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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百七回》ふるさとの文化財

    浮島神社うきしまじんじゃ懸仏かけぼとけ
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成22年2月15日

    今井一丁目には旧社名を浮島天満宮といい、菅原道真公や応神天皇がまつられている浮島神社があります。創建年代は不詳ですが、文禄三年(1594)に平山小次郎らによって再建されたといわれています。社地は霞川に接しており、川が増水したときには水面に浮かんでいるようにみえることから、浮島神社と名付けられたそうです。

    懸仏は平安時代のいわゆる神仏習合ruby>本地垂迹ほんじすいじゃく、つまり日本の神々の本地は仏菩薩であるという考え方から生まれたものです。そのため、明治の神仏分離の時まで、ほとんどの懸仏は神社に祀られていました。最初は神道で御神体とされていた鏡にその神の本地仏を毛彫りしたり、朱墨で描いた平面的なものでした。平安時代も半ば以降になると、尊像を半肉彫りにしたものなどが造られるようになり、13世紀ごろになると、丸彫りに近い像を取り付けるようになりました。このように立体的になったものが懸仏で、ruby>御正躰みしょうたいと呼ばれていました。

    平成5年の調査によって発見された浮島神社の懸仏は銅製の鋳造品で、直径29.5cmの円板のほぼ中央に十一面観音と思われる仏様が約2cmの高さで浮き彫りになっています。円板の上部には高さ約1.5cm・幅約3cmの耳画が付いていて釣り下げられるようになっています。坐像の左側には「武刕杣保今井村御天神?永正二天乙丑貮月十一日」右側には「奉果宿願所御正躰大旦那妙珎部類榮」と彫られていることから、この懸仏は永正二年(1505)に「妙珎」という人が一族の繁栄を祈願して天満宮に奉納したものと考えられます。また、永正二年に今井村という地名があったことも興味深い事実です。

    市文化財保護指導員
    儘田 小夜子
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