石棒は縄文時代の遺物で、棒状の両端または片端にふくらみがある磨製石器です。縄文中期には100cm前後の大形石棒が製作され、後期晩期には40~50cmほどと短くなります。儀礼・祭祀に用いられたと考えられています。
市内の遺跡からは時々発見され、計12本が出土しています。特異な形からか、幾つかは神社や祠に奉納されています。ほとんどが破損した状態で出土するなか、今回ご紹介する石棒は完形で、長さ約89cm、最大部の直径約14cmと大型で、頭部が二段にくびれた形をしており、市有形文化財に指定されました。東青梅六丁目の勝沼城跡南東に位置する、「おしゃもじさま」と称される小祠の御神体として祀られています。
「おしゃもじさま」は、石棒や丸石など石に霊力が宿るという、石神信仰から生じました。石神はシャクジとも呼ばれ、石神・石神井などの地名となりました。さらに、杓子となって、「おしゃもじさま」と称されました。また、石神は咳に通じるため、咳の神様となりました。やがて、しゃもじを奉納して、風邪や病気平癒も祈願されるようになりました。子どもが百日咳などの病気になると、奉納されたしゃもじを借りてきて、枕元に置いたり、御飯を盛って食べさせたりして、快癒すると、御礼に新しいしゃもじを納める慣わしが生まれました。
「おしゃもじさま」へは、都営バス停「妙光院」から、徒歩5分です。
問い合わせ 郷土博物館電話23-6859
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