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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第五十一回》ふるさとの文化財

    旧稲葉家住宅きゅういなばけじゅうたく
    【東京都指定有形民族文化財】
    掲載日 平成17年6月15日

    青梅駅から奥多摩方面に5分ほど歩いて、青梅坂下の信号を過ぎると森下町になります。あたりは土蔵造りや格子戸の家もあって青梅宿の面影が残っています。 旧稲葉家住宅もそのうちの一つです。 昭和55年に当主から青梅市に寄贈され、翌年に都有形民俗文化財に指定されました。

    稲葉家は屋号を『稲葉店いなばみせ』 と称し、江戸時代には町年寄を務めた家です。材木商を営み、青梅縞などの仲買いも行い、最盛期には江戸に出店を構えていた青梅でも有数の豪商でした。江戸時代後期(18世紀後半)の建築と考えられる住宅は、蔵造二階建の母屋、東側に門、棟割長屋が並んでいます。 門のそばに井戸があり庭を通って裏手に回ると珍しい三階建の土蔵が建っていました。 現在は解体し、保存されています。 母屋の格子戸をくぐって一歩足を踏み入れると間口いっぱいに土間があります。 前土間形式と呼ばれ、土間に面した部分が店舗道で、その奥は生活部分になっています。

    屋内の構造は、防火戸の収納部となる袖壁を左右に持つ間口五間半・奥行四間四尺五寸の一階部分と、土戸で守られた窓を持つ梁間はりま四間の豪壮な登梁形式の二階部分からなっています。 梁や柱には奥多摩の日原から運ばれたシオジという珍しい木が多く用いられていることからも豪商だったことがうかがえます。

    かつては陣屋があり、人馬や荷車が盛んに行き交った森下町で往時いにしえの青梅宿の繁栄ぶりを想像してみてはいかがでしょうか。

    旧稲葉家住宅は、午前9時から午後5時まで開館。 休館日は月曜日で、休日にあたるときは開館し、翌平日が休館となります。

    市文化財保護指導員
    儘田 小夜子

    現在の旧稲葉家住宅の様子

    大正~昭和初期にかけての森下付近の様子
    【文化財住宅のしおりより】

    2階・登梁のぼりばり

    【文化財住宅のしおりより】

    推定復元正図
    【文化財住宅のしおりより】
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