今井1丁目2520番地にある薬王寺
は、河辺駅北口から多摩バス「河11」か「河12」に乗り、「峠下
」で下車し、山根通りを東に歩いて10分ほどの、今井を見下ろす山手にあります。 坂を登り、14段の階段を上がると、鐘楼門
という形式の山門があります。 この門は2階建になっており、2階の部分が鐘楼になっている一間一戸
(柱と柱の間が一つ)の山門です。 この形の門は、市内ではこの薬王寺だけに見られるものです。
薬王寺は、医王山と号し、真言宗豊山派で、薬師如来が本尊の寺院です。 慶安2年(1649)に十石の朱印地
を与えられている古刹で、境域は市指定の史跡にもなっています。
さて、その鐘楼門の銅鐘ですが、側面に「寛政六年 正月如意珠日 武州入間郡今井邑
醫王山 薬王寺住 秀剛自題 助願主 勧善房 青梅裏宿住 鋳師 嶋村照思(恩)」と 陽鋳(浮き彫り)されています。 寛政6年(1794)に、秀剛という11代目の住職のとき、勧善房
が助願主となり、近隣の檀信徒から浄財を集め、青梅の裏宿に住んでいた嶋村照思(恩)が鋳造したものであることがわかります。 市内で制作された唯一
のもので、貴重なものであることが、文化財指定の事由となり、昭和39年に市指定の有形文化財になりました。
銅鐘
の底部から頂の龍頭までの高さは131㎝、底部の直径は70㎝の大きさがあります。 側面の池の間と呼ばれる部分には、このほかに、梵鐘の功徳や雪山偈ともいう諸行無常の偈が陽鋳
されています。 また、この銅鐘がつるされている山門は、棟札によると12代の隆慣和尚が今井村の大工、吉田与右衛門意綱に依頼し、享和元年(1801)に建立されたものです。 毎日朝晩の6時に和尚さんが撞かれているこの銅鐘は、今年で207年を迎えました。 その余韻
に薬王寺の歴史の重さを感じます。
※ 一般
の方は、危険なため、銅鐘のある2階には上がれません。
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