玉泉寺は、山号を金剛山と称し、文保年間(1317~1319)に鎌倉建長寺17世・大古世源を開山として創建された臨済宗の寺院です。
玉泉寺には、建暦2年(1212)の奥書のある市内最古の写経「大般若経」(昭和39年市有形文化財指定)があります。
大般若経は、600巻からなる膨大な経典で、10箱の唐櫃に納められています。一巻あたりの大きさは24・5cm×7・5cm、和紙が折紙状になっていて、各巻の経文の長さは長短があります。表に「大般若波羅蜜多経○○」と巻数が記されています。
製作年代は、巻数が膨大なため、建暦年間の他、応安、文明、天正、享保などの年号のものもあります。約半数は消失により近年補てんされました。
大般若経は、「西遊記」に登場する玄奘三蔵法師が16年かけて天竺(インド)から唐(中国)の長安に般若経典群を持ち帰り、4年がかりで、自ら翻訳し663年に「大般若波羅蜜多経」が完成しました。7世紀末に、日本にも伝えられました。
大般若経は、仏教の基本的教義が書かれている般若部諸経を集大成したもので、お釈迦様が説かれた中心思想である一切皆空の理が述べられています。
「空」とは「諸法皆空諸行無常」、つまり、良い事、悪い事、いろいろな事が皆、この世の中には存在します。しかし、それらのでき事は、ずっと同じ状態では無く、移り変わっていきます、ということです。この大般若経を要約したものが「般若心経」であるともいわれています。
真言宗や禅宗では、大般若会により祈とうが行われます。600巻すべてを読む「真読」というわけにはいきませんので、経典をパラパラめくって読誦したことにする「転読」が行われます。その時、導師様だけは、大般若経578巻目「理趣文」を読みます。
玉泉寺へは、多摩バスにて長渕駐在バス停下車、徒歩3分程です。大般若経は非公開となっております。
|