切畑の乳銀杏 五泉市



五泉市の東方菅名岳山麓、猿和田駅の南東約2キロ、切畑の観音堂境内に立つイチョウの巨木で、高さ40m、幹周り12mの雄イチョウ。無数の気根(きこん)が乳状に垂れ下がり、奇観を呈している。乳の出ない婦女が祈願をこめ、枝葉を煎じて飲むと、母乳が良く出ると言い伝えられ、昔から母乳や安産の神木として崇拝されている。※ストリートビュー
当時の切り跡が今に残っていることから、樹齢は約1,200年以上が経っているものと伝えられている。
伝承によると天平年間(729-749)名僧行基が奥州へ行く途中、この木の下で野宿した。その夜、観音様のお告げがあり、これに従って翌日、銀杏の枝で高さ150㌢の十一面観音像を刻み、観音堂に安置したという言い伝えがある。しかし、約100年前に火災にあい、観音堂と共に焼失して現存しない。現在の『銀杏観音』は、その後再びこのイチョウの枝で復元したものである。

この木には黒鳥に関わる伝説がある。冷泉天皇(1045-68)の御代、源義家が黒鳥兵衛を攻めたとき、急に暴風雨が吹き荒れ、軍旗がちぎれて飛んで、切畑の大銀杏の梢に引っかかり翻ったという。戦では義家が観音の加護によって黒鳥を討ち破った。切畑の地名はこの故事の「切旗」から出たという。
昭和33年(1958)3月5日、新潟県の天然記念物に指定されている。


≪現地案内看板≫
新潟県指定天然記念物 切畑の乳銀杏

樹種 イチョウーチチイチョウー(いちょう科)
所在地 五泉市大字切畑字前田
指定年月日 1958(昭和33)年3月5日

菅名岳の山ろく、切畑の集落にある観音堂の斜め前に周囲の老木を圧倒しているイチョウの巨木があります。これが県指定天然記念物「切畑の乳銀杏」です。
幹のまわりから数十本の乳柱が垂れ下がっていることから、俗に「乳銀杏」と呼ばれています。
樹齢1000年を超える巨樹には樹霊が宿るといわれますが、このイチョウはまさに威厳に満ちています。
標高は約40メートル、根本の西側から多くの新しい支幹が生えて束状になっています。この支幹を含んだ幹のまわりは約12メートルに及んでいます。枝張は東9.5メートル、西15.5メートル、南13.5メートル、北8メートルで、県内まれにみる雄イチョウの老大木です。
樹幹部から多くの乳柱が下がっていることから、この木を拝めば乳がよく出ると伝えられています。昔から母乳や安産の霊木として、近郷の人々から信仰され、大切に守られています。
乳柱は大きくなった樹幹のつけ根付近から鍾乳石状に垂れて出るもので、軟らかい細胞に多量のデンプンが含まれています。
奈良時代に東大寺の大仏建立に尽力した僧行基が、807(大同2)年北国巡錫のおり、このイチョウの枝を切り取り、身丈五尺(約1.5メートル)の十一面観音像を彫り安置したとの伝承があります。この観音像は、天保13年(1843)以前に観音堂とともに焼失しました。現在の観音堂は、天保13年に再建されたものです。その時、再びこのイチョウの枝を切り取って十一面観音像を彫ったといわれています。
なお、この観音堂は、蒲原三十三観音霊場第 番の札所となっています。





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