Ome navi
Aoume
  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第七十回》ふるさとの文化財

    石皿いしざら
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成19年1月15日

    縄文時代の遺跡を発掘すると、数多くの遺物が出てきます。 粘土を焼いて作った土器や川原などにある石を加工して作った石器などがそれで、皮や骨、木や草で作った道具も考えられますが、数千年に及ぶ時の経過から、物としてはほとんど残っていません。しかし、その存在は、土器の底部に残された網代痕あじろこんなどから確認することができます。

    この道具類の中で、石で作った道具というと石斧や矢じりを思い起こしますが、他にも、石のきりや石のさじ、石棒、石剣、石錘せきすい磨石すりいし、まれにヒスイやメノウで作られた装飾品などもあり、今回紹介する石皿いしざらは当時としては常に身近にある道具のひとつです。

    この石皿は、昭和の初め、沢井2丁目、JR沢井駅を中心とする、大平おおだいら遺跡にある民家の庭から出土したものと言われています。大きさは、縦の最長が42㎝、最大幅が28.5㎝、縁の幅は約5㎝あり、縁からの最深は7㎝、手前に来るにしたがい浅くなってきます。石皿の縁には円すい状の穴が並んであけられていることがしばしば見受けられ、この石皿にも角の縁部分に1か所あけられています。しかし、この穴が何のために利用されたのかは不明です。石質は安山岩系の石で、多摩川の川原では、この種の石を拾うことはできません。従って、どこか近県から持ち込まれたことが推測できます。

    石皿の用途は、クリ、クルミ、ドングリなどをこの皿の中に入れ、磨石によってつぶしたり、粉にしたりするためのものです。今まで、市内で数多く出土した石皿のうち、完形品としては大変珍しく、形も整っており、損傷も少ないことから、昭和39年11月3日に青梅市有形文化財に指定されました。石を加工して作る道具の中で、ここに上げた石皿は、中央をくぼませただけで石全体を利用した道具であり、刃をつけるために割ったり磨いたりして作られた道具と大きく異なっています。

    この石皿は、市郷土博物館に収蔵されており、いつでも見ることができます。

    市文化財保護指導員
    鈴木 晴也
     参考資料『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
    base base base