自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜
 

 16年目の道東... 最初の年は子連れで撮影は二の次だったから、15年目の撮影旅行ってことになるだろうか。鶴居を訪れるのは16年目、羅臼は13年目。その都度しっかり感動を味わっているはずなのに何故か収穫はちょっぴり。さて今回は...
 
2月04日(金)岡山→名古屋→釧路→鶴居
 今月初めの大寒波もひと段落。次の寒波がすぐ後に控えているらしいけれど、新幹線も飛行機も運行状況を気にしなくてよいのは何よりである。名古屋駅新幹線口から空港までのバス路線は今月16日で廃止になるらしく、来年の旅は新交通システムになるのだろうか。そういえば今日は立春。新しい年の始まる節目の日。背筋を伸ばしシッカと目を見開いて、希望に燃える旅にしなければ (*^。^*)♪
 余裕を持って出たため、たっぷりの待ち時間に名古屋空港2Fロビーで誇大広告の山菜そばを食す。それにしても食後のロビーは暑い。承知しているからろくに着込んではいないのだが、これじゃぁ希望より先に体が燃え尽きてしまいそうだ。
 今年からはJAL機、例年より少し早い出発時刻のせいかもしれないがガラガラ、空席だらけ。3割程の搭乗率では来年この路線が生き残っているかどうか... 半数は外人さんの団体である。順番待ちをしながら飛行機はやっと滑走路に出る。少し畏まった気持ちになっていると急にエンジンの回転数が上がり軽やかにテイクオフ。タンチョウの飛び立つシーンがフッと頭に浮かびニッコリ。
 さてさて今年の浦島太郎物語の始まり始まり〜 何処までも果てしなく続く青い空と白い雲、他に... なぁんも見えない。新潟上空を通過。当然だけれど雲の上にはなぁんにもなくて穏やかそのもの。青い空が無限に広がっている。雲の切れ間から見える地上は穏やかそうに見えるけれど、地球とは摩訶不思議な物体であるなぁ... 地に生きるものは限りなく弱く、そして、だからこそ逞しく生き延びる...  むむ... 後ろの席のデブがゴソゴソ動きおって鬱陶しい。座席を蹴るな!当たるなーっ!くそっ!! と一気に現実へ(^ー^;
 飛行機は海岸線を横切って釧路空港へ入る。かつて学生時代に連絡船で初めて函館港に入った時とは異なる感動。鳥のように空から見渡す雄大な大地への帰還。一年間待ち焦がれていた舞台にやっと上がれる感動と悦びが、熱い塊となって体の底の方から沸き上がってくる。毎年、子供のように胸が熱くときめく瞬間なのだ。そのまま機首を下げ鳥のように北海道へ滑り込む。 座席をケルなーっ!
 雪は例年並み。早速、ハギマシコ10数羽が空港の駐車場で出迎え。オオワシ、オジロワシ、ノスリは見えない。鶴居の街が近付くにつれ、真っ白の雪原にタンチョウが姿を見せ始める。いつもの宿に到着。
 なんといきなりの驚き!風呂前のロビーも食堂も完全禁煙。感激!! ここには世界中から人が集まって来るのだから当然といえば当然なのだが、和田さんの決断に感心。宅配で先に到着している荷を解き、色付きかけた菊池牧場へ向かう。まずは順当に1回戦、敗退。 それにしても、なぁんかあったかいど、ほっかいど〜
 夜は宿のレストランでほろ酔い気分。まいう〜(*^。^*) 純米吟醸「福司」ってこんなに美味かったかなぁ?「銀の海峡・知床」、これも値段の割りに薫り高くてまずまず。どっちかっていえば女性向きかもしれませぬが。ついでに明日の晩酌予定「北の勝」を予約。この銘柄、いままでは不味い一升瓶しか飲んだことがなかったのでチト不安。でもかな〜り期待出来そな予感も、大。。
 夕食後、7時過ぎから10時30分までうたた寝♪ なんかしらんけど、いつもうたた寝しちまうんだなこの宿は... とにかく飛び起きて温泉へ。他に1名のみ。やはりここの露天はいい!明日はやっぱ雪見酒やらんとね〜
 日付の変わった0時20分あたり... 就寝...
2月05日(土)鶴居近辺徘徊

 今朝は曇天。音羽橋に行く気は端から無くて、6時起床。6:45のんびり出発。なんと今朝の最低気温はマイナス3度。下手すりゃ岡山より暖かいかもしれぬ。建物の作りや着ている服はもちろん、心構えなんてまったく違うのだからホントに暑いくらいなのだ。旅に出るまでは大寒波で、毎日マイナス20度30度は当たり前ように冷え込んでいた道東なのに、なんとも愉快でない天候である。朝食前にコッタロまで出掛けたけれど収穫はゼロ。ノスリ3羽、ゴジュウカラ、オジロのみ。この日はコッタロを2往復。エゾシカにさえ出会えず、顔見せは、ツグミ、シマエナガ、コゲラ、ゴジュウカラ、シジュウカラ。そしてもちろんタンチョウ。夕日も敗退で太陽拝めぬままに本日終了。コッタロは今年も不作なのか。それでもめげずに明日も朝1回、昼前にこれでもかともう1回、コッタロ詣では懲りないのである。
 今回は初心に帰る旅をするのだと宣言しながら、所詮いままでのレールの上を走ることになるのだろうか。進化したことといえば(いえるのか)美味い酒が多少見分けられるようになったことと髪の毛が少なくなったこと(退化ともいう)。浦島のんべ、早くもヘコみ気味。
 昨夜も書いたが「完全禁煙」は素晴らしい。実にいい。というか以前の風呂前ロビーは最悪だったもんなぁ。まだ一部喫煙スペースもあるようだから全館とは言えないけれど、いずれは全館禁煙になりそな予感です。
 しっかぁぁぁ〜〜〜し!日記を書きに北海道くんだりまで来たんじゃねーぞっ!明日こそ良い出逢いがありますよーに!でもなんか、いろいろと、タイミング、ちょびっとずつ悪いんだよな。明日からワンテンポ速く動くようにすれば運も向いてくるのかなぁ。
 最近よく、デジタルはやらないのって聞かれるのだけれど、僕にとって野鳥写真も自然写真もアナログ。それも超アナログの世界。今はまだ、まだまだデジ一眼の必要性を感じていない。でも突然明日その日が来るかもしれないし、永遠に来ないかもしれない。たかだか媒体がデジタルに変わるだけだろうって言われるかもしれないが、旅から帰っていきなりパソコンに向かわにゃならぬおぞましさが目に浮かんだだけで夢は木っ端微塵。夢旅はやはりアナログがいい。
 本日カワアイサ6羽のみ。 ここの温泉にのんびりゆったり入りたければ午後10時半以降が狙い目。それまでは地元客が多い。今日のうたた寝は2時間... うたた寝不足じゃ〜 午前0時就寝。
 流氷の吟醸<北の勝<福司... 福司に軍配〜♪
 しまった!雪見酒するの忘れた (^◇^;)

2月06日(日)鶴居→霧多布
 5時30分起床。6時起床予定だったのだが、ふと思い立ちコッタロの朝日狙いに行くことに。5時40分出発。雲が多くて、どうやら朝日は望み薄。結局、コッタロの第1展望台附近から撮影することに。暫し待つが昇らない。とっくに日の出時刻は過ぎている。微かに色の変わった東の空を恨めしく睨みながら、しょんぼり撤収。突然、背後で聞き覚えのある鳴き声。クマゲラです!すぐ足元ではタンチョウのつがいが鳴き交わしを始めた。他にミヤマカケス、ハイタカ、ノスリ、オオワシ。
 9時45分チェックアウトして再度コッタロを抜けシラルトロへ。今年は何故かノスリばかり目に付く。エゾシカ6頭、今回初認。10時40分目的地到着。フクロウの姿が見えない。雪上には真新しい足跡がふたつ。犬らしき足跡も残っている。すぐ上の木でカラス2羽が鳴いている。
 標茶経由で厚岸から霧多布へ向かう。まったく出逢いは無くて、霧多布で見つけたのは今夜の宿の餌台に集まってくるハギマシコだけ。もちろんオオワシとオジロワシは上空を舞っておりました。
 宿のご主人にコヒバリ、ツメナガホオジロ、コクガンの情報を頂き、探鳥しながら朝日夕日のポイントを探し回るが、今夕の撮影は難しそうだ。明日は朝日を近場で狙おうか。カーナビの方位を確かめながら、良さげなポイントのありそうな海岸を走り回る。ほんの少し前に通ったと思われる地元の車らしき軽四の轍が、融けかけた氷で3メートル幅ほど途切れ、またその向こうに続いている。サッと通り抜ければ大丈夫だろうと速やかに前進。ところが予想外に深くてザバッザバザバッ。危うくも切り抜けたのだが右前輪から妙な音が出ている。少し走っても音が消えないので調べてみると、雪除けカバーが外れかかりタイヤに当たっているのだ。まま大したことでなく一安心なのだが、本日日曜でガソリンスタンドはお休み。仕方なく、汚れたタイヤを雪の中を走って洗い、手に切り傷負いながら修復。何とか事なきを得たけれど、油断禁物。なめたらアカン。。
2月07日(月)終日、霧多布徘徊
 昨夜はなぁ〜んにもすることなくて、なんと午後7時40分就寝。途中何度も目覚めながら6時起床、まさかの10時間睡眠達成〜♪ フロントガラスにこびりついた微かな雪氷を払い除けて6時15分出発。朝日は昇る。けれど当然の如く雲の上。いきなり強い太陽が雲間から顔を出しては写真にならず、コンチクショーと波頭を少し撮影。退散。霧多布の岬を入れたアングル、明朝も挑戦...
 なんと、テレビで見る今朝の鶴居の最低気温はマイナス1度。霧多布の最低気温がマイナス4度。この旅でもっとも低い朝。うぅ〜む、寒い... なワケなかろーっ! 暑くて暑くて車の窓を開けて走らにゃ暑すぎる毎日。ここ何年かそうだったけれど今年は最悪。曇り空ばかりで気温が高く、日中は連日のプラス。聞き飽きた異常気象。
 ここの餌台にはべらぼうな数がやって来るのだがハギマシコは絵になりにくい。コヒバリとツメナガホオジロの居るらしき海岸沿いを2時間ほど探すが出逢えない... 残念。少し離れた海岸でコクガンの群にはお目にかかれたのだが、案外警戒心が強そうだ。自分の車であれば、錆や傷みが気になって走れぬような塩水の浜をどんどん行けるレンタカーは良いね。などと不謹慎にうそぶきながら、懲りずに何度もコクガンとコヒバリ狙いを行ったり来たり。恒例のあの、走古丹&野付行ったり来たりに比べれば楽勝なのだが、どうやらこちらも収穫は薄い。
 不謹慎なるレンタカー酷使行ったり来たりを諦め、宿のすぐ近くまで帰った辺りで逆光に輝くキタキツネ発見!今回最高の出逢いに感動! しっかしまぁ僅か1分に満たない間に車が5台も通るかぁ。普段1時間いたってそんなもんじゃろー!ったく、どないなっとんねん!!どーにもタイミングが悪い。悪すぎる。。ワシャ普段の行い、そんなに悪いのか... えぇぃ!もう厄払いするっきゃないっ!!
 昨夜は小生の他3夫婦で7名。今宵の客は小生只ひとり。二日続きの一番湯を頂戴して、夜は延々ベラベラご夫婦と長話。宿の主、片岡さんご夫婦は絶妙のバランス。奥さんは大エライッ!ご主人は... も小エライッ!ことにしよう〜 そんなアットホームな宿である。空気のようにもっそり立ち上がり、部屋の隅っこの換気扇に吸い込まれそうなほど遠慮がちにスパスパを始めるご主人。ささやかなれどこれこそ我が人生最大の楽しみなり。横顔にいい味出てました。手際よく夕食の片づけをしながら絶妙な合いの手を入れていた奥さんが話し始めると、いつの間にか部屋中が笑いの渦に。この日記にだってシラフじゃ書けないよ〜な、酔っぱらってもギリギリ踏ん張って書いてやるもんかって話が満載。翌朝の顔面筋肉痛と腹筋痛が恐ろしい宿なのである。きっとふたりして北のエキスを吸い倒しているに違いない。奥さんは10歳は若く見えるし、ご主人だって5つ6つは若く見える。無茶苦茶オモロイご夫婦、ほのぼのあったかお気に入りの宿になっちまった♪
 笑い転げてるうちにうたた寝スイッチオン、スタンバイおっけー状態。北国の冬の夜は早くって、のんべの夜も早いのだ。
 次回は顔の筋肉鍛え直して来なければ (^◇^;)
2月08日(火)霧多布→羅臼
 最低気温、本日もマイナス1度。なんとかしてくれ〜〜〜っ! おまけに今朝は心も穏やかな完全曇天ときた。どんなに足掻いたって絵になんかなりゃしない。さっさと諦めて8時出発。岬付近も例のコヒバリ辺りにもなぁんにも起こらなくて、トボトボと根室のネイチャーセンターへ向かう。センター周辺の鳥たちを撮影する気も起こらない。別当賀、初田牛周辺をひととおり廻ってはみるが特に何の出逢いもなし。厚岸から走古丹へ向かう途中、ハヤブサ系の白っぽいタカが左手の森の上に消えていったが、まさかシロハヤブサ... なぁんてこたぁなかろー... 走古丹はいつものようにエゾシカのみ。野付に廻ったけれどなんの出会いもなし。知床の空模様が少し気にかかる。
 僕は一切ストロボは使わない。好みじゃないし、如何に上手く使おうと下手くそに使おうと鳥にとっては良いわけがない。第一、ストロボは重くかさばるし、またひとつテクニックを覚えるのだって御免被りたい。なんだ横着なだけかと思われるかもしれないが、まあ概ねその通りでもある。
 午後になってもやっぱり当然のどん曇り。サラリと降った雪がすっと溶けて路面はびっしょり。なんせプラスなのだから溶けて当たり前。微かに西の空低くが明るくなりそうなのだが、これから羅臼。いかに暖冬とはいえ、午後5時を過ぎれば路面は一気に凍り付く。さてどうする。天秤にかけ続け、暫し2時間。そしてついに4時前決断!(そんな大層な... ) 羅臼へGO! 西の空が気になりつつも、怪しくなり始めた路面を確かめながら、後ろ髪を引かれつつ。羅臼が近付くにつれて一気に増える凍結路面。スケートしながら、怖々、無事到着。結局、本日は見事にノーシャッター。一度もカメラを構えることすらなかったのでありました。あーめん。。
 夕食時、羅臼相泊でシャチ10数頭が氷に閉じこめられているというニュース。逃げ出せず、数日後かろうじて1頭だけが衰弱しながらも自力脱出したという。自然は底なしである。今夜の宿は料理が滅茶苦茶多くて新鮮。はよから部屋でつまみを食べながら一杯なんて、やらんほうがエエのはわかっちゃいるけど6時30分からの夕食なんて、待ちきれ〜ん!
 明朝は5時過ぎ港へ集合、5時30分出港とな。では4時50分港到着予定で参ろ〜♪
2月09日(水)羅臼→(寄り道しながら)白鳥台
 4時15分起床。4時35分出発、羅臼港へ。星が瞬いていて、何とかなりそうなそれなりの天気。昨夕、港を覆い尽くしそうだった氷を左手に気にしながら4時50分港着。幸い湾内の水面は小さな波が光っている。ワクワクこの旅で初バッチグーの期待。5時50分出港。総勢11名、嬉々として海峡へ。氷は港のごく近くにもあるもののまばらで、形の良い氷を探し白波たてて沖合まで向かう。
 久しぶりの日の出、格別良いわけでもないのだが、文句は言えない。それなりに撮影するしかない。ただ冷え込み不足は相変わらずで情け無いほど。今回最も冷えたとはいえマイナス5度。それも日が昇るとすぐに上昇してしまう。暖冬暖冬といいながらも例年なら、船で出て撮影中にレンズに水がかかれば一瞬で凍り付くのに、今年は水のまま。撮影は楽だが幾ら何でももの足りない。おまけにザッパの汁が飛んできてレンズに付いても氷らないから、なんともヤァ〜な感じなのである (^◇^;)  雲間にやっとこさ、ほんとになんとか上がった太陽が途切れ途切れにではあるけれど色付いて、9本撮影。ここ数年、船はハズレ続きだっただけに、まあナンとか少しはストレス解消になったのでありました。
 帰港したのは9時丁度。宿に戻り朝食を摂って10時チェックアウト。大きく遠回りをして、気になっていたエゾフクロウを確認。新たにねぐら近くまで延びる足跡を不愉快に思いながら白鳥台へ向かう。出そうで出ないオヤジのナントカではないが、今日もまた夕日が拝めそうで拝めない雰囲気。往生際悪く、何度も野付と白鳥台を往ったり来たり。4時30分、結局諦めて宿へ入る。暖冬の影響で予約が少ないらしいが、ここの湯も素晴らしい。オオハクチョウの声を聞きながら夜を味わい朝を迎えるなんて、なんとも贅沢。私のお気に入りの宿のひとつなのだ。
 むぐぐぅ... 腹苦しい... つうか苦し過ぎるぅ... ここの夕食も多すぎて美味。食べ尽くしたいけれど死ぬ思い。でも食い尽くすのじゃ! 根性!!
2月10日(木)白鳥台→養老牛→屈斜路
 四角い太陽? それっていったいナニ? そんなのどかな朝である。曇天、こればかりはナンとも為す術がない。そのうちに小雪が舞い始めた。少しオオハクチョウと遊ぼうか。
 うぅ〜ん、朝からお腹一杯〜♪ ここは朝日夕日狙い。まあハクチョウもあるけれど、旅の途中で一日、中休みを取るには最適。四六時中入れる温泉もいいし、せかせかと動き回るのを止めて一日のんびり出来る場所なのだ。
 光もなく色もなく雪も降らず、8時30分出発。養老牛の入口近くでキタキツネ発見。やけに人懐っこくて、車を停めビーンズバッグを窓に載せてカメラを据えると近付いてくる。普通は逆だろーおい!最短1メートル、近すぎて645の中望遠ではピントが合わない。手を伸ばせば頭に触れそうな距離。きっと観光客や湯治客にエサを何度も貰っていたのだろう。困ったもんだとボヤキつつ、少し撮影(^_^;)
 今朝はマイナス6度、予報では今夕から冷え込むというのだが、はてさて。暫くクマゲラ探しに没頭。少し新しい食痕はあるものの、姿もなければ声もない。あの年は本当に幸運だったのだ。諦めて最終目的地の屈斜路へ向かう。路面はなぁんにも考えず走れるフツーの道路。2時50分チェックイン。昨年と同じ部屋なのにシャワーがあることに初めて気付く。ここの温泉も素晴らしい。僕のこんな日記を見て道東を旅する人もいるようで、宿の利用が増えれば嬉しいような嬉しくないような... でも今日は僕の他に1名のみ。うむ、やっぱもっと盛り上げねばならぬか。
 餌台に来る鳥たちを撮ろうと外に出たのだが、撮影を諦めようかと思うほどの有様。少し待っていたけれど、やって来たのはコガラ1羽だけ。ゲラ用のアブラ身も無い。明日の日中、ここで撮影するつもりなのに大丈夫なのかい?
 夕食はこの宿も18時30分から。ボリュームたっぷりになっていて些か驚く。くどいけれど、夕食前に酒の肴をつまみすぎてしまうから、小生だけでももっと早くならんかなぁ... のんべは卑しくてワガママなのであります。
 昨夜はサッカー北朝鮮戦。いままでのうたた寝タイム直撃番組。スリリングな展開にオメメパッチリ。で結果、今日は朝から当然の眼精疲労。やっぱ、うたた寝は大切な儀式であると再認識。今宵は午後8時過ぎから、うたた寝1時間半。午後10時前、目覚めて温泉へ。新しく出来た露天にも、明日は必ず。餌台が少し気にかかるけれど、あれもこれも素敵に進化している。
2月11日(水)屈斜路
 本日、小生○○回目の誕生日。いまさら目出度くもないってもんだが、一応気にはなってる誕生日。
 今朝はやっと冷え込みました。午前6時10分起床で6時30分出発。6時30分の気温がマイナス18度、やっとらしくなったってもんである。日中もマイナス8度程度にしか上がらなかったようで、ほんにやっと冬の北海道さ来たってもんだべさ。でも残念ながら、早朝のオオハクチョウも風景もいまひとつ。絵らしい絵は作れずじまい。
 7時20分、宿に帰りレストランのガラス越しにエゾリス撮影。今年は3匹が出たり入ったりしてなかなか楽しいのだが、鳥の数は少なくてカケスだけが元気いっぱい。コガラ、ハシブトガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、ミヤマカケス、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ワタリガラス、コゲラ、アカゲラ。今年はオオアカゲラが出てこない。そういえばこの餌台にヒヨドリを見なかったし、昨年のシメもいない。それでも逆光に輝く鳥たちは、やはりひときわ美しい。
 昼前、再度屈斜路湖畔へ行くが収穫無し。2時過ぎまで餌台の鳥たちを撮影。そして今年出来たばかりのニュー露天へ、どんぶらこ! こりゃーいい!! 森の木立から陽射しがこぼれてきて野趣満点。この宿に来てこの露天に入らぬ手はない。すばらしい!! 露天に入るためだけの目的でここへ来たって損はないはず。コタンの湯のように外から丸見え、ほぼ混浴に気が引けるなら尚更のこと。もう〜最高です♪ 大推薦!! やっぱ露天はいいねぇ。湯船にどっぷりと浸かり大きく息を吸い込むと、何かしら新しい力が湧いてくるようで、あした今年の旅を終える身には最高の贅沢なのである。
 午後4時、再々度湖畔へ。空はたいして色付かないけれど、それなり。それなりの絵が作れるのがロケーションの良い屈斜路ならでは。
 今夜の宿泊客は10名。ちーとばかり賑やかな客たち。これじゃ明日の餌台、エゾリスの写真さえ撮るのは難しそうだが、昨日の年輩カメラマンにしても今夜の若い人たちにしても、目がきらきら輝き燃えている。普段の街では感じることのない力がぐんぐんと伝わってくる。小生だってどんな小さな仕事にさえ妥協はなくエネルギッチュに燃えている(それでも何故か良い写真にならぬことは多々あるけれど)はずなのだが、その反動というべきなのか、幾分(かなり?)癒しの旅に毎回なっちまってるのかもしれない。
 午後7時30分、温度計はすでにマイナス20度。一度詰め込んだ荷を解いて明朝に備えるべきか思案中。それにしてもまたしても最後の日の冷え込み。なんでやね〜〜〜〜〜ん。
2月12日(水)屈斜路→釧路→名古屋→岡山
 荷物解体を決行し、夜明け頃にもう一段冷え込むものとワクワク期待していたのに今朝の気温はマイナス18度程度。明け方より深夜の方が冷え込んでいたようで、本日の最低気温は隣町の川湯が28度、ここ砂湯で22度。絵になる樹氷を探してあっちこっち闇雲に走り回り、敢え無く終了のゴング。ま、チャレンジすることに意義ありということで、最後の日の撮影も終了。やれやれまた荷造りやり直しです。
 どうやら宿泊客の7グループ10名のうち、写真目的なのは僕を入れても3名のみ。案外、なのである。この季節に目を付けて、優雅でリッチなのんびり旅を楽しんでいる観光客が増えている。あまり増えて欲しくはないけれど、確かに冬の北海道はべらぼうに素晴らしい。
 荷を預けて10時チェックアウト。お得意さんへの土産物買いに一路和商市場へ。ここではたと思い出し、高校時代の友人が教えてくれた釧路在住の同級生O君へ電話を入れると、今日の昼から記念列車が走りその主催をやっているのだと言う。どんな列車が走るのかも知らず、さすがに躊躇したけれど何とも降って湧いたような有難い話。外身も内身も貫禄の増した友と35年ぶりに再会したというのに、ゆっくり会話を交わす間もなく、時計を気にしながら大急ぎで買い物を済ませて会場に向かうことに。まったくの想定外でレンズは600ミリのみ。あとはまだ今頃、屈斜路の宿に荷物としてころがっているはずである。無謀なるチャレンジ開始〜♪
 「旧釧路臨港鉄道 太平洋石炭販売輸送臨港線、石炭輸送開始80周年記念列車」と言うんだそうで、ちょっとたじろぐ名前だが、忙しくなるO君と別れて600ミリの場所を探す。近場でインスタントに狙うには向いてそうな直線で、音を録ったりビデオを撮る鉄道ファンが線路際でたむろしており、了解をもらって後ろに少し離れてスタンバイ。程無く、地元のご年輩にはきっと感慨深いに違いない哀愁漂う列車がゆっくりゆっくり向かってくる。バランス良くフレームに収まった瞬間からシャッターの雨あられ。通り過ぎる列車に思いを馳せながら撮影終了〜 と、ナント!音録りの連中のことを完全に忘れていたのです。間違いなく僕のモードラ音はマイクに拾われノイズに... 彼等は何も言わず次のポイントに移動の準備... 申し訳ない。 彼等にとっても予想外だったろうけれど、ナンとも申し訳ない限り。。 会釈をし、逃げるようにその場を離れて空港へ急いだのでありました。彼等の向かう次のポイントが最良であることを祈りながら。。。m(_"_)m
 なんとも最後の最後で大失敗してしまったけれど、今年の旅に点数を付ければ60点あたり。幾つかの素晴らしい出逢いが、空気と一緒に切り取れていれば。
 冬の道東も一年毎に暖かくなっているようで物足りなく、年々この季節の仕事が増えだしていて忙しないけれど、今年もゆるり満喫大自然。のんびりゆったり温泉と酒の旅 (^_^;)
 たまには自分を見つめ直しながら、まだまだ。

 

 

 見渡す限りモノトーンの大地の中でひとり雪原にいると、風も鳥も木々も周りのすべての自然が語りかけてくる。五感をひろげて向き合えば、磨り減って脆く鈍くなった感覚が蘇り研ぎ澄まされてゆく。
 来年も、大自然との対峙からしか得られない言葉を聞くために。

 

© NOBUYOSHI NAKAGIRI
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自然と野鳥たちの四季 のようにのように〜