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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第二十回》ふるさとの文化財

    日本産狼頭骨 にほんさんおおかみとうこつ及び版木 はんぎその他付属品
    【青梅市指定有形民俗文化財】
    掲載日 平成14年11月15日

    わが国の本州、四国、九州にはかつてニホンオオカミが生息し、主にシカやイノシシを捕食して生態系の頂点に立っていました。 しかし、明治時代になってからの開発などによる環境の変化が、生息地の縮小や獲物の減少を招き、さらに伝染病が追い打ちをかけたことなどから、明治38年(1905)に絶滅したといわれています。 その生態についての学術的研究が行われないうちに絶滅したため、詳細は不明なことが多いようです。

    剥製はくせい標本は世界でも4体ほどしかありませんが、頭骨などは各地に数十点保存されていて、特にオオカミ信仰の強かった西関東の丹沢、秩父、多摩の山地周辺から多く発見されています。

    オオカミは猛獣だと恐れられてはいましたが、古来「お犬様」「大口真神おおくちのまかみ」として、田畑を荒らすシカやイノシシ退治の農耕安全、さらに盗難除け、防火の願いをこめて信仰の対象とされてきました。 多摩地域では今でも御嶽神社の「大口真神」の神札が家々に貼られているのを見かけます。 また、昔、頭骨は「狐憑きつねつき」の俗信に伴って「狐落し」にも使用されました。

    この頭骨は文政2年(1819)の銘のあるオオカミの姿を彫った版木や数珠とともに、呪術じゅじゅつに用いられたもので、民俗資料として貴重です。 破損が少なく保存状態も良好であることから、昭和43年に市の有形民俗文化財(個人所蔵)に指定されました。

    市文化財保護指導員
    三好 ゆき江
     参考資料『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
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