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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第三十八回》ふるさとの文化財

    安楽寺あんらくじ大般若経だいはんにゃきゅう
    掲載日 平成16年5月15日

    大般若経は、中国、唐の僧・玄奘三蔵がインドから持ち帰り翻訳した全600巻の仏教の大教典で、「大般若波羅蜜多経だいはんにゃはらみたきょう」の略称です。

    市内では、安楽寺、御岳山金井家、塩船観音寺、玉泉寺の大般若経が市の有形文化財に指定されています。そのうち、成木1丁目の安楽寺に現存する大般若経600巻は、足利尊氏が近隣の武士・僧侶に書写を命じたとされ、室町時代の康安2(1362)年~文明9(1477)年の115年にわたって筆写されたものです。 この大般若経に奥書には「成木郷」と書かれたものもあり、「成木」の地名の初記述とされています。経典は折本仕立てで、当時に製作された木製の経櫃きょうびつ3箱に納められています。

    大般若経の中に、般若経を読誦どくじゅ、書写すると功徳があると説かれ、現世安隠、鎮護国家などに有益とされ大般若が開かれるようになりました。大般若会は大般若経600巻を真読あるいは転読する法会です。真読は全巻を読誦するため大変なので、巻首の経題と数行を読む略式の転読が行われるようになりました。日本では、大宝3(703)年文武天皇のとき、転読が行われたことが『続日本紀』にみられます。それ以降、転読が広く行われるようになり、現在まで続いています。

    安楽寺では、毎年1月8日に大般若経の転読法会が行われます。10数人の僧が、経典を頭上に掲げ流れるように繰りながら600巻を転読するなか、参列者は無病息災、家内安全などを祈ります。

    安楽寺へは、都バス74の成木循環で、「成木1丁目自治会館前」下車徒歩5分です。

    市文化財保護指導員
    三好 ゆき江
    大般若経全600巻の仏教の大教典  経典を収めた木製の経櫃きょうびつ3箱
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