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  • 更新日 2016年8月31日
  • 青梅市「広報」より
    《第百八十五回》ふるさとの文化財

    小峰峰真書屏風こみねほうしんびょうぶ
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成28年8月15日

    江戸庶民の学門と技芸が大いに盛んとなった江戸時代後期文化・文政(1804~1830年)の頃、青梅においても文芸活動は活発となり、和歌、漢詩文、古典学、狂歌、俳諧、絵画など、多くの分野において優れた作品が残されました。

    この時代に至る数十年前、その先駆けとなった人物が市内では数多く現れました。

    根岸洗雪ねぎしせんせつ建部凉岱たけべりょうたい中原章なかはらあきら支兀雪洞しこつせつどう、そして小峰峰真こみねほうしんなどがあげられ、中でも、書家の小峰峰真は通称を嘉右衛門と言い、あざな子元しげん東岳とうがくとも号し、青梅上町で薪炭業を営む代々名主格の旧家に生まれました。

    江戸に出て、儒学を井上金峨いのうえきんがに、書を松下まつしたかつら烏石うせきに学び、青梅では、根岸典則ねぎしつねのりとともに滝ノ上にある常保寺の中原章に学びました。

    峰真は享和きょうわ元(1801)年に没してしまいましたが、青梅の文芸活動は衰えず、文化・文政の時代へと引き継がれていきました。

    写真は峰真の代表作と言われている書で、詩経の一節が書かれています。六曲一双の屏風で、一曲の大きさは縦176.5cm、横71.7cm、屏風の中央部は縦133cm、横55.8cmの紙面に漢字のみ縦2行で大書されています。

    峰真の逸話では、多摩川の河原に下り、箒を手に構えて砂原を駆け、文字を大書する修業を怠らなかったといわれていることからも大きい筆の扱いに妙技が感じられます。

    この書体は中国の唐代の書家・懐素かいその極めた、奔放な草書体をほうふつさせるもので、孫の小林天淵こばやしてんえんにも書は受け継がれていきます。

    この書は峰真の晩年作品とされ、寛政期(1789~1801年)の作品であろうといわれています。青梅が生んだ書家直筆の代表作の一つであることから、昭和39年11月3日市指定有形文化財に指定されています。現在は一般に公開はされていませんが、青梅織物工業協同組合が所有し、青梅市郷土博物館が収蔵していま問す。

    問い合わせ 郷土博物館

    電話 23-6859

    市文化財保護指導員
    鈴木晴也
    小峰峰真書屏風
    小峰峰真書屏風「広報おうめより」
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