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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第五十九回》ふるさとの文化財

    青磁鉢せいじはち
    【東京都指定有形文化財】
    掲載日 平成18年2月15日

    この青磁鉢は、天ヶ瀬町の金剛寺にあります。 口径45.1cm、高さ12.7㎝、高台径19.0cmの大ぶりな鉢で、灰白色の磁胎に青磁ゆうがかかった、姿も釉調ゆうちょう(うわぐすりの調子)もよく調和した作品です。

    青磁は磁器の一種で、素地と釉薬に含まれる鉄分が、還元炎で焼成されて青く発色します。 中国で生まれ発達した陶芸技法で宋時代に最盛期を迎えました。 なかでも浙江省龍泉窯せっこうしょうりゅうせんがまでは優品が作られ、これが日本に多く伝来しました。 伝来の龍泉窯青磁を日本では製作時代・色合いで砧手きぬたて天龍寺手てんりゅうじてと呼びます。

    金剛寺の青磁鉢は、重厚なうちにも明るさのある砧手よりくすみ、天龍寺手より明るい作品です。 土肌、釉調などから南宋から元にかけての作と推定され、砧手から天龍等手への推移をみるうえで貴重で、昭和40年に都の有形文化財に指定されました。 本品を納めた木箱には、雨乞鉢で嘉永4年(1851)に箱を作って収めた旨の墨書があります。 また、室町時代末期、小田原北条氏から同寺の良深僧正に贈られたと伝えられています。 さらに永禄(1558~1569)年代に、金剛寺で良深僧正が、龍索りゅうさく(青色のこよりで龍蛇の形を作ったもの)二つを水盤に備えて雨乞いをしたところ、大風が吹き豪雨となりました。 この時一つの龍索が風雨に乗じて、多摩川の天ヶ瀬淵へ入水したため、残りの龍索の飛び出しを恐れ、水盤に網をかけました。 この水盤が金剛寺の青磁鉢であると伝えられています。

    金剛寺へは、都営バス青梅支所から約5分です。 ただし、青磁鉢は非公開です。

    市文化財保護指導員
    三好 ゆき江
     参考資料『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
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