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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第一回》ふるさとの文化財

    地蔵院山門 じぞういんさんもん
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成13年4月15日

    この山門は、一間一戸切妻造鉄板葺いっけんいっこきりづまづくりてっぱんぶき四脚門よんきゃくもんです。 山門の前に立つと、紅染こうしょうが目につきます。 なだらかに、波をうったようなその形は、湾曲わんきょくした部分を中央に配置させ、のきの中に入り込ませることにより、門戸もんこを広く、高く見せているようにも思われます。

    自然石しぜんせき礎石そせきとし、扉はなく、主柱しゅばしら円柱えんちゅう控柱ひかえばしらは方柱となっています。 屋根については鉄板葺に改められ、また、冠木かんき、控柱のはりから上部は新規に造り変えられています。

    門の特徴は、その材の造りに重要性を持たせています。 具体的には、控柱は一般的には組物くみものを介し、けたを支持していることが多いところ、ここの造りは組物を介さず、直接桁を支持していること。 これと反対に、主柱は冠木を直接支えることが多いなか、ここでは組物を介して造られていることを特徴としています。 また、主柱の上部にほぞを作り、古式こしきの堀の入った木鼻きばなが落とし込まれています。

    この木鼻の絵様が、寛永かんえい17年(1640)に創立された、市内成木熊野神社本殿くまのじんじゃほんでんのものとよく似ており、17世紀前半の建築物と推定されています。

    このように、主柱上部の珍しい意匠いしょうと控柱の素朴な様子との対比を特徴とするひとつの系譜けいふに属するものとして、貴重な遺構いこうであるとされ、市指定有形文化財になっています。 建立後、300年以上にも及ぶ時の経過を踏んでいますので、主柱等傷んでいる部分もありますが、当時からの姿を残し、また、組物などにかかわる構造の持殊性とくしゅせいを見ながら、地蔵院を訪れてはいかがでしょうか。

    所在地は、畑中2丁目583番地1、都営バス畑中公会堂下車、徒歩10分です。

    市文化財保護指導員
    鈴木 晴也
    地蔵院正面からの景色 地蔵院裏からの景色 地蔵院下から見た風景
    地蔵院
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