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  • 更新日 2017年9月20日
  • 青梅市「広報」より
    《第九回》青梅市の文化遺産

    裏宿遺跡出土の石刃核
    掲載日 平成29年9月15日

    市内では、今から約1万5千年から1万2千年前のものとされる旧石器時代の遺構や遺物が9か所の遺跡から発見されています。今回は、裏宿遺跡から採集された「石刃核せきじんかく」を紹介します。

    石刃核とは、石刃(ブレード)を剥ぎ取った後の石で、残された痕跡からさまざまなことが分かります。

    この石刃核は、昭和44(1969)年1月26日に都立多摩高校で行われていた配管工事の際に地下約50㎝のところから発見されたもので、長さ14㎝、幅13㎝、厚さ7㎝、重さ1千80gと大型です。市内の他の遺跡からの発見例がなく、近県での発見例もない、大変貴重な資料です。

    形状は石刃核の大きな特徴である楔形くさびかたで、青みがかった灰色の石を使っています。これは、頁岩けつがんと呼ばれる、硬くて癖のない性質の石で、割って加工するのに最適な石を選んでいます。

    また、写真を見ると縦に浅い溝が見えます。これが石刃を剥ぎ取った痕で、最大で幅3㎝、長さはその4倍を超える13㎝に及び、石刃を剥ぎ取る高度な技術を持つ人がいたことが分かります。

    剥ぎ取った石刃は、形や大きさによってたたいて形を整え、槍先やりさきやナイフ形石器を作ったものと考えられます。さらに、この痕跡から石刃を何枚剥ぎ取ったかということが推測できます。中央の下部の先端から上に延びる幅の狭い剥離面が最初に剥がした部分です。次に、両側3枚を剥がし、新たに剥がす面を作るため、上部で敲口たたきぐちを整えたところ内側にえぐれてしまい、これ以上剥がすことが困難となって廃棄した様子がうかがえます。右側のねじれた2か所は、左の面が出る前に剥がしたものと思われます。少なくとも6枚の石刃を剥がしたことが分かり、この石刃核はもっと大きいものであったと考えられます。

    このように、大型の石刃核の発見は、その希少価値に加え、市内の旧石器時代における石器製造の実態を明らかにする大変貴重な資料となっています。

    問い合わせ郷土博物館

    ☎23・6859

    市文化財保護指導員
    鈴木 晴也
    裏宿遺跡出土の石刃核裏宿遺跡出土の石刃核
    「広報おうめより」
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