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  • 更新日 2016年1月27日
  • 青梅市「広報」より
    《第百七十八回》ふるさとの文化財

    不動明王図ふどうみょうおうづ
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成28年1月15日

    成木にある安楽寺(真言宗)所蔵の不動明王図(市指定有形文化財・昭和43年指定)は、幅40.4㎝、長さ106.5㎝の不動明王立像画幅(水墨画)です。縦長の画幅で、燃え上がる火炎を背景に、右手に利剣、下げた左手に羂索けんさくを持ち忿怒相ふんぬそう(怒りの表情)で立つ典型的な不動明王の姿が描かれています。昭和60年の調査では、画幅を広げることができない程に傷んでいたそうですが、現在は表装修理がされています。(現在、非公開)

    画幅の明確な製作年代は不明ですが、室町時代の水墨画の特色をよく伝える優品であることが、文化財の指定理由です。また、画幅の裏面には、その由来と修理の記録が墨書されています。その記録からは、「この画幅は安楽寺中興の開山賢能上人けんのうしょうにんが所持していたが、幕臣の岡部小右衛門尉忠豊おかべこえもんのじょうただとよが、延宝2(1674)年宥賢ゆうけん和尚の代に修理した」ということが読み取れ、こうした記録も貴重なものとされています。

    不動明王は、諸悪を降伏させるため、忿怒相で剣を持つ恐ろしげな姿で表現される仏です。しかし、お不動さんと呼ばれ、昔から庶民にも親しまれています。人々に降りかかる現実のさまざまな悩み、災いを取り除き、現世利益的な功徳をもたらして貰えることが、人気の一端でしょう。不動明王のパワーは悟りから得られる智慧ちえの働きとされます。仏の慈悲を持ち、受け身ではなく積極的に不動明王的になりたいという期待もあったようです。

    問い合わせ 郷土博物館☎23・6859

    市文化財保護指導員
    櫻岡 幸治
    不動明王図
    不動明王図
    《広報おうめより》
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