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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第七十二回》ふるさとの文化財

    福島家住宅ふくしまけじゅうたく
    【東京都指定有形文化財】
    掲載日 平成19年3月15日

    沢井市民センターの西、都有形文化財(棟札・家相図とともに指定)に指定されている福島家住宅があります。福島家は、その昔武田氏の家臣であったと伝えられており、代々この沢井村の名主を勤め、材木を江戸まで運搬する「筏師いかだし」の元締めとして栄えた家柄です。

    この家は、「名主」の家ということで格式が高く、式台構しきだいかまえくいちがい六間型という間取りで、寛政初年(1790)ころの建築と思われます。「式台」というのは、幕府の役人等を迎えるときに使用した玄関で、普段は使われません。この正面の式台を上がった「中の間」(6畳間)には、福島家の先祖代々の位牌いはいまつる仏壇が置かれており、その上の長押なげしには剣片喰けんかたばみの紋の入った提灯ちょうちん箱が並べられています。また、デイ(その西側の部屋)との間の欄間には、やりなどが掛けてあり、元武士の家柄であることがうかがえます。

    このデイからオク(北西の部屋)にかけては、回り縁(回廊)になっており、障子や欄間には見事な装飾が施され、ぜいたくな造りになっています。

    現在、この福島家は新町の「旧吉野家住宅」のように一般には開放されていないので中を見ることはできませんが、枝振りのすばらしい黒松や大きなチャボ檜葉ひばなどの庭木と相まって、名主家の重厚さがうかがえます。

    なお、近くに都無形民俗文化財に指定されている沢井八雲神社の獅子舞(7月最終日曜日が祭礼)が伝承されていますが、福島家の庭で舞ってから神社に向かいます。

    市文化財保護指導員
    神森 正
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