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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第九十八回》ふるさとの文化財

    乗願寺じょうがんじ木造阿弥陀如来立像もくぞうあみだにょらいりつぞう
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成21年5月15日

    東青梅駅から青梅方向へ西に線路に沿って約10分ほど歩くと乗願寺があります。乗願寺は勝沼山と号し、一遍上人を開祖とする時宗じしゅう(浄土宗系)の寺院です。鎌倉時代の正安2年(1300)の創立で、勝沼城主三田下総守平長綱の発願により、鎌倉光明寺2世白旗寂恵上人の高弟、箕田定恵上人を開基とし、相州当麻山無量光寺2世他阿真教上人を開山に迎えて一寺を草創したと伝えられています。永禄年間(1558~1570)には、八王子の北条氏照の軍により庇護者であった三田氏が滅ぼされて寺運も衰えました。天正18年(1590)には、豊臣北条の小田原合戦の折、八王子城を攻略した前田利家、上杉景勝両軍によって師岡城(勝沼城)も落城。乗願寺も兵火に遭い堂宇および寺記古文書等を焼失しました。慶長年間(1596~1615)に乗願寺24世覚阿性海により再建、慶安2年(1649)徳川家光公により阿弥陀領として3石の朱印状が下付されました。

    本尊の阿弥陀如来は、鎌倉時代の作で、乗願寺創立の際、鎌倉時代8代将軍久明親王より三田下総守平長綱へ寄進された尊像であると伝えられています。像高は79.2㎝、ヒノキ材割矧わりはぎ造り、玉眼嵌入ぎょくがんかんにゅう金泥きんでい塗り、両手首先銅製鋳造です。螺髪らほつは木心に細い銅線を巻いたものを植付け、群青を塗っています。足柄ほぞを造らず像底後ろ寄りに銅管を埋め込み台座上面に立てた柄を受けています。足裏には濃い朱で仏足文が描かれ、着衣部には切金文様が施されています。この阿弥陀如来は、具体的、現実的な肉体を持った仏(生身仏)として表現しようとする鎌倉時代の彫刻として貴重です。また左脇侍の観音菩薩と右脇侍の勢至菩薩(共に江戸期)が来迎を表わし、阿弥陀三尊佛の形式となってお祀りされています。

    平成17年4月1日市有形文化財に指定されました。

    市文化財保護指導員
    大久保 芳木
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