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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第五十八回》ふるさとの文化財

    入会地論争裁許地図にゅうかいちろんそうさいきょちず
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成18年1月15日

    「入会地」とは、一定の場所を地域の人々が共同で利用し、利益を得る場所です。 いつごろから始まったかについては不明ですが、江戸時代には、ほとんどの村で入会地を持っていました。

    当時の生業は農業が中心で、煮炊きにはたきぎや炭を使っていたので、野山に強く依存し、そこに繁っている木々やかや、ススキなどは大切な資源でした。 春には、さまざまな山野草が芽を出すので、厳しい冬を耐えしのいだ人々にとっては、おいしい食べ物を与えてくれる場所でもあり、また秋には、さまざまな木の実が採れる場所となり、落ち葉もたい肥の原料として掃き集められました。 生木を勝手に伐採することはできませんが、枯れ枝は煮炊きや暖房に使うための、大切な燃料として利用されました。 さらに、屋根をく萱も、入会地に生えているのを刈り取っていました。

    このように人々にとって大切な入会地は、時によっては、範囲や利用について、他との論争が起こることもありました。 そのため人々は、自分たちの生活の基盤となる入会地を守るため地図を作成し、訴訟に備えました。

    この『入会地論争裁許地図』は、当時の南小曾木村の人々が自分たちの権益を守るために作成した大切なもので、往時の状況を記録した資料として、昭和39年に市の有形文化財に指定され、現在は、霞共益会が所蔵しています。 貴重であるため公開はされていませんが、当会が刊行した『五十周年記念誌かすみ』で、その内容を知ることができます。

    市文化財保護指導員
    棚橋 正道
     参考資料
    『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
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