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  • 更新日 2017年11月1日
  • 青梅市「広報」より
    《第十回》青梅市の文化遺産

    磨製石斧ませいせきふとその再利用文化さいりようぶんか
    掲載日 平成29年10月15日

    遺跡の発掘調査を行うと、立木をるために利用したとされる磨製石斧ませいせきふが時々発見されます。

    およその形に石を割り、細かくたたいて形を整え、磨くことにより刃先の切れ味を一層高め、美的感覚をも兼ね備えています。

    今回は、おのの機能を生かした後に再利用を行った石器と、石斧としての存在を装飾品や祭祀具さいしぐなどの扱いに近付けた磨製石斧を紹介します。


    ●大型磨製石斧

    写真左は、畑中3丁目にある笹原ささはら遺跡(縄文時代中期・5千年〜4千年前)で、昭和41年に採集された磨製石斧です。長さ18㎝、最大幅7㎝、厚さ4㎝、重さ840gで、石質は緑色岩りょくしょくがんという、市内では産出しない岩石で作られています。

    横から見ると、全体のなだらかさに比べ、先端のぎ方が急に下がる部分があります。これは、刃毀はこぼれなどの砥ぎ直し部分と思われ、その後、砥ぎ直しも限界となり、二次的に利用されたものと推測します。

    現存する刃の厚さは約2㎝で、物を潰したり敲いたりした道具と思われ、刃先はやや斜めに傾いていることから、ある一定の持ち方や装着方法で継続的に使用していたものと思われます。

    大型磨製石斧は市内での出土例はまれで、最終利用を敲き石に転用した痕跡は、再利用文化を語る大変貴重な石器です。


    ●小型磨製石斧

    縄文時代の後期(4千年〜3千年前)になると、装飾品的な小さな磨製石斧も作られます。

    写真右は畑中2丁目にある橋上はしうえ遺跡で昭和43年に採集された小型磨製石斧です。石質は蛇紋岩じゃもんがんで、長さ5㎝、最大幅2.6㎝、厚さ9㎜、重さ25gの大きさです。均整のとれた形は、左右対称の作りと側面の流線形に象徴され、極上の研磨面には傷もほとんどなく、市内の遺跡では他に例を見ません。

    大変精巧で、美意識にもけ、磨製石斧という道具から派生した、ある種の宝物ともいえます。

    縄文時代の住居に作られた囲炉裏いろり火囲ひがこいには、壊れた土器が時々利用されます。また、磨石すりいしは胡桃くるみ)などの堅果類けんかるいを割る道具に再利用されたものが出土します。

    前記の石斧は、伐るという機能から敲くという機能に転用され、縄文時代にはすでに再利用文化は存在したということを私たちに教えてくれる重要な文化遺産の一つとなっています。

    問い合わせ郷土博物館

    ☎23・6859

    市文化財保護指導員
    鈴木 晴也
    磨製石斧磨製石斧
    「広報おうめより」
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