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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第三回》ふるさとの文化財

    宗泉寺 そうせんじ青石塔婆 あおいしとうば板碑 いたぴ
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成13年6月15日

    宗泉寺そうせんじは、霞丘陵の南麓、吹上地区にある曹洞宗の寺院です。 吹上通りから二十数段の石段を上ると左手に鐘楼、右手にはひときわ目立ってカヤの木があります。 樹高約25mのこのカヤは、目通りが4.3mもある立派なもので、都の天然記念物に指定されています。 寺の本尊は地蔵菩薩で、天文19年(1550)に、師岡城の城主 師岡山城守将景を開基として創建された寺院です。 石段の正面に本堂があり、ここには、市有形文化財に指定されている2基の青石塔婆が保存されています。 その1枚は、長さ約69㎝、幅約19.5㎝で、表面には「道徳 十七年 福徳二年九月廿五日 禅門」と彫られています。 別の1枚は、長さ約49㎝、幅約17.5㎝で、表面には「教阿弥生 福徳二年十一月十四日 禅門」と彫られています。

    どこにでもある板碑と変わらないようですが、どうして市の有形文化財に指定されているのでしょうか。

    それは、この板碑に刻まれている元号(年号)に理由があります。

    もし手元に年表があったら「福徳」という元号を見つけてみてください。 きっと見つからないでしょう。 なぜ でしょうか。

    実は「福徳ふくとく」という年号は、「私年号」といって、一般には使われていない年号だからです。

    それでは、どうしてこの板碑には「福徳」が使われているのでしょうか。

    「福徳」に限らず、私年号が使われた選由は、ほんとうのところは分かりません。 しかし、世の中が乱れたとき、一日も早く落ち着くことを願って、だれかが良い文字を用いた私的な年号を使ったところ、それが一部の人々の間に、私的な年号とは知らずに使われたのではないか、とも考えられています。

    「福徳」年号の板碑は、東京都・埼玉県を中心に三十数基発見されています。 そして「福徳」は、正規の年号では「廷徳えんとく」に当たり、西暦1491年と考えられています。

    なお、市にはこの2基のほかに、同じ宗泉寺にもう1基、河辺町の東円寺に1基、計4基があります。

    ※宗泉寺の所在地は、吹上385、都営バス宗泉寺バス停下車、徒歩1分です。

    市文化財保護指導員
    角田 清美
      参考資料
    『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
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