掲載日 平成24年11月15日 |
昭和49年に青梅市有形文化財に指定された49×73cmのこの水彩画には、組桁式の木橋が川原や一艘の小舟や山並みと共に描かれています。この情景から、橋は明治31年(1898)に大柳と畑中を結ぶ永久橋として架設された「青梅万年橋」と推測されています。 架橋以前は、水量の多い夏場は渡し船で、少ない冬場は仮橋で多摩川を渡りましたが、仮橋は度々洪水で流され、その度に架け替えを必要としたため、地元の不便と経済負担は多大でした。洪水でも流出しない半永久的な万年橋の架設は悲願でした。 この絵は、右下に書かれた「1903」から、架橋の5年後に描かれたことが分かります。描かれている橋は組桁式木橋ですが、1903年に架かっていた橋は木製アーチ橋で、違っています。これは、大下の「実際自然のままを模すのではなく、最も良い所を適宜に集めてこそ、良い絵ができる」という写生観から生じたのでしょう。 青梅に住んだこともある大下は、明治38年(1905)に、青梅尋常高等小学校(現・青梅市立第一小学校)に、この絵を寄付しました。 現在、この絵は市立美術館に寄託されています。(現在、美術館では展示していません。) | |
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市文化財保護指導員 三好 ゆき江 | ||
大下藤次郎の水彩画 |
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