酒好きが我慢しておるっちゅうのになぁんちゅうヤツじゃ!もう金輪際二度と泊まってやらんぞ!とまあ、こんな不愉快なやりとりがあったのです。そんなムカツクやりとりを思い出しながら、あちこちクネクネ屈斜路へ向け走り回っていました。と、なんと!なんと!!エゾアカマツの幹に飛びつきカンカンコンコンやっているのは紛れもないクマゲラさん!まっ黒けの大きな体に赤い頭頂部。そういえばこの鳥も丹頂と呼べなくもないわい、などと一瞬余計な考えが頭をよぎるが、いまそんなことはどーでもいい。ワナワナドキドキ感激の出会いに震え、ファインダの中で感涙に煙るその姿にピント合わせもままならずシャッターを切りまくり、ブレボケフィルムの山。せいぜい良くても図鑑写真どまりの被写体に大感動したのであります。バサッゴソッと、大きなかさぶたを剥ぎ取るように木の皮を叩き落とし次々と虫を探し出してゆく。15〜20メートルの距離を置いて枝を移り、悠々と腹を満たしてゆく。なんとも素晴らしい。うぅ〜ん感動の出会い〜♪♪
 大きな収穫を携えて屈斜路のペンションパピリオへ到着。ここも2泊の予定である。湖畔の道路から少し奥まった森の中に建つ宿は、餌台に来る沢山の鳥たちと可愛いエゾリスがお目当てで、以前から気になっていた宿。今回初めてお世話になるペンションである。いきなり出迎えてくれたのは金色にも銀色にも輝くシメ。こんなに綺麗な鳥だったかと、あまりの美しさに驚く。宿に荷を運び入れて湖へ、とりあえず何はともあれオオハクチョウである。今夕は曇天で、全面結氷お御渡りの雪原と化した屈斜路の色付きは望めないものの、数年ぶりに訪れたこのロケーションの良い湖を前に、明日の撮影プランを思い描くのである。
 早々と宿に帰り、大きなお風呂を独り占め。しかし露天はステンレス製で寒そう、丸見え。さすがにご遠慮いたしました。夕食はレストランのコースの流れ。ボーイのようにじっと立ち、こちらの食事の進み具合を確認するコックのご主人の視線を些か感じ取りながら(^_^;、明朝、大きな窓の餌台に繰り広げられるはずのエゾリスや鳥たちとの大ページェントに胸膨らませながら今宵も乾杯!夜は更けてゆくのでありました。グッナイ!
2月10日(月)シランプリしたカワアイサの氷上グランプリ
 午前6時半屈斜路湖畔着。小一時間オオハクチョウやカワアイサと遊ぶ。天気は良いのだが色付くわけでもなく樹氷になるわけでもなく、勿論今朝もさほど冷え込まず、何となく朝が過ぎてゆく。8時からの朝食をいただき、餌台の見事なレイアウトに改めて感心しながら撮影開始。いろんな餌台を見てきたけれど、写真を撮るならここの餌台が最高のシチュエーション。絶対お薦めである。ただし、他のお客さんがまだ食事中であれば、少なくとも室内からの三脚撮影は避けるべき。当然のことではあるけれど。。アカゲラ、オオアカゲラ、シメ、ゴジュウカラ、コガラ、ヒガラ、ミヤマカケス、そしてエゾリス。たっぷり堪能させていただきました。それにしてもここの雄のシメ、頭は金色。こんなに綺麗だったのかシメって!ほんとに驚きである。 >>>ガストホフぱぴりおの鳥たち
 さほど冷たくもない外に出て撮影を続けていると、森の中からピョーピョーと甲高い声が近付いてきて、気が付けば目の前20メートルにしっかりとした角を持つエゾシカ雄がすっくと立ち、バッタリ。顎を上げてこちらを見据え、前足で数回地面を蹴って威嚇し、群の待つ森の奥に消えていった。車中からなら至近距離の出会いは何度もあるけれど、森の中での出会いは初めて。不思議な、夢のような一瞬でした。
 僕の道東冬の旅の中で、もっとも路面状態が気になるのが道央に位置するこの屈斜路である。だが暖冬の年の中でも極め付きに暖冬の今回は、実に快適で走りやすい。但し、木陰となる路面は確実にアイスバーン。一瞬にして氷の世界へと豹変するのだ。迂闊な運転は事故へと確実に直結する。そんな湖畔の道路を硫黄山へちょいと足を伸ばす。風向きによるからであろうが、いつもは鼻を突く硫黄の刺激臭がほとんど感じられない。飛び石連休のためか、それなりに観光客の姿も見える。冬の北海道は何処に行っても着実に観光客が増えている。道内のありとあらゆる自然が、もはや観光のスポットなのである。
 屈斜路に戻りオオハクチョウの餌として売られている食パンの耳を100円の袋で購入する。前にも書いたけれど、手から直接くわえ取ってくれるこの感触は何とも言葉にし難い嬉しさ。ただただノーテンキに餌やりを楽しんでいたのですが、ふと気付けば、餌を与え始めると必ず何処からかカワアイサ5〜6羽が現れ、気にする素振りを悟られまいとシランプリしたような顔で偶然を装いながら近付いてきて、横目でこちらの様子を伺っている。パンを投げ与えるとオオハクチョウよりも遙かに素早い動きで何羽もが一斉に飛びつく。そして一瞬の争奪戦が終わり、氷上をヒョコヒョコ歩いて水に戻る姿がまたなんとも可愛ゆい。野鳥の会会員としては少々やりすぎ遊びすぎであったかもしれんと、チト反省しながらも、まるでペンギンのような歩き方に顔の筋肉は緩みっぱなし。楽しぃ〜♪べりぐっどでありました♪♪ あぁ、笑いすぎてお腹の筋肉が痛い(^_^;)
 空は一向に良くなる気配もなく、夕焼けは望むべくもなさそう。はやめに切り上げて温泉の独り占め、乾杯〜♪飲み過ぎかもなぁ...
2月11日(火)いいことばかりは...
 本日、ついに大台50才の誕生日。思い起こせば37の誕生日からかれこれ14年間、毎年の誕生日は北の大地。なにかしら得も言われぬ感慨のような妙な想いが胸に沸き上がってくる。今もそうではあるけれど、当時は今よりももっともっと貧弱ないでたち。マイナス10度あたりが限界であったろう服装と靴。重いリュックにカメラを詰め込み、ジッツォのデカくてバカ重い三脚を手に持ち、バスと歩きで旅していたのだ。若かったなぁ.. 髪もフサフサ長髪で.. 男前は今も昔も変わりはせぬが...
 朝まだ薄暗いうちから庭先に出て、餌台に集まってくる鳥たちを撮影。エゾリスも朝のうちは頻繁に現れるようで、ひっきりなしにやって来ては大きなクルミを掘り出しくわえて何度も貯食に消えてゆく。今朝は早くから道内のNHK放送クルーがやって来ていて、お目当てはやはり餌台のエゾリスである。大きな窓越しにエゾリスや鳥たちを見ながらのリッチな朝食。いやぁホント贅沢じゃ! >>>ぱぴりおのエゾリス
 荷物をまとめ9時出発。なんと宿の主御夫妻のお見送り。二日間で初めて拝見するような(失礼!m(_ _)m)にこやか笑顔に送られて、今日も素敵な出会いがある予感〜♪
 屈斜路を後にして、再度クマゲラチャレンジ〜 まったく当たり前、これが私の日課だよとばかりに悠然とエゾアカマツを叩き、一昨日と同じ場所で採餌中である。しばらくすると車の上を横切り、雪の壁で囲まれた4メートルばかりの道路の反対側、何とも写真写りの良さそうな木を叩き始めた。ところが、バシャバシャと数枚の撮影をしたところへ不運にも後ろから古いランクルが現れた。十分な余裕があるのに何故か通ろうとしない。こんな雪道に車を止める方に非があるからと思い一気に雪の中へ。少々ムカつきながら、やっと通過する運転手の顔を見れば、なんかどっかで会った顔、数回話をした見覚えのある顔。向こうも何やらこちらに気付いた様子で、すぐに目をそらし消えて行ってしまった。クマゲラの存在は知っていたのであろうか... さあ少し車のポジションを戻そうと雪の壁から離れようとするのだがまったく動かない。あれこれ試してみるのだが抜け出せそうにない。エラコッチャ!やむなく車から降りて無い知恵を絞る。なんじゃぁ?それにしてもクマゲラは逃げない。なんちゅう鳥じゃろ。では三脚を出して.. 等という気はさすがに瞬時に消え失せ、目の前の状況を如何に脱出するか。悪戦苦闘必死の30分。なんとかかんとか大汗かきながらの脱出劇でありました。ったくぅ...
 そんなこんなでヨタヨタと、ヨレヨレになって鶴居の和田さんち、ホテル泰都に午後4時到着。曇天。多くの幸運な出会いに予備のフィルムが心許なくなり始め、ホテル泰都にあった7本のフィルムをすべて買い込む。1本1200円也〜(・_・、).. ウゥ
 音羽橋近くでコチョウゲン雄のお出迎え。いちおう菊池牧場に立ち寄ってはみるが絶望的天候。はよ帰って乾杯〜ってのが正解の予感。直ちに実行、善は急げ...? 晩酌は大急ぎ〜♪
 夕食後いつの間にかうたた寝。午後11時半突如目が覚め、12時までの温泉に飛び込む。とーぜんの独り占めではあるけれど、露天に入る気力もなくそのまま部屋に帰って就寝。何時に寝たのか不明である。
2月12日(水)朝日夕日は今年も××
 曇天なれど早朝の音羽橋に向かう。ここまで来てチャレンジしないのは勿体ない限り、当然の出撃ではあるけれど当然のノーチャンス。さっさと諦め朝飯前のコッタロ湿原に向かう。オオモズにも会えなくてノスリさえも顔を出さない。湿原を降りかけたあたりでゴジュウカラに気付く。ふと反対側の斜面に目をやると今回まったくお目に掛かることのなかった、何やら赤いモノがチラチラ動いている。オオマシコである。5〜6羽の小群は実を啄みながら、風に揺れ穂先を揺らせながら山陰に消えていった。 >>>コッタロ湿原のオオマシコ
 朝食後、伊藤サンクチュアリーへ。曇天で少し暖かいからなのかタンチョウたちが早くから集まってきている。今年は何故かサンクチュアリー常設の餌台に集まる鳥の種類数個体数とも少ないようだ。そういえば毎年必ず、つがいで間近に見ることが出来たヤマゲラにさえ会えなかった。数羽のアトリはいたけれどシマエナガもいつもの年より少なめ。
 お昼前に切り上げ、峠を越えて阿寒の観察センターに移動する。こちらはほぼ快晴。平日なのにカメラマンたちでビッシリ。確かにここのロケーションはいいもんなぁ。風向きもまずまずで何度も低空で頭の上を飛び越して行く。大きな羽音が嬉しい。午後2時の餌やり。例年なら少し前にはオジロワシが数羽集まってくるのに今年はどうしたのだろうと辺りを見回してみるけれど、上空を舞っているのはトビばかり。今年はダメかな諦めて片付けようとフッと空を見上げれば、いつの間にか上空を飛び始めている。成鳥2羽と幼鳥2羽が入り乱れての空中ショーが突然始まる。さすがに毎年来ていれば、マンネリ気味で少々飽きてはいるのだが、タンチョウとの絡みやトビを撮るのもそれなりに面白いのである。何せ雪原が大きなレフになっているわけで、その上にいるものは美しいのだ。もちろん雪原の小生だって、それなりに男前が上がっているのかもしれない... (^_^;)
 2時半に切り上げ鶴居村菊池牧場に向かう。3時半、牧場到着。早くから西の空をタンチョウの群が飛んでいる。集まったカメラマンたちも今日こそはと夕日を期待しているに違いない。暫し、陽が落ちてゆくのを眺めながらワクワクして待機。ところがどっこい、少しばかり色づきはするものの夕日がなかなか染まらない。本土の街中と違い空気が澄んでいる北海道内陸部は、ガッと上がった強い太陽がそのままガッと沈むのだ。排ガス煙る東京のようにボヤッとした真っ赤な丸い太陽など望むべくもない、それが真冬の北海道なのである。仕方なく納得、そのまま終了。 >>>タンチョウ
 宿に帰り早めの温泉入浴。この時間帯はさすがに温泉利用客が多いがやむをえない。明日は帰りの荷造り。今夜はその準備も少しはしておかねばならぬのである。夕食後しみじみと、今回最後の一人酒盛り〜♪ι(^。 ̄)丿♪ 明日は少し冷え込みそうである。
2月13日(木)グラム700円とフジヤマ
 4時過ぎ起床。4時半出発。毎年ほんとに不思議なのだが、何故か旅の最後の朝が一番冷え込むのである。今年も旅の直前まで連日マイナス30度前後を記録していたのに、こちらに来てからは精々冷え込んでも10数度。そしてまた明日からは寒波が流れ込むのだという。別に冷え込んだからっていい出会いがあるというものではないけれど、一面銀世界の樹氷や目の前すべてがキンキラキンのダイアモンドダストくらいは毎年見たいものである。こちらも気の入り様が違うというものだ。怖いモノ見たさってことはないけれど、せっかくこの時期をこの厳寒期を狙って来るのだから。
 そんなこんなの音羽橋。今朝は早よーから、みんな三脚で場所取りしている。まだ真っ暗な足元をバッテリーの弱ったペンライトでヨロヨロ光らせながら、遅れじと橋の中程に三脚をセット完了。6時前まで車中で待機する。晴れてはいるのだけれど色付かない。気嵐ももうひとつ。うぅーむ.. 不運を呪いつつサッサと切り上げ、コッタロで昨日のオオマシコを探す。いるにはいるのであるけれど、遠くてとても絵にはなりそうにもない。仕方なく諦め、朝食を摂りに泰都へ。朝食時間ギリギリの8時半着。食後はトーゼン一気の荷造りである。ピッタリ10時、例年通りのチェックアウト。ご子息の高校受験日とかで、奥さんに変わってカウンタにはご主人の和田さんがデーンと。少し前、標津にシロフクロウが出たとの情報を頂くのであるけれど.. まぁ今更情報を仕入れても仕方ないのではある。
 旅の終わりはいつものコース、コッタロに別れを告げ釧路市内の六花亭春採店を目指す。カーナビって確かに便利。年一度、毎年通う道とはいえ忘れかけてる道順に、この時こそは活躍するのだ。恒例のバターサンド他をしっかと買い込み発送の手配。次は和商市場の魚萬で、今年も恒例のお買い物である。女将からサービスでいただいたグラム700円相当のたらこ。200グラムはありそうなそのボリュームに感激しながらの舌鼓。美味かった〜!
 今年は帰りの飛行機が1時間ばかり速いため、直前に阿寒観察センターに立ち寄る時間は無い。空港へ向かい走る途中、昨年出会ったケアシノスリとほぼ同じ場所になんと、いるではないか今年も。さほどの時間も残ってなく、出会えた幸運に感謝しながら空港のレンタカー営業所へ到着。無事今年の旅も終え、機上の人となるのである。
 じつはここからもうひとつ、楽しみにしていたことがあるのだ。この時間帯で晴れてさえいれば、富士山を撮影できるのではないかとワクワク。そのためにわざわざメカニカルの一眼レフ、ニコンFM2を持参していたのだ。マイナス30度を越えるようなことがあれば、電子一眼では起動することさえままならぬ可能性もあるから、大活躍もあり得るとの思惑もあったのだけれど。機内持ち込みのレンズは600ミリと35ミリ85ミリの3本。ボディはF5とFM2。さあ富士山も斜め前方に見え始め、準備開始。ところがなんちゅうこと、85ミリは荷造り荷物の中。今頃はまだホテル泰都の廊下に転がってるはずである。しかし諦めてはいけない。手にあるレンズで撮るのがプロっちゅうもん(^_^; ならば見ておれ、誰も見てないけれど少々気合いが入る。昨今、プロアマ問わず、妬みも少しあるけれど機材に頼りすぎではなかろうか。新製品を欲しがる前に手持ちの機材で最大の努力を払い、自分でイメージできるイッチバーンいい絵を目指すべきだと思うのです。おかげで有難〜いフジヤマをなんとかゲットしたのでありました。 >>>
機上からの風景
 かくして14年目の道東ボンクラ冬の旅も無事終了したのですが、なにやら3年前の我が「2000年道東の旅」を参考に冬の北海道を撮影旅行し、かの宿を利用された奇特な方もおられるとか。旅先で、そんな見知らぬ方から不意に声を掛けていただける嬉しさと照れくささは格別でした。思い出に残る素晴らしい出会いがあったでしょうか。また来年も是非、素敵な夢の続きを見たいものですね。
 今年の残りの写真は、またそのうちお目にかけることになると思います。その時までのお楽しみに〜(^_^;
 14年目の道東の旅、自然との新しい出会いをありがとう!
 
 
 

© NOBUYOSHI NAKAGIRI
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自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜