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平成17年02月23日(水)

 銀行の駐車場での出来事です。

 白線で区切られた駐車スペースには、車がズラリと並んでいました。用を済ませた私は、道路に出ようと、乗用車一台分の幅の通路を、前の車に続いてノロノロと前進していました…と、突然左の列に駐車中の軽トラックがバックで発進して私の車に衝突し、左前輪後部から助手席ドアにかけて、放置できない程度のキズをつけてしまったのです。

「済まん済まん、済まなんだの。あんたの車には全然気がつかなんだ」

 全面的にわしが悪い、あんたは悪くないと平謝りのお爺さんは、互いの免許証と電話番号をメモし終えると、

「わしの車は修理するような代物ではないでの。あんたは好きな修理屋で直してくれ。あとのことは保険屋に任せるでの」

 そう言い残して去って行きました。

 ここまでは運が悪かっただけの出来事ですが、問題はそのあとでした。

 車を修理に出してからしばらくを、慣れない代車で不便して、ようやく修理が終わって納車された時点で、修理代の一割を請求されたのです。

「一応、双方が動いていますからねえ…。相手の保険屋が渡辺さんにも一割の責任があると言うんですよ」

 行きつけの修理屋さんは困った表情で言いました。私が一割の過失を認めて示談書に署名捺印をしないと、修理屋さんには費用の全体が支払われないと言うのです。しかし、考えてもみてください。私は駐車場から道路に出ようとする車の列で、後続車に詰め寄られながら、先行車が進めば進み、止まれば止まりして、前方に注意を注いで運転していたのです。まさか左側に駐車中の車がバックするなどとは思いもよらないではありませんか。私は憤慨して相手方の加入している自動車保険の担当者に電話しました。

「私にどんな注意ができたのですか?双方が動いていると言いますが、私は動いていて、相手は発進したのですよ」

「おっしゃることは解りますが、一応、保険のルールですから」

「相手のお爺さんは、全面的に自分が悪いと認めています。責任は明らかではありませんか」

「それとこれとは別でして…。保険では、双方が動いている場合、後ろからの追突以外は、どちらかに全面的に責任があるということはないという判断ですので」

「それじゃ非を認めているお爺さんに一割を負担してもらってください」

「一割は、あなたの過失分ですから、それを負担させるというのはちょっと…」

「私に過失はないと言っているんです。同じ状況で、あなただったら事故を防げましたか?」

「防げなかったかも知れませんが、そういうこととは別で、これは保険上のルールですから」

 話になりません。

 弁護士に相談したところ、訴訟をすれば勝つ事案でしょうという心強い返答でしたが、訴訟には手間と費用と煩わしさが伴います。第一、示談に手間取れば、お世話になっている修理屋さんに迷惑がかかるのです。ええい、たかが一万円程度のことだから認めてしまえという思いに駆られますが、一方で、たとえ一万円でも、ひとえに相手の不注意が原因で車を傷つけられ、不便を強いられて、その上費用を支払わされるという理不尽には屈する訳にはいかないとも思います。

 保険のルール…。

 私にはどう考えても保険会社が、被害者は訴訟などという面倒なことはしないとたかをくくった上で、わずかな金額でも自分の支出を免れようと営業努力をしている姿にしか見えません。

 このホームページをご覧になっている皆さんの中に、自動車保険のお仕事をされている人がいらっしゃれば、是非ご意見をお寄せください。

 もちろん一般ドライバーとしてのご感想も歓迎です。

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