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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第六十四回》ふるさとの文化財

    馬場家御師住宅ばばけおしじゅうたく
    【東京都指定有形文化財】
    掲載日 平成18年7月15日

    御岳山の御師住宅は、武蔵御嶽神社を信仰するこうの人々の宿として建てられています。 江戸時代後期にはもう御嶽詣みたけもうでの人々が急激に増え、住宅も大型化し、居住部分と参拝者宿泊部分が分かれた建築へと変化していきます。 昭和30年代ころの御岳山にはまだ茅茸屋根の建物が数多く残っていました。 そして、茅葺屋根の維持管理は、山上を南北二手に分け、それぞれ十数軒が毎年一軒ずつ、茅刈りから葺替えまですべてを協力して行っていました。

    戦後、それまで講の宿だけの住宅に、観光の方が泊まるようになります。 それにともない昭和40年ころより建替えが始まり、茅葺の家は現在5軒を残すだけです。 そして、山上の茅場もなくなり、現在では静岡県富士山演習場の茅が使われ、葺替えも業者に委託されるようになりました。 しかしその職人も少なく、日の出町の方が関東一円の屋根を一手に請け負っていましたが、二年前に亡くなり、地域で後継者の方の育成が望まれるところです。

    馬場家は御師住宅がよく保存され、平成元年に都の有形文化財に指定されました。 この春、馬場家屋根の1部が改修されましたが、今回は宮大工を中心とした数人で行いました。 馬場家の玄関千鳥破風は茅葺きの上から杉皮だけの仕上げ、大屋根部分はトラブキといわれる杉皮と茅を組み合わせた仕上げです。 しばらくは茸替えた新しい部分と従来からの部分、その違いを見ることができます。

    市文化財保護指導員
    須崎 直洋
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