掲載日 平成14年2月15日 |
延命寺は、市内北部を流れる成木川上流の静かな山里にあります。 渓流沿いに人家が散在するあたりの風景には、市内の各地で市街化が進む中にあって、わたしたちに安らぎを与えてくれる、美しきと静けさがあります。 下成木にある安楽寺の末寺で勧請山釈迦院と号し、本尊は釈迦如来で、梵鐘(戦時中に供出された)の銘によると、開基は鎌倉時代の武将、畠山重忠とされています。 地蔵堂にある地蔵堂胎内年紀銘には『永和五年(1379)午戊五月廿日 聖明円』と記され、さらに、板碑には正和2年(1313)癸丑9月の年号のものもあって、それらがこの寺の歴史の古さを物語っています。 本堂は江戸時代未の嘉永3年(1850)に火災に遭い、大正15年(1926)に再建されたものですが、その南側には被災を免れた山門(昭和43年に市有形文化財に指定)があります。 山門は一間一戸の四脚門で、屋根は切妻造りの銅板葺き(その前は茅葺き)になっていますが、その建立に関する資料は、一切残されてはいません。 羽村市にある阿蘇神社本殿の細部の造りが酷似していることから、おそらく同じ大工の手によるものと思われ、その建立年代の廷宝4年(1676)より、若干新しい時期のものであろうと推測されています。 具体的には、虹梁に施された彫刻の図柄、それぞれ異なった4種類計10個の使い分けられた木鼻、2種類の 延命寺のすぐ近くに、秩父方面から小沢峠を経て南方面へと続く、鎌倉古道が通っています。 古道は、道すじがはっきりしない部分もありますが、地図を片手に延命寺山門あたりまでたどってみてはいかがでしょうか。 ※延命寺へは、都営バス青梅―上成木線、河辺駅北ロ―上成木線で『 (注)地蔵像胎内年紀銘には永和5年『戊午』とあるが、永和5年は『己未』である。 | |
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市文化財保護指導員 鈴木 晴也 | ||