Rock & Wild Rare Pic.

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ウーリッヒ・ロート  Ulrich Roth
彼もドイツ人、元スコーピオンズのギタリストで、現在はウーリッヒと言うより、ウリ・ジョン・ロートの名で知られています。

これはルドルフと同じ、1978年の4月、スコーピオンズの初来日のとき行なわれた記者会見で、取材に行った私が撮りました。
カラーでお見せできないのが残念ですが、黒のレザー系(ほとんどステージ・コスチューム)で現われたメンバーたちの中では、もっとも色鮮やかな服装で、アクセサリーもネックレス、ブレスレット、リング共にインディアン・ストーンのトルコ石ジャラジャラで、そりゃあもうハデハデの極みでした。ちょっと60年代ヒッピーそのままみたい・・・と思ったものですが、この彼のファッションは最近もあまり変わっていないようです。つまりこれは彼のポリシー、生き方そのものを表わしているのでしょう。

記者会見では、律儀だけどわりとにぎやかではしゃぎ気味の他のメンバーの中にあって、ウーリッヒはそんなに多くを語りはしませんでしたが、とても物静かで思慮深い人物という印象でした。憂いのある表情がなんとも言えないこの写真の彼を見てもらえば、ある程度納得してもらえることと思いますが、それはオフで会ったときにより一層顕著になったのです。

全コンサートが終了したのち、半ば取材、半ばファン気分でオフの彼らに会いに行ったところ、最初に私たちのところにフラリと現われ、おしゃべりからそのままインタビューになってしまったのがこのウーリッヒでした。もう5分後には、彼の人柄に魅了されてしまったほど彼は素晴らしい人物で、一見極めつけのヒッピーといったところですが、中味は聖職者か、ほとんど仙人と言ってもいいくらい。関係者の話でも、彼のホテルの部屋には哲学書がドッサリだったそうで、知的であるのも間違いなし。おまけに誰に対してもいつも丁寧で親切で、メンバー中最もマトモという評判でもありました。それは会った私が1番に感じたこと、掛値なしで本当にいい人でしたよ。

インタビューはホテルのラウンジでしたが、その後、近くの炉端焼きの店に場所が移っても、おしゃべりは途切れることはありませんでした。彼はけっこう箸の使い方が上手なので皆で誉めると「箸は初めてさ」。ところがあとで聞いた話では、1回目のときあまりに箸の使い方が下手なので、思いっきり他のメンバーに笑われ、それじゃあやってやるさ!とウーリッヒは箸をホテルに持ち帰って練習したとか・・・、納得できる彼らしいエピソードです。翌年にスコーピオンズが再来日したときには、ルドルフとはまた楽しく会えましたが、最も仲良くなった、バンド中1番マトモなウーリッヒが脱退していて、バンド全体がずいぶん違う雰囲気になっていたのが、少なからず残念に思えたものです。

でも、ウーリッヒとはそれから7年もたった1985年の3月、ロンドンで再会することが出来ました。と言っても、彼のコンサートのあと、楽屋口に行けばサインがもらえる、というので行って並んでのことでした。彼は、私がプログラムを差し出して「お久しぶり、覚えてる?」と言うと「やあ、もちろんだよ、元気だった?」と、せいぜい1ヶ月ぶりの再会のような自然なあいさつを返してくれたのです。以前とちっとも変わっていませんでした。

それ以来会っていませんが、最近また活動を始めて日本にもやって来たのですね。私は見損ねてしまいましたが、ウリは相変わらずのヒッピースタイルで、誰からもホントにいい人だったと、口々に褒めちぎられていたのも昔と同じだったようです。
彼こそロック界の真性「いい人」と言っても誰も異論はないでしょう。


夏川 翠 2002.5


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