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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第六回》ふるさとの文化財

    薬王寺 やくおうじ銅鐘 どうかね
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成13年9月15日

    今井1丁目2520番地にある薬王寺 やくおうじは、河辺駅北口から多摩バス「河11」か「河12」に乗り、「峠下 とうげした」で下車し、山根通りを東に歩いて10分ほどの、今井を見下ろす山手にあります。 坂を登り、14段の階段を上がると、鐘楼門 しょうろうもんという形式の山門があります。 この門は2階建になっており、2階の部分が鐘楼になっている一間一戸 いっけんいっこ(柱と柱の間が一つ)の山門です。 この形の門は、市内ではこの薬王寺だけに見られるものです。

    薬王寺は、医王山いおうざんと号し、真言宗豊山ふざん派で、薬師如来が本尊の寺院です。 慶安2年(1649)に十石の朱印地 しゅいんちを与えられている古刹で、境域は市指定の史跡にもなっています。

    さて、その鐘楼門の銅鐘ですが、側面に「寛政かんせい六年 正月如意珠日にょいしゅび 武州入間郡今井邑 ぶしゅういるまぐんいまいむら 醫王山いおうざん 薬王寺住 秀剛自題しゅうごうじだい 助願主じょがんしゅ 勧善房かんぜんぼう 青梅裏宿住 鋳師いものし 嶋村照思しまむらしょうしおん)」と 陽鋳ようきゅう(浮き彫り)されています。 寛政6年(1794)に、秀剛という11代目の住職のとき、勧善房 かんぜんぼうが助願主となり、近隣の檀信徒から浄財を集め、青梅の裏宿に住んでいた嶋村照思しまむらしょうしおん)が鋳造したものであることがわかります。 市内で制作された唯一 ゆいつのもので、貴重なものであることが、文化財指定の事由となり、昭和39年に市指定の有形文化財になりました。

    銅鐘 どうがねの底部から頂の龍頭までの高さは131㎝、底部の直径は70㎝の大きさがあります。 側面の池の間と呼ばれる部分には、このほかに、梵鐘ぼんしょうの功徳や雪山偈せっせんげともいう諸行無常の偈が陽鋳 ようちゅうされています。 また、この銅鐘がつるされている山門は、棟札によると12代の隆慣和尚が今井村の大工、吉田与右衛門意綱おきつなに依頼し、享和元年(1801)に建立されたものです。 毎日朝晩の6時に和尚さんが撞かれているこの銅鐘は、今年で207年を迎えました。 その余韻 よいんに薬王寺の歴史の重さを感じます。

    ※ 一般 の方は、危険なため、銅鐘のある2階には上がれません。

    市文化財保護指導員
    棚橋 正道
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