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  • 更新日 2017年7月19日
  • 青梅市「広報」より
    《第七回》青梅市の文化遺産

    ニホンカモシカ
    掲載日 平成29年7月15日

    平成28年12月まで189回にわたり「ふるさとの文化財」を連載し、市文化財保護指導員が分担して市内の国・都・市指定の文化財を紹介してきましたが、市教育委員会「青梅市の指定文化財」に掲載されていないため、紹介していない文化財が一つあります。それは、国指定特別天然記念物のニホンカモシカで、かつては市内に生息していませんでした。

    ニホンカモシカは、シカの仲間ではなく、実はウシ科の動物です。高山にむイメージをお持ちの方も多いと思いますが、亜高山帯以下のブナやミズナラを主とした冷温帯落葉広葉樹林が主たる生息場所です。昭和9(1934)年に国の天然記念物に指定され、昭和30(1955)年には特別天然記念物に格上げされ、保護されてきました。奥多摩山地には以前から生息しましたが、市内にはいませんでした。

    目撃例が出始めたのは1990年代の初めごろからです。奥多摩山地で増えたニホンジカの勢力にはじき出され、高水山周辺の成木地区や平溝川流域に出没するようになりました。2000年以降は、丘陵地に進出し、青梅丘陵の周辺や勝沼・根ヶ布地区、黒沢・小曾木・富岡地区の丘陵部でも目撃例が増えています。多摩川の南側では、御岳山にも進出しています。

    市内でニホンカモシカが見られるのはうれしいことですが、人間の営みによって絶滅を危惧されたニホンジカが勢力を盛り返し、その結果、奥多摩山地のニホンカモシカが市内の低山地・丘陵にまで出現するようになったと考えると複雑な想いがあります。

    問い合わせ郷土博物館

    ☎23・6859

    市文化財保護指導員
    久保田繁男
    ニホンカモシカニホンカモシカ「広報おうめより」
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