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  • 更新日 2016年1月6日
  • 青梅市「広報」より
    《第百七十七回》ふるさとの文化財

    天ヶ指あまがさす青石塔婆あおいしとうば
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成27年12月15日

    成木3丁目の成木小校庭の西南隅にある天ヶ指あまがさす共同墓地の一角、都道に面した小屋の中に数体の石仏と共に、緑泥片岩りょくでいへんがんに刻まれた高さ1m、幅32 ㎝の青石塔婆あおいしとうば板碑いたび)が立っています。

    板碑は鎌倉時代から戦国時代にかけてのおよそ400年間に造立ぞうりゅうされた供養塔婆の一種で、市内には約1千500基の現存が確認されています。このうち98%近くが、阿弥陀如来一尊、または阿弥陀如来・観音菩薩・勢至せいし菩薩の三尊を主尊に刻んだものです。

    天ヶ指の板碑は康安2(1362)年の製作ですが、板碑の上部に大きなぼん字で釈迦如来の種子しゅじが刻まれ、その下に脇侍きょうじとして向かって右側に普賢ふげん菩薩、左側に文殊菩薩が刻まれています。いずれも大乗仏教で崇拝の対象である菩薩です。普賢菩薩の梵名であるサマンタ・バドラは「賢い者」を意味し、仏の慈悲と理知を顕して人々を救う賢者とされています。法要では四七日忌の仏様です。文殊菩薩の梵名であるマンジュシュリーは「知恵を司る仏」であり、知恵の象徴として「三人寄れば文珠の知恵」のことわざの語源でもあります。

    種子とは、密教において仏尊を象徴する呪文(真言)のことで、本尊となる仏を想起するためのシンボルです。これを植物の種にたとえて種子といいます。梵字は古代インドの文字で、サンスクリット語とも呼ばれます。

    板碑の下部には、紀年名の両側に、仏教では絶対の真理を示すといわれる独特のことばの「光明真言」が24文字の梵字で刻まれています。

    市内では釈迦三尊種子板碑のまれな完形品で、梵字の光明真言とのとりあわせも特異であることから、市有形文化財に指定されています。

    この青石塔婆(板碑)がある天ヶ指共同墓地は、青梅駅・東青梅駅・河辺駅のいずれかから都バス「成木循環」で、成木小前バス停下車。すぐ近くの都道沿いです。

    問い合わせ 郷土博物館

    ☎23・6859

    市文化財保護指導員
    久保田 繁男
     参考資料
    『広報おうめ』より
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