Ome navi
Aoume
  • 更新日 2015年7月15日
  • 青梅市「広報」より
    《第百七十二回》ふるさとの文化財

    安楽寺本堂あんらくじほんどう つき 玄関一棟げんかんいっとう 棟札一枚むなふだいちまい
    【東京都指定有形文化財】
    掲載日 平成27年7月15日

    成木の安楽寺は、東側の仁王像や軍荼利明王ぐんだりみょうおう像、表門脇にそびえる大杉をはじめ、多くの文化財を有する寺院です。正面右手の長屋門を抜けると左側に、書院風の大きな本堂が、山を背にどっしりと南向きに構えています。茅葺かやぶき型銅板葺の寄棟造よせむねづくりで、桁行けたゆき12間(24.5m)、梁行はりゆき7間(14.84m)と都下でも有数の本堂です。屋根は元茅葺でしたが、昭和51年保存修理の際、現在の銅板にき替えられました。現在の本堂は元禄6(1693)年建立で、その後東側の玄関が嘉永元(1848)年に改修されました。玄関部分は「新編武蔵風土記稿」には本堂と庫裡くりをつなぐ廊下に、ひさしを設けた程度に描かれていますが、現在は千鳥破風ちどりはふに式台付きの風格ある建築で、あわせて都の有形文化財に指定されました。

    堂内は北側に4間、南側に4間の8部屋に仕切られ、正面と側面に広縁が配されます。北側西より2室目が御本尊を安置する内陣、その前が参列者の着席する外陣で、その外正面に「愛染院」の扁額へんがくがかかげられています。また、北東奥室には囲炉裏も設けてあります。

    本堂の側面と背面は1間ごとに柱があり、内陣と外陣の間の敷居に3本の溝がある事、御本尊の安置される須弥壇しゅみだん後ろ両側に来迎柱らいごうばしらがある事など、古い様式が残された建物です。

    本堂棟札むなふだには大工の名はありませんが、須弥壇の墨書に「元禄七年久保田八郎兵衛、伊右衛門」と記され、浮島神社や報恩寺にも今井村の久保田姓の名があります。また、玄関は棟札から小布市こぶいち(南小曾木)の青木治郞右衛門で、嘉永3年には表門(薬医門)も手がけていて、地元周辺に高い技術を有した大工が活躍していた事がうかがえます。

    安楽寺へは都営バス成木循環「成木一丁目自治会館前」で下車してください。

    問い合わせ 郷土博物館 ☎ 23・6859

    市文化財保護指導員
    須崎 直洋
    base base base