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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百六回》ふるさとの文化財

    慈眼院じげんいん鰐口わにくち
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成22年1月15日

    鰐口わにくち」とは寺院や神社の正面の軒に掛け、その前面に「かねの緒」といわれる布縄を垂らし、この縄を振って打ち鳴らす音響具です。その音で神仏に参詣人が来たことを知らせます。

    下端に口が大きく裂けている形を鰐の口に見立てて、「鰐口」という呼名が生まれたものと思われます。(この「鰐」とは鮫の古名です)各部の名称も「目」「口」「耳」など顔の名称がついています。

    古くは平安時代からあり、室町時代のものが多く現存します。

    曹洞宗慈眼院じげんいん(成木六丁目)の鰐口は鋳鉄ちゅうてつ製で、直径22cm、厚さ6.4cm、2.3cmの耳と2cmの目がついています。表面には左耳の下から左右に円状に刻銘があります。右側は「奉懸野老窪観音堂御寶前之鰐口かけたてまつるのろくぼかんのんどうごほうぜんのわにくち」左側は「文安二年乙丑きのとうし正月吉日敬白」と刻んであります。裏面には上部中央より左右に円状の刻銘「南無大慈大悲観世音なむだいじだいひかんぜおん」「信心旦那心中道徳吉祥如意状如件しんじんだんなしんちゅうどうとくきっしょうにょいじょうくだんのごとし」また中央には「道永妙香天了明全」その外側に「八三郎小二郎」と人名が彫ってあります。

    鰐口は慈眼院境内の野老窪観音堂(現在の所久保観音堂)に奉納され、掛けられていたと思われます。表面銘文の文安二年(1445年)は、室町時代中期にあたります。

    市内では武蔵御嶽神社にある建武五年(1338年)の鰐口(都有形文化財)に次いで古いもので、花蔵院(友田町四丁目)の鰐口と共に昭和39年青梅市有形文化財に指定されました。

    現在、鰐口は木箱に入れられ、慈眼院本堂のある成木六丁目自治会の方々により大切に保存されています。(非公開)

    慈眼院へは河辺駅北口から都営バス「上成木行き」に乗り、「梅ヶ平」下車です。

    市文化財保護指導員
    小島 みどり
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