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  • 更新日 2016年11月2日
  • 青梅市「広報」より
    《第四十七回》ふるさとの文化財

    聞修院もんしゅういん青石塔婆あおいしとうば
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成17年2月15日

    今日、2月15日はお釈迦様の命日で涅槃会ねはんえといい、寺院では釈迦臨終りんじゅうの様子を描いた涅槃図を掛け遺徳をしのび回向えこうをあげます。この黒沢の聞修院にも涅槃図が掛けられますが、これは青梅の寺院の中でも根ヶ布の天寧寺や成木の安楽寺に次ぐ大きな掛軸です。その掛軸が掛けられている本堂内に市の文化財になっている青石塔婆あおいしとうばがあります。

    青石塔婆は板碑いたぴともいい、秩父産の緑泥片岩りょくでいへんがんを加工した石塔婆の一種で鎌倉時代から中世にかけて埼玉や東京地域に多く建てられました。これは普段、死者の追善供養や、逆修ぎゃくしゅうという生前に極楽往生を願う意味、複数の人たちで建てていることなどが特徴的といえるものです。外観は大小の大きさの違いはありますが、頂部が山形にとがり、その下に2~3条の横線を刻み、さらに種子といい、仏・菩薩を一文字で表す悉曇しつたんという独特な文字(梵字ぼんじ)が書かれ、下部に供養した年月日や施主名が刻まれているものが大半です。

    青梅市内にある大小千数百基の板碑のほとんどがその形式ですが、聞修院の板碑は非常に珍しい阿弥陀如来の姿を線彫りしたものです。調査によると天文12年(1543)10月に42人もの人々が馬次郎さんという方を中心に力を合わせ造立しました。この42人中、法名で判断すると半数は女性のようで、黒沢にある聞修院は、江戸時代に10石の未印地を有していたことを思うと、厚い信仰心と財力とがしのばれます。また、この板碑は全長165㎝の大きなもので、板碑造立時代最末期の最大です。多摩川流域では他に例を見ない板碑といわれ、昭和39年に市有形文化財に指定されました。

    聞修院へは青梅駅から上成木行きか飯能行きのバスに乗り柳川バス停下車徒歩7分です。

    市文化財保護指導員
    棚橋 正道
     参考資料
    『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
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